マンション購入

マンション購入者に必要な3つの保険を解説

マンションを購入したときに必要な保険って何があるのでしょうか?詳しく教えてください。

といった悩みにお答えします。

本記事の内容

  • マンションに関する保険には種類がある
  • 火災保険
  • 瑕疵担保責任保険
  • 団体信用生命保険

マンションを購入にあたっては、さまざまなリスクがあります。

火事や自然災害によるリスク、買ったマンションの欠陥問題リスク、さらには自分の身にもしものことがあったときのローンの支払いに対するリスクなど…。

これらのリスクをカバーするために、マンションに関連するいろんな保険があります。

本記事では、マンション売買のときによく耳にする「火災保険」「瑕疵担保責任保険」「団体信用生命保険」の3点について、内容を解説したいと思います。

これらの保険内容が分かれば、マンション購入に対するあらゆるリスクを上手に管理することができるようになります。

ぜひ、ご参考にしてみてください。

マンション売却の一通りの流れを知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください!
【保存版】マンション購入から引渡しまでの手順について

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マンション購入者に必要な3つの保険

マンション購入者に必要な3つの保険

マンションを所有するためにかかる保険は、以下の3つがあります。

 弁護士費用補償特約

  1. 火災保険
  2. 瑕疵担保責任保険
  3. 団体信用生命保険

上記の通りです。

それぞれ目的が全く違う保険ですので、項目ごとで詳細について説明していきます。

その①:火災保険

その①:火災保険

マンションに家事などの災害が発生したときのためにかけられる保険です。

火災保険の商品は充実しており、台風や落雷、水災などによる被害に対しても保険金が支払われるものがあります。

住宅ローンを借り入れてマンションを購入する場合は銀行が火災保険への加入を条件づけるというのが一般的なので、ほとんどのマンションが保険に加入しているのではないでしょうか。

火災保険で補償される範囲

火災保険で補償対象となるものは、大きく分けると「建物」と「家財」の2つがあります。

マンションの火災保険であれば建物の保証は必要不可欠だと思いますが、そこに家財保証も付保するかどうかは自分で選択することができます。

家財補償も含めると、マンション内にあるパソコンや家電製品、貴重品などの高額な動産に対する損害もカバーできますので、より安心できます。

ところで、火災保険と聞くと、なんとなく「火事が起こったときの保証」というイメージがありませんか?

実は、火災以外の被害の部分でも補償範囲に含まれるものがあります。

一般的な保険商品では、下記の被害が補償範囲に含まれています。

 【火災保険の補償範囲】

  • 火災
  • 破裂、爆発など
  • 落雷
  • 風、雹、雪などによる災害
  • 水災(台風や集中豪雨によるもの)
  • 水漏れ
  • 盗難被害
  • デモやストライキなどに伴う暴力行為
  • 建物外からの物体落下、飛来、衝突など

保険会社の商品によって違いはありますが、火災以外においても幅広く補償してくれるというのが火災保険なのです。

専有部分と共用部分

マンションの購入者が契約する火災保険は専有部分を対象にしたものです。

そのためマンション室内で発生した損害に対してのみ保険金が支払われることになります。

それに対して共用部分に対する保険は、原則として管理組合で加入するという形になります。

エントランスや共用廊下などで生じた損害に対しては、組合が加入している保険から賄われます。

付帯できる特約の種類

火災保険には、標準の補償範囲と併せて特約(オプション)をプラスすることができます。

その範囲はとても幅広く、日常で起こりうる様々なリスクに対する保険を付保することができます。

主な特約についてまとめましたので、保険選びの参考にしてください。

 地震保険セット

スタンダードな火災保険には落雷や風災などあらゆる自然災害が補償範囲に含まれていましたが、地震・津波については補償範囲外というのが一般的です。

日本は地震が多いため、火災保険と地震保険は別物という考えがあります。

しかし多くの火災保険商品で、地震保険をセットにできるようになっていますので、火災保険に加入するタイミングで併せて加入する人は多いです。

注意しなければならないのが、地震による火災被害に対しては一般の火災保険が適用されないということです。

そこも補償したいときは地震保険の地震火災特約等を付帯する必要があります。

 携行品損害補償特約

外出先で自分の所有物に損害が生じたときに適用される特約です。

たとえば、旅行先で腕時計を落として壊してしまったときなどに保険金が請求できます。

補償される携行品の範囲については保険商品によって違いますが、高級品を持ち歩くことが多いという人は加入検討の余地がありそうです。

 弁護士費用補償特約

対外的なトラブルに巻き込まれて損害賠償沙汰になったときに、弁護士相談費用が保険金で賄えるというものです。

トラブルの当事者になってしまったときは精神的にも負担がかかりますが、何かあったときも弁護士が助けてくれるという保険があると安心できると思います。

 個人賠償責任特約

自分自身が他人に何らかの損害を与えてしまうリスクもあります。

たとえば買い物中に誤って商品を落として壊してしまったときや、子供が外で遊んでいるときに停まっている車に傷をつけてしまったときなど…想像するだけで不安になります。

このように期せずして自分が加害者になってしまったときに相手に対する賠償責任をカバーしてくれる特約があれば何かと安心です。

個人賠償責任保険では自動車事故による損害には適用されませんが、自転車事故については補償範囲に含まれるのが一般的です。

日常的に自転車を使う方は検討しても良い特約だと思います。

保険料の金額の根拠

保険料を決める大きな要因の一つに保険金額(事故が発生したときに支払われる保険金の上限)があります。

保険金額が高いほど保険料も高くなります。

この保険金額は、必ずしも高く設定すれば安心というわけでありません。

なぜなら火災が発生して建物が滅失してしまったとき、支払われる保険金は再調達価格もしくは時価によって計算されるため、保険金額を高く設定していると余分に保険料を支払うことになる可能性があるからです。

保険金額は実態の価値に近い価格を設定することが望ましいです。

補足

再調達価格:その建物と同じものをもう1回新築で建てたらいくらかかるか?という評価額

時価:その時点での時価評価額。築年数とともに下がっていきます。

また保険金額以外の「建物構造」「専有面積」「オプション内容」などの要因も保証料に影響します。

基本的には建物が燃えにくい構造であるほど保険料は安くなりますので、マンションは木造住宅や軽量鉄骨建物に比べると安く加入できるということになります。

そして、火災保険に加入するときの補償内容によっても金額は大きく変わります。

火災保険の基本補償内容とオプションの合計額が保険料になるので、本当に必要なのかを吟味しながら内容を選定しないとあっという間に高額になってしまいます。

保険料の支払い方法

保険料の支払いは、年払いや最長10年の長期一括払いという方法があります。

銀行によっては火災保険料をマンション購入の諸経費とみなして住宅ローンに組み込むことができる場合もあるので、長期一括にして現金手出しなく火災保険に加入するという人も多いようです。

保険料を安くするポイント

火災保険の保険料は結構高いので、月々の住宅ローン返済と合わせると負担が重い…という人もいると思います。

火災保険料を少しでも抑えたいという人のために、保険料を安くするポイントをまとめましたのでご参考にしてみてください。

 ①補償の内容を減らす

保険金額を少なくする、また再調達価格ではなく時価による評価に設定することで保険料が安くなります。

また、必要の無いオプションなどを無くすという方法もあります。

何かあったときのことを考えると削りすぎるというのはリスクを伴いますが、必要最低限の補償だけあればいいという人にはいいかもしれません。

 ②相見積もりをとる

巷にはたくさんの保険会社があり、その補償内容・保険料はピンからキリまでさまざまです。

複数の保険会社から見積もりをもらい選択肢を増やすことで、一番お得で自分に合った保険商品が見つけやすくなります。

 ③割引のある保険を使う

キャンペーンなどで特別に保険料が割引になるということもあります。

たとえば住宅ローンを借入した人限定の火災保険や、公務員などであれば職場の火災共済など、今の立場だからこそ使える特別な商品があればそれを使うという手もあります。

 ④長期一括払いにする

火災保険料の払い込みは長期であるほど金額は安くなります。

10年一括払いにすることで1年あたりの保険料を安く抑えることができます。

【補足】火災保険に設定されている質権とは?

火災保険の保険金請求権などに、銀行の質権が設定されることがあります。

銀行はマンションを担保にして住宅ローンを融資していますので、火災などでマンションが滅失してしまうと担保そのものを失ってしまうことになります。

不測の事態でマンションが滅失しても債権回収ができるよう、債権保全として保険金請求権に対して質権を設定しているということになります。

その②:瑕疵担保責任保険

その②:瑕疵担保責任保険

瑕疵担保責任保険は、マンションの建物に欠陥が発見された時の売主の賠償責任に対する保険です。

欠陥による損害賠償トラブルになったとき売主に資力がなく、責任をとってもらえないとなると買主は泣き寝入りするしかないということになりかねます。

そのような事態を防ぐための保険ですので、保険加入者は売主で、適用者は買主ということになります。

特に新築分譲マンションにあたっては、事業主が加入を義務付けられているので、引き渡し時に保険証券を受領すると思います。

瑕疵担保責任保険で補償される範囲

瑕疵担保責任保険で補償される範囲を大きく分けると、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」の二つがあります。

構造耐力上主要な部分は、建物基礎をはじめ、床・柱・梁・外壁・屋根など、建物を支える部分のことをいいます。

この部分に亀裂などが発生すると、悪化によって将来的に建物が崩壊するおそれがあるため、建物としては非常に重要な部分です。

一方で雨水の侵入を防止する部分には、屋根やサッシ開口部・排水管などがあります。

ここの施工が甘いと、雨漏りが発生し、建物の重要な部分が腐食するおそれがあります。

この二つの重要な部分に欠陥があることで売買後に損害が発生してしまったというときに瑕疵担保責任保険が適用されるということになります。

保険が使える損害の範囲には、欠陥を修補するための工事費用はもちろん、欠陥を特定するための調査費用や工事中の仮住居・転居費用なども含まれます。

なお、保険金には免責金額が設定されており、だいたい1事故あたり10万円となっていることが多いです。

免責金額は原則として売主が負担することになりますが、売主が法人であって既に倒産している場合などは買主が負担します。

瑕疵担保責任保険の期間

瑕疵担保責任保険の有効期間は原則として10年です。

そもそも建物が潜在的にもっている欠陥というものは10年以内には表に出てくるものが多く、逆に10年を超えてくると経年劣化との区別がつかなくなります。

そのため、10年という期間は、満了後に延長したり契約更新したりすることはできません。

瑕疵担保責任保険が使えないケース

当然ですが、建物が潜在的に持っていた欠陥に起因しない損害に対しては保険が適用されません。

瑕疵担保責任保険の約款では具体的に適用ができない場合として以下のケースがあげられています。

  • 当事者が故意または重大な過失によって建物を損傷したとき
  • 洪水、台風、火災、落雷などの災害による損害
  • 土地の沈下、隆起などによる建物への損害
  • 虫食いや経年劣化などによる損害
  • 戦争や武力行使などによる建物への損害

転売特約

瑕疵担保責任保険の期間は原則10年ですが、この間でマンションの転売があったときに残りの保険期間を承継できるという特約があります。(転売特約)

転売したときは自分が売主となり瑕疵担保責任を負う立場になるので、少しでもカバーできるよう期間が承継できればリスクが減ります。

この特約は基本的にあとから付けることはできないので、現在加入している瑕疵担保責任保険に転売特約が付いているかどうかは事前にチェックするようにしましょう。

その③:団体信用生命保険

その③:団体信用生命保険

団体信用生命保険は、住宅ローンの債務にかけられる生命保険の一種です。

ローンの返済中に債務者が亡くなった場合や、重度障害を患い返済ができなくなったときに保険金で残債務を清算するというものです。

一家の大黒柱にもしものことがあっても家族に借金を背負わせることなくマンションを残すことができるので、加入が推奨されています。

また、多くの金融機関で団体信用生命保険への加入が条件となっています。

前述したように団体信用生命保険は生命保険の一種で、住宅ローンへの金利上乗せという形で毎月保険料を支払っていることになります。

既に加入している一般の生命保険などがあれば、保証料を払いすぎているという状況にならないように総合的に保険契約を見直す必要もあると思います。

団体信用保険の種類(オプション)

団体信用生命保険にはいくつか種類があり、オプション内容に応じて保険内容が手厚くなります。

オプションが充実していると金利の上乗せ率が高くなりますので、他の生命保険商品と比較しながらどこまで保証するべきか検討しましょう。

なお、オプションの種類には主に以下のようなものがあります。

  • 一般の団体信用生命保険
  • 死亡や高度障害など最低限度の補償内容
  • 三大疾病オプション
  • 一般の条件+三大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞など)
  • 八台疾病オプション
  • 上記オプション+他疾患(糖尿病・高血圧症・肝硬変など)

共有者の保証割合

夫婦共有でマンションを購入する場合、団体信用生命保険の割合を任意に決めることができます。

たとえば割合を50:50に設定した場合、夫婦の一方にもしものことがあれば、残債の50%分が保険金で清算されることになります。

この割合は当事者の話し合いで30:70や100:0などというように自由に設定することがでます。

夫婦の収入状況などに応じて決めることが望ましいです。

ただしこの割合を決めるときの注意点があります。

それは、マンション所有権の持分割合と住宅ローンの債務割合との整合性です。

住宅ローン債務割合がご主人様と奥様で80:20なのに団体信用生命保険の割合が50:50ということになると、その差額が課税対象とみなされる可能性があります。

マンション所有権の持分割合にも同じことが言えますが、債務割合が80:20なのに所有権は50:50だと、税務署が「その差額分は贈与じゃないか?」という見解を示す可能性があるのです。

なので、マンションを共有で購入するときは「団体信用生命保険」「マンションの所有権」「住宅ローンの債務」の三点の割合は同一にするよう、注意しましょう。

まとめ

今回は、「マンション購入者に必要な3つの保険を解説」といった内容を解説しました。

もう一度おさらいをすると、マンションを購入したら以下の保険を検討しましょう。

 マンション購入者に必要な保険

  1. 火災保険
  2. 瑕疵担保責任保険
  3. 団体信用生命保険

マンションに関する3つの保険「火災保険」「瑕疵担保責任保険」「団体信用生命保険」についてまとめました。

マンション購入には様々なリスクが付きまとうので不安なことも多いですが、どの保険で何がカバーできるかということをしっかり理解しておけば安心できると思います。

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この記事を書いた人

真地 リョウ太(ペンネーム)

30代男性

資格:宅地建物取引士・FP2級・行政書士試験合格

学生時代は不動産業界への強い関心があり、大学では取引関連法を学んでいました。

新卒後すぐに不動産業界に飛び込み、現在は土地売買や相続案件など幅広い実務を担当しています。得意分野は取引法務です。法律の知識をもっと深くしたいという想いから、仕事をしながら独学で行政書士の試験に合格しました。

資格取得によって身に着けた知識と実務で培った経験を活かして、不動産オーナー様のお役に立てるよう日々頑張っています。趣味は旅行。座右の銘は「我以外、皆我が師」

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