といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- 不動産投資で頭金は必要?割合はどのくらい?
- 頭金を入れるメリット
- 頭金を入れるデメリット
- 頭金別の返済額シミュレーション
不動産投資では、金融機関から融資を受けて投資するのが一般的です。
その際に、悩むのが頭金でしょう。
「頭金はどれくらい準備すればいいのか?」「そもそも頭金が必要なのか」そのような疑問をお持ちの人もいらっしゃるものです。
頭金のメリット・デメリットや返済について理解したうえで、頭金を検討する必要があります。
この記事では、不動産投資の頭金の割合やメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
併せて、具体的な返済シミュレーションも紹介するので参考にしてください。
これから不動産投資を始めるという方は、以下の記事をご覧ください。
【初心者向け】不動産投資の始め方!7つのステップで徹底解説!
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不動産投資で頭金は必要?割合はどのくらい?
頭金とは、自己資金で用意しているお金のことです。
不動産投資での物件購入は、高額になるため金融機関から融資を受けることが一般的となります。
その際、頭金を用意している場合は、物件の購入額から頭金を差し引いた額が借入金額となります。
ほとんどのケースで頭金が必要
頭金の有無や額については、明確な決まりはありません。
とはいえ、ほとんどの金融機関では借入の際に頭金を必要としているものです。
金融庁の調査によると、物件取得の際に3分の1以上の案件で頭金を求める金融機関は、銀行の89%・信用金庫や信用組合で67%に上るという結果が出ています。
対して、一切頭金を求めていないと回答したのは、銀行で5%、信用金庫や信用組合で13%にとどまっているのです。
融資の際には、多くの金融機関で頭金を求めているといえるでしょう。
もちろん、金融機関によっては頭金なしで融資する場合もあります。
しかし、多くの金融機関で頭金を求めていることからも、頭金があるほうが融資を受けやすくなるものです。
また、金融機関はその時々の市況や政策などで、融資の緩和や引き締めをする場合があります。
過去には不動産投資過熱による不動産価格の高騰の際に、融資の引き締めが行われ融資を受けにくくなったケースもあるものです。
ここ数年も融資引き締めがされている傾向にあり、基本的には頭金が必要と考えておく必要があります。
物件価格の2~3割程度が一般的
頭金に必要な額は、一般的には物件価格の2~3割程度が理想的と言われています。
物件を購入する際には、物件の購入代金だけでなく仲介手数料などの諸経費が物件価格の1割ほど掛かるものです。
諸費用と物件価格の1~2割を自己資金で賄うと考えた時に、物件価格の2~3割ほどとなります。
例えば、3,000万円の物件を購入する場合は、600万円~900万円程の自己資金があると投資しやすくなるでしょう。
しかし、頭金の額は一概にどれほどというのは難しいものです。
個人の属性や資産状況、購入したい物件や投資契約によっても必要な頭金の割合は異なります。
手元に資金を多く残したい人は頭金を少なくする必要があり、月々の返済額を少なくしたい場合は頭金を多く入れる必要があるものです。
投資目標や計画などによって、自分に合った頭金の割合を考えることが大切です。
都心新築ワンルームマンションなどフルローンが可能なケースもある
頭金は必ずしも必要というわけではありません。
物件の条件が良い場合や、収入などの属性が良い場合・過去の不動産投資の実績によっては頭金なしのフルローンで借入れることもできます。
特に、立地がよく物件価格の低い傾向のある都心新築マンションなどは、借入額自体を抑えやすいので業者側がパッケージとしてフルローンを用意しているケースもあるものです。
ただし、フルローンはオーバーローンとは異なります。
オーバーローンとは、物件の価格よりを上回る額を借入するローンのことです。
物件購入額+諸経費を賄う際に組むのがオーバーローンとなります。
フルローンの場合は、あくまで物件購入額までの借入となるため、諸経費の部分は自己資金で準備する必要があります。
また、フルローンを組む場合は、年収などの属性を厳しく審査される傾向があるので、ある程度の年収が必要となるものです。
不動産投資のローンについては、不動産投資ローンとは?利用するメリット・デメリットと審査承認を得るためのコツで詳しく解説しています。
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頭金を入れるメリット
頭金をどれくらい用意するのかを判断するうえでは、頭金のメリットを理解しておく必要があります。
頭金を用意するメリットには、次のようなことがあります。
- 毎月の返済額が減る
- キャッシュフローがよくなる
- 金利負担が減る
それぞれ見ていきましょう。
メリット①:毎月の返済額が減る
頭金を言える最大のメリットが、ローンの返済額の負担を軽減できる点です。
頭金を入れることで、その分借入総額を抑えられ毎月の返済額も少なくできます。
また、借入額が少ないことで金融機関の融資にも通りやすくなるというメリットがあります。
借入が少額になるだけでなく、自己資金が多いということは、資産管理能力の高さの証明ともなり金融機関からの信頼度を高めることにもつながるでしょう。
メリット②:キャッシュフローがよくなる
不動産投資では、家賃収入から物件の管理費などの経費とローン返済額を差し引いた額が手元に残るお金=キャッシュフローとなります。
毎月の返済額が減らせられれば、手元に残るお金もより多くなるものです。
手元資金に余裕ができることで、突発的な修繕費や空室などのトラブルにも慌てずに対応できます。
また、2棟目以降の投資も検討しやすくなるでしょう。
不動産投資のキャッシュフローについては、不動産投資でキャッシュフローが重要な理由とは?重視するメリットなど解説で詳しく解説しています。
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メリット③:金利負担が減る
低金利の時代とはいえ、融資額が大きければ金利負担は小さいものではありません。
借入額が多い場合、今後金利上昇した場合のリスクも大きくなるものです。
頭金を入れて借入額を減らすことで、金利負担を減らし返済総額を抑えられるだけでなく、今後の金利上昇リスク対策ともなるでしょう。
不動産投資の金利については、不動産投資ローンの金利相場や低金利で融資を受けるポイントなど徹底解説で詳しく解説しています。
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頭金を入れるデメリット
頭金を用意することにはデメリットもあるので、注意が必要です。
デメリットには、次のようなことがあります。
- 自己資金を用意するのに時間が掛かる
- 手元資金が減る
- レバレッジ効果が低くなる
それぞれ見てきましょう。
デメリット①:自己資金を用意するのに時間がかかる
自己資金の額によりますが、準備するにはある程度の時間がかかるものです。
仮に、5,000万円の物件に2割の頭金を用意する場合、1,000万円が必要になります。
1,000万円を貯めるには、それなりの時間が必要です。
そのため良い物件を見つけても、自己資金が足りずに投資できなかったということもあるでしょう。
また、不動産投資では複数の物件を所有することで収益を上げ、リスク分散も可能です。
ローンを組むにしても20年や30年に渡る長期のローンを組むため、できるだけ早く投資をスタートするほうが有利になります。
自己資金を蓄えるまで待っていると、どんどん投資のスタートが遅れてしまうものです。
頭金を用意しない場合、すぐにでも投資をスタートできるというメリットがあります。
投資が遅れるデメリットと頭金を入れるメリットを十分検討して、不動産投資をスタートすることが大切です。
不動産投資の自己資金については、自己資金ゼロで不動産投資を始めることはできる?メリット・デメリットから具体的なシミュレーションまでで詳しく解説しています。
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デメリット②:手元資金が減る
頭金を入れることで、手元資金が大きく減少する点には注意が必要です。
手元資金がゼロになってしまうと、万が一、修繕などの突発的な費用が必要な場合でも対応できない可能性があります。
また、空室で家賃収入を得られない場合でもローンの支払いが必要です。
その場合、手元資金がなければ返済が厳しくなり、物件を手放すことや自己破産という可能性もあるでしょう。
不動産投資には、空室リスクや災害リスク・事故リスクなどさまざまなリスクがあります。
手元資金をすべて頭金に入れるのではなく、リスクに対応できる資金を手元に残したうえで頭金の割合を考えることが大切です。
デメリット③:レバレッジ効果が低くなる
レバレッジ効果とは、少ない投資金額で大きな利益を得る「テコの原理」のことを言います。
不動産投資の場合は、自己資金に借入金をプラスすることで自己資金以上の投資ができるため、株式投資などよりもレバレッジ効果を高く利かせやすいという特徴があるのです。
しかし、頭金を多く入れてしまうと、その分レバレッジ効果が低くなる点には注意しなければなりません。
レバレッジ効果は、自己資金が少ないほど大きな効果が期待できるものです。
仮に、次の条件で不動産した場合を見てきましょう。
物件価格:2,000万円
利回り:10%(年間収入200万円)
金利:5%
なお、利息の額のみを費用として計算しています。
自己資金10割 | 頭金5割 | 頭金0円 | |
自己資金額 | 2,000万円 | 1,000万円 | 0円 |
年間利息 | 0円 | 50万円 | 100万円 |
収益 | 200万円 | 200万円-50万円=150万円 | 200万円-100万円=100万円 |
物件に対する利回り | 10% | 7.5% | 5.0% |
自己資金に対する利回り | 10% | 15% | - |
このように、頭金が少ないほど、物件に対する利回りは少ないのですが、自己資金に対する利回りが大きくなるのが分かります。
頭金が少ないほどレバレッジ効果が大きくなるため、頭金を入れてしまうことでレバレッジ効果が低くなる点には注意が必要です。
また、自己資金に対する利回りが大きくなることで、自己資金の回収期間も短くなります。
上記の例では、すべて自己資金の場合、自己資金回収までは10年かかるものです。
対して、頭金5割の場合は約7年で回収でき、頭金0円の場合はそもそも回収の必要がありません。
投資規模を素早く大きくしたい場合などでは、回収期間を待つよりも自己資金を手元に残して次の物件に投資するのも一つの手と言えるでしょう。
ただし、レバレッジ効果には逆の作用もあるので注意が必要です。
レバレッジ効果を期待するには自己資金の割合を低くする必要があるため、借入額が大きくなり金利の影響を受けやすくなるものです。
仮に、上記の例で金利が12%上昇してしまうと次のようになります。
自己資金10割 | 頭金5割 | 頭金0円 | |
自己資金額 | 2,000万円 | 1,000万円 | 0円 |
年間利息 | 0円 | 120万円 | 240万円 |
収益 | 200万円 | 200万円-120万円=80万円 | 200万円-240万円=-40万円 |
物件に対する利回り | 10% | 4.0% | - |
自己資金に対する利回り | 10% | 8.0% | - |
このように、物件の利回りよりも金利が高くなってしまうと、レバレッジ効果がマイナスに作用してしまうので注意しましょう。
頭金が少なければ、その分金利上昇リスクなども生じるためリスクとのバランスを考慮することが大切です。
頭金別の返済額シミュレーション
ここでは、頭金別の具体的な返済シミュレーションを見ていきましょう。
仮に、次の場合で投資した場合の頭金割合でシミュレーションします。
- 物件価格:5,000万円
- 利回り:8%
- 金利:2%
- 借入期間:35年間
- 年間管理経費:200万円
なお、購入に掛かる諸経費はすべて自己資金で賄うものとしてシミュレーションしていきます。
頭金1割のケース
頭金を1割用意する場合、借入額は次のようになります。
頭金:500万円
借入額:5,000万円-500万円=4,500万円
上記の場合は、返済額は次のとおりです。
返済額:149,068円 / 月(年間:1,788,816円)
ちなみに、この場合での年間の収支は次のようになります。
収益:5,000万円×8%=400万円
収支:400万円-200万円(年間経費)-179万円(年間返済額)=21万円
年間21万円の収益をえられるとなるのです。
頭金2割のケース
次に頭金を2割用意した場合を見てきましょう。
頭金:1,000万円
借入額:5,000万円-1,000万円=4,000万円
4,000万円の借入に対する返済額は次のとおりです。
返済額:132,505円 / 月(年間:1,590,060円)
年間の収支は、次のようになります。
400万円-200万円(年間経費)-160万円(年間返済額)=40万円
上記の場合は、年間40万円の収益をえられるようになります。
頭金3割のケース
最後に、頭金3割のケースで見てみましょう。
頭金:1,500万円
借入額:5,000万円-1,500万円=3,500万円
3,500万円の借入に対する返済額は次のとおりです。
返済額:115,941円 / 月(年間:1,391,292円)
年間の収支は、次のとおりです。
400万円-200万円(年間経費)-140万円(年間返済額)=60万円
頭金を3割入れた場合は、年間60万円の収益を得られます。
このように、頭金の割合によって毎月の返済の負担や得られる収益も大きく変わってくるものです。
最適な頭金の割合は、物件の収益性や個人の自己資金の状況によっても異なります。
投資の目的やスタイル・返済負担などをどれくらいなら許容できるのかをしっかりと計画して、頭金割合を検討するとよいでしょう。
まとめ
不動産投資の頭金の必要性やメリット・デメリット、返済シミュレーションをお伝えしました。
頭金を用意して借入することで、借入額が少なくなり返済の負担が減るというメリットがあります。
また、頭金があるほうが金融機関からの審査も通りやすく借入しやすい傾向があるものです。
頭金の有無や割合によって、収支も大きくことなるため慎重に計画したうえで、頭金を判断することが大切です。
この記事を参考に、頭金について理解したうえで、自分の投資にあった頭金で不動産投資を検討するようにしましょう。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。
逆瀬川勇造
30代男性