といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- 不動産投資における融資の基本
- 不動産投資で融資を利用する3つのメリット
- 不動産投資で融資を利用する際の3つの注意点
- 不動産投資で融資を受けるための必要書類一覧
- 不動産投資で融資を受けるまでの流れ
不動産投資する場合、基本的には融資を受けての投資になります。
しかし、不動産投資したいと思っていても、融資についてよく分からないという方も多いでしょう。
融資についてしっかり理解しておかないと、融資を受けられないケースや返済が厳しくなり不動産投資が失敗してしまう恐れもあります。
不動産投資するうえでは、融資の知識をつけてから投資をスタートすることが大切です。
この記事では、不動産投資における融資の基本からメリットや注意点を分かりやすく解説します。
併せて、融資の流れや具体的な必要書類も解説するので参考にしてください。
これから不動産投資を始めるという方は、以下の記事をご覧ください。
【初心者向け】不動産投資の始め方!7つのステップで徹底解説!
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不動産投資における融資の基本
不動産投資で不動産を購入する場合、現金一括で購入することも可能ですが、多くのケースで銀行から融資を受けて購入するものです。
この銀行からの融資は、不動産投資ローンと呼ばれ、通常マイホームを購入する際に組む住宅ローンとは異なります。
ここでは、不動産投資における融資の基本を確認していきましょう。
審査のポイントは物件の収益性と借主の属性
住宅ローン同様に、不動産投資ローンでも審査を通らなければ融資を受けられません。
住宅ローンの審査の場合、契約者の年収や職業などの個人の属性が主な審査ポイントとなるものです。
それに対し、不動産投資ローンの場合、個人の属性に加えて物件の収益性や資産価値なども重要な審査ポイントとなります。
不動産投資では、基本的に投資物件の家賃収入からローンを返済するものです。
返済を確実にしてもらうために、物件の収益性や採算性が重視されます。
また、金融機関では融資の際に、万が一、返済してもらえない状況に備えて物件に抵当権を設定するものです。
返済が滞った場合、金融機関は物件を強制的に売却してローン回収を図ります。
そのため、ローン残債が回収できるような資産価値や収益性のある物件であることも、一つの条件となるのです。
住宅ローンと比べて金利が高い
一般的に、不動産投資ローンは住宅ローンに比較し金利が高い傾向があります。
住宅ローンの場合、ローン返済は給与から支払われるため安定して返済が見込めるものです。
一方、不動産投資ローンは、家賃収入から支払われるため空室が出てしまうと返済が滞る可能性があります。
住宅ローンに比べ返済してもらえないリスクが高いため、不動産投資ローンの金利は高く設定されているのです。
金利が高ければ、それだけ返済総額が増え毎月の返済の負担も大きくなります。
少しでも金利の低い金融機関で融資を受けられるようにするとよいでしょう。
1~2割程度の自己資金が必要なことが多い
不動産投資で融資を受ける際には、頭金として物件価格の1~2割程度の自己資金を用意することをおすすめします。
金融庁の調査によると、不動産投資ローンを組む際に3分の1以上の案件で頭金を求める金融機関が銀行の89%・信用金庫や信用組合で67%に上るという結果が出ています。
対して、一切頭金を求めていないと回答したのは、銀行で5%、信用金庫や信用組合で13%です。
このように融資の際には、多くの金融機関で頭金を求めているといえるでしょう。
頭金なしでフルローンを組むことも可能です。
しかし、フルローンでの審査はより厳しくなり金利も高くなる傾向があります。
また、自己資金ゼロで不動産投資すると、急な修繕などに対応できないケースもあるので、ある程度の自己資金を用意したうえで不動産投資するとよいでしょう。
不動産投資で融資を利用する3つのメリット
融資を利用する=借金を背負うというイメージがあり、融資を受けることを躊躇する方もいらっしゃるでしょう。
しかし、不動産投資では融資を受けることに大きなメリットがあるものです。
メリットには、以下の3点が挙げられます。
- 早く不動産投資を始められる
- 手元に資金を残すことができる
- 家賃収入で返済できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット①:早く不動産投資を始められる
物件を購入するとなると、数千万円や億単位の高額な資金が必要になります。
その資金を、すべて自己資金で用意しようとすると、資金ができるまでに長い時間が必要になるでしょう。
準備期間中は、良い物件を見つけても自己資金が足りずに購入できないというケースもあるものです。
融資を受けることで自己資金を蓄える時間を待たずに投資スタートできるので、投資チャンスを逃さないというメリットがあります。
メリット②:手元に資金を残すことができる
自己資金をすべて物件購入費用に充ててしまうと、手元資金が一気になくなってしまいます。
ある程度資金に余裕があれば問題ありませんが、購入で手元資金がゼロになる状態は注意が必要です。
不動産投資では、家賃収入が利益となるため空室が出てしまうと収入がゼロとなります。
収入がなくても、管理費や固定資産税などの支出が必要になるため、自己資金で賄う必要があるのです。
また、設備の故障や災害などで修繕が必要になるケースもあるでしょう。
手元に資金がなければ、これらの支出に対応できなくなります。
不動産投資するうえでは、想定外の支出に備え自己資金をある程度残すことが大切です。
融資を活用することで手元に資金を残せ、万が一の場合にも慌てずに対応できるようになるでしょう。
メリット③:家賃収入で返済できる
不動産投資ローンの場合、返済は家賃収入から賄えます。
住宅ローンの返済は、自分の給与から支出するため家計に大きな影響を及ぼすものです。
それに対し、不動産投資の返済は家賃収入をしっかり確保できれば、収入から返済できるので自分の懐は痛みません。
そのうえで、収入を得ることも可能になるのは大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、家賃収入を確保できなければ自己資金で返済が必要になります。
不動産投資では、空室リスクなどのさまざまなリスクがあるため、必ずしも収益を上げられるわけではないことは頭に入れておきましょう。
不動産投資で融資を利用する際の3つの注意点
高額な借り入れとなる不動産投資での融資は、気を付けなければ最悪自己破産につながってしまうケースもあります。
利用するうえでは、注意点を理解したうえで慎重に判断することが大切です。
融資を利用する際の注意点には、次の3つがあります。
- 返済できなくなるケースもある
- 自己資金を多く入れた方が安定する
- しっかり返済計画を立てよう
その①:返済できなくなるケースもある
先述したように、返済額は毎月の家賃収入から賄うため収入がゼロの状態では、自己資金での返済となります。
自己資金に余裕があれば対応できますが、自己資金が不足して返済に対応できなくなるケースもあるのです。
返済できない状態が続けば、物件の売却が必要になります。
しかし、売却にもある程度の資金が必要になるため、売却すらできなくなる可能性もあるのです。
最悪の場合、自己破産するケースもあります。
不動産投資の融資は、借入額が高額になるうえに金利も高いため、返済の負担も大きいものです。
投資する物件の見極めが重要なポイントとなるので、しっかりと調査し収支計画を立てたうえで利用するようにしましょう。
不動産投資の破産については、不動産投資における破産とは?自己破産までの流れや破産前にできる法的手続き・破産しないためのポイントなど解説で詳しく解説しています。
不動産投資における破産とは?自己破産までの流れや破産前にできる法的手続き・破産しないためのポイントなど解説
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その②:自己資金を多く入れた方が安定する
不動産投資での融資では、多くの金融機関で自己資金を頭金として入れることを求められます。
必要な頭金の額は金融機関により異なりますが、より多く用意しておくとその後の不動産投資が安定しやすくなるでしょう。
自己資金の割合が多ければ、その分借入額を抑えられ返済の負担が減ります。
毎月の返済額が少ないことで、手元に多くのお金を残せるようになり経営を安定させることにつながるものです。
ただし、無理に自己資金を多く入れて手元と資金がゼロになってしまっては、万が一の場合に対応できなくなります。
また、自己資金を蓄えるのに時間が掛かり、不動産投資スタートできないなどのデメリットもあるものです。
不動産投資では頭金の額を抑えることで、自己資金以上の投資効果を得るレバレッジ効果を期待できるというメリットもあり、自己資金の割合が増えればこの効果も得にくくなります。
自己資金と融資のバランスは、メリット・デメリットを比較し投資シミュレーションをしたうえで判断することが大切です。
その③:しっかり返済計画を立てよう
融資を受けるうえでは、詳細な返済計画を立てておくことが重要です。
仮に、次の条件で融資を受けたとしましょう。
- 借入額:1,000万円
- 金利:2.0%
- 借入期間:10年
- 元利均等返済
この場合、毎月の返済額は92,013 円となり、年間では約110.5万が必要です。
つまり、毎月の収入が9万円以下の場合赤字となってしまいます。
不動産投資では、ローン返済以外にも管理費や税金などの経費も発生するものです。
それらを考慮して詳細な返済計画を立てなければ、投資の成功は難しいでしょう。
詳細な返済シミュレーションができるサイトも多いので、活用してしっかりとして返済計画を立てることが大切です。
不動産投資で融資を受けるための必要書類一覧
ここでは、実際に融資を受けるために必要な書類について見てきましょう。
融資では、多くの書類が必要になり準備に時間が掛かるので、必要なものを理解し計画的に準備していくことが大切です。
金融機関により異なるものもありますが、基本的には以下の書類が必要になります。
- 物件概要書
- レントロール
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 登記簿謄本、公図、建築確認済書
- 本人確認書類(身分証明書・印鑑登録証明書・住民票)
- 所得証明書類
- 納税証明書
- 住宅ローンや借入の状況を説明する書類(賃貸契約書・支払通帳など)
不動産会社によっては用意をサポートしてくれるので、一度相談してみるとよいでしょう。
不動産投資で融資を受けるまでの流れ
融資を受けるためには、融資の流れを理解しておくこと必要があります。
融資を受けるまでの大まかな流れは、次のとおりです。
- 必要書類の準備
- 売買契約
- 審査申し込み
- 承認~決済
手順①:必要書類の準備
先述した必要書類を準備しましょう。
特に、物件の収益性の判断材料となる、レントロールや物件概要書類は重要なので、早めに準備しておくとスムーズに進められます。
不動産会社が用意してくれる書類もあるので、事前に確認したうえで、自分で用意するものは忘れずに用意しましょう。
書類を用意したら、金融機関へ融資の相談をして事前審査を申し込みます。
相談する金融機関は、金利や融資条件を調べていくつか選定しておくと、万が一断られても次へすぐに行動できます。
手順②:売買契約
物件を決めたら売買契約を結びます。
事前審査は契約前でも可能ですが、本審査は売買契約後になります。
また、事前審査に通っても本審査に必ずしも通るわけではないので注意しましょう。
仮に、本審査に落ちてしまうと、物件を購入できません。
そのような場合に備え、売買契約時にはローン特約を盛り込むことをおすすめします。
ローン特約では、もしローン審査に落ちた場合でも無条件で売買契約を解除できるので、違約金などは発生しません。
手順③:審査申し込み
売買契約後、融資の本審査を申し込みます。
審査には数週間から1ヶ月ほど掛かるので、売買契約後は速やかに本審査を申し込むようにしましょう。
審査に無事通れば、金融機関から融資決定通知が来ます。
手順④:承認~決済
融資承認後は、金融機関と融資契約の手続きをして融資・物件の決済となります。
決済時にも多くの書類が必要になり、不備があれば当日の決済ができなくなる可能性あるので、入念にチェックすることが大切です。
まとめ
不動産投資で重要な融資のメリットや注意点をお伝えしました。
不動産投資では、多くのケースで融資を受けての投資になります。
融資を受けることで、自己資金を確保しながら早い段階で不動産投資スタートできるというメリットがあります。
反面、返済計画をしっかり立てなければ不動産投資を失敗してしまう可能性もあるものです。
この記事を参考に、不動産投資で融資を受けるメリットや注意点を理解し、投資計画をしっかり立てたうえで融資を検討するとよいでしょう。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。
逆瀬川勇造
30代男性