といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- マンションを売却すると翌年に住民税を支払う必要がある?
- マンション売却で支払う必要のある税金
- 譲渡所得税の計算方法
- マンション売却時の住民税課税タイミング
- 住民税を支払う方法
「マンション売却したら住民税って増えるの?」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マンション売却で利益が出た場合、所得税と住民税が課せられる場合があります。
せっかく出た利益を少しでも残せるように、住民税はできるだけ節税したいものですね。
マンション売却に掛かる税金の計算方法や控除特例を知ることで、節税につなげられるものです。
この記事では、マンション売却の翌年に課せられる住民税の計算方法や控除について、分かりやすくお伝えします。
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マンションを売却すると翌年に住民税を支払う必要がある?
マンションは、「買った時」「所有中」「売った時」それぞれのタイミングでさまざまな税金が発生するものです。
その中の一つに、住民税があります。
住民税とは、都道府県に納める「都道府県民税」と市区町村に納める「市区町村民税」を合算した税金のことを言います。
該当の年の1月1日時点に、居住している地域の自治体に対して納める必要のある税金です。
ちなみに、所得が発生する場合に支払う税金としては「所得税」があります。
サラリーマンであれば、両方とも会社の給与から天引きされているため、住民税と所得税は同じようなものという認識がある方もいらっしゃるでしょう。
しかし、住民税が地方に納める「地方税」に対して、所得税は国に治める「国税」です。
納付先が異なるため、異なる税率で計算して納税が必要となり、それらは分けて考える必要があるのです。
住民税は、前年の所得に対して課せられるという特徴があります。
例えば、今年課せられる住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得に対して税率が掛けられるのです。
それに対し、所得税はその年の1月1日から12月31日までの所得に応じで税金が課せられます。
サラリーマンであれば源泉徴収されて納税しますが、所得税は12月にならないと所得が確定しないため、源泉徴収額との誤差が生じます。
そのため、所得税では年末調整で誤差を修正して還付や追加納税が発生するのです。
一方、住民税はすでに確定した所得額を元に納税します。
所得税同様に、サラリーマンであれば給与から天引きで納税する「特別徴収」が一般的です。
それ以外の方は、毎年6月頃に交付される納付書を使って自分で納税する「普通徴収」となります。
住民税・所得税はともに、計算対象の年の所得額を元に課税されるものです。
マンション売却の利益が発生する年は所得が増えるため、住民税・所得税はともに1年間分は納税額が増えてしまいます。
とくに、住民税は前年の収入に対して課せられるものなので、そのことを失念していると後々高額な住民税が課せられ納税できなくなるということもあるものです。
マンション売却で、どれくらいの住民税がいつ必要なのかを理解しておくことで、納税にも慌てずに対応できるようになるでしょう。
マンション売却で支払う必要のある5つの税金
住民税を見る前に、マンション売却に課せられる税金全体を見ていきましょう。
マンション売却に伴い発生する税金には、次のようなものがあります。
- 固定資産税・都市計画税
- 登録免許税
- 消費税
- 印紙税
- 譲渡所得にかかる所得税と住民税
その①:固定資産税・都市計画税
不動産の所有者に対して課せられるのが「固定資産税」です。
マイホームをお持ちの方はおなじみの税金ともいえるでしょう。
固定資産税は、マイホームだけでなく土地や倉庫・山林・田畑などおおよそすべての不動産に対して課せられる税金です。
また、固定資産税と同様のものに「都市計画税」があります。
都市計画税は、都市計画法によって自治体が指定された「市街化区域」に、不動産を所有する場合に課せられる税金です。
固定資産税と都市計画税は、どちらも毎年1月1日時点の所有者に対して納税の義務が発生します。
もし、1月2日に売却してもその年の納税義務は売主に発生してしまうものです。
しかし、それでは売主の大きな負担となります。
そのため、基本的には不動産の所有日数に応じて、売主と買主で税金を按分して納税します。例えば、5月1日に売却した場合は次のようになります。
- 売主:1月1日から4月31日までの120日分を納税
- 買主:5月1日から12月31日までの245日分を納税
ただし、不動産会社や地域によって按分の基準日は異なります。
また、明確な決まりがあるわけではなく最終的には売主と買主の合意で負担割合が決まってくるので、注意が必要です。
売買契約書に、固定資産税・都市計画税の清算については記載されているのでしっかり確認するようにしましょう。
その②:登録免許税
登録免許税とは、物件の名義人変更や抵当権抹消などの登記に関する手続きに必要な税金のことを言います。
税金とはありますが、実質的な登記変更手続きの費用というイメージでよいでしょう。
マンション売却では、マンションの名義人の変更である「所有権移転登記」と、マンションに設定されている抵当権を抹消する「抵当権抹消登記」が必要です。
通常、所有権移転登記費用は買主が負担するのが一般的です。
そのため、売主として負担が必要になるは抵当権抹消登記のための登録免許税になります。
抵当権抹消登記での登録免許税費用は、次のとおりです。
不動産の戸数 × 1,000円
マンションでは、基本的に土地と建物をセットで所有しているため、それぞれ登記が必要となり2,000円の費用が掛かります。
ただし、一般的には司法書士に依頼して手続きするものであり、司法書士依頼料として5万~10万円必要となります。
特に、マンション売却費用でローンを完済して抵当権を抹消する場合、金融機関によっては自分での手続を許可せず司法書士での手続きが必須となる場合があります。
事前に、不動産会社や金融機関に確認しておくとよいでしょう。
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その③:消費税
不動産売却の場合、売却する不動産の種類によって消費税の課税が変わります。
- 土地の売却には消費税が課せられない(非課税)
- 建物部分の売却額には消費税が課せられる
しかし、売主が個人か法人かによっても異なります。
消費税課税対象には次のような決まりがあるのです。
「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び外国貨物の輸入」
そのため、個人が売主である場合、消費税は課せられません。
これは、不動産会社に仲介してもらう場合であっても、売主が個人である場合は課税対象とはならないのです。
ただし、不動産売却に関わる不動産会社などのサービスには消費税が発生します。
消費税が発生するサービスには次のようなものがあります。
- 不動産会社(課税事業者)への仲介手数料
- 登録免許税や司法書士依頼料
- 住宅ローン一括返済時の手数料
- リフォーム費用
不動産売却では大きな金額が動くので、消費税も高額になるものです。
どのような消費税がいつ必要なのかを把握して、売却計画を進めるとよいでしょう。
その④:印紙税
売買契約書や領収書など課税文章を作成した場合に必要となるのが、印紙税です。
不動産売却では、基本的に売買契約書に印紙税が必要になります。
印紙税は、契約書や領収書など、その書類を作成することによって利益が発生する文章に対して課せられる税金のことといいます。
この印紙税を納めることによって、法的な効力を持った正式な契約書として第三者に権利を主張できるようになるのです。
印紙税は、課税対象の文章に収入印紙を貼り消印することで納税できます。
文章に記載された契約金額に応じて必要な印紙料金は異なり、次のとおりです。
書類に記載された契約金額 | 税額 |
10万円超50万円以下 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 6万円 |
5億円超10億円以下 | 16万円 |
10億円超50億円以下 | 32万円 |
50億円超 | 48万円 |
なお、上記は2022年3月31日までの不動産売買契約書の軽減後の税額となります。
印紙税を納める義務は、書類の作成者である売主と買主両方にあります。
しかし、収入印紙代金を売主と買主のどちらが負担するのかは、明確な決まりはありません。
一般的には売主が負担することが多いものです。
ただし、売買契約書を2通作成して売主・買主がそれぞれ保管する場合はそれぞれが負担するのが一般的でしょう。
この場合、2通目をコピーで保管するのであれば、収入印紙は不要です。
そのため、どちらが印紙代を負担するのかで問題になりやすいので事前に不動産会社に確認しておくようにしましょう。
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その⑤:譲渡所得にかかる所得税と住民税
マンションを売却し発生した利益は「譲渡所得」として、所得税と住民税が課せられます。
そのため、マンションを売却した年の翌年には確定申告し、納税の必要があります。
サラリーマンであれば、会社の源泉徴収と年末調整で納税するため、確定申告は不要です。
しかし、会社以外で所得が発生した場合は、確定申告する必要があるので、忘れずに申告・納税するようにしましょう。
譲渡所得にかかる所得税と住民税については、以下で解説していきます。
譲渡所得税の計算方法
マンションを売却した利益には所得税と住民税が課せられ、それらは「譲渡所得税」と呼ばれています。
ここでは、譲渡所得税の計算方法について見ていきましょう。
課税譲渡所得の計算
譲渡所得税は次の方法で算出できます。
- 譲渡所得(課税対象額)=売却金額-(取得費用+譲渡費用)-特別控除
- 譲渡所得税=譲渡所得×税率
まず、課税対象となる譲渡所得額を求めます。
基本的には「売却金額から経費を引いた利益に対して税金が発生する」というイメージで良いでしょう。
売却金額から経費などを差し引いた結果、利益が発生しない場合は税金も発生しないのです。
この利益から差し引く経費とは「取得費用」と「譲渡費用」のことをいいます。
所得費用は、物件を購入するのにかかった費用のことです。
物件の購入代金だけでなく、不動産会社への仲介手数料や登録免許税などが該当します。
ただし、売買契約書などの代金を証明するものがなければ「売却金額の5%」を計上となるので注意しましょう。
譲渡費用は、売却する時に掛かった費用のことです。
売却時の不動産会社仲介手数料や登録免許税などが該当します。
譲渡所得額を計算するうえでは、「減価償却費」に注意が必要です。
譲渡所得額を算出するための所得費用は減価償却を差し引く必要があります。
そのため、4,000万円で買った物件を4,000万円で売却した場合、利益が0円だから税金が発生しないというわけではないのです。
減価償却費用が2,000万円発生する場合、取得費用から2,000万円差引かなければならないため、その分利益が発生してしまいます。
減価償却費によっては利益0円での税金が発生する可能性があるので注意しましょう。
マンション売却で適用を受けられる特別控除
売却価格から経費を差し引いた額から、条件を満たすことでさらに特別控除を差し引ける場合があります。
特別控除を差し引くことで、利益を少なくでき税金を抑えられるので、適用できる特別控除を理解しておくことが大事です。
マンション売却で適用できる特別控除としては、次のようなものがあります。
- 3,000万円特別控除
- 所有期間10年超え特別控除
3,000万円特別控除
3,000万円特別控除とは、マイホームを売却した場合に譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度のことを言います。
この特例を適用するための条件には次のようなものがあります。
- マイホームとして自分が住んでいる物件の売却
- 売買契約が親子間などの特別な関係でないこと
- 以前にこの特別控除を利用していないこと
所有期間10年超え特別控除
所有期間10年超え特別控除とは、所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合に譲渡所得税の課税率が軽減できる制度のことを言います。
この特例を適用するための条件には次のようなものがあります。
- マイホームとして自分が住んでいる物件の売却
- 売却した年の1月1日時点での所有期間が10年を超えている
- 売買契約が親子間などの特別な関係でないこと
- 以前にこの特別控除を利用していないこと
この2つの特例は併用することが可能です。
特例を適用することで納税額を大きく減らせられるので、適用条件を確認するとよいでしょう。
譲渡所得税の税率
課税対象となる譲渡所得額を算出したら、その額に税率を掛けることで譲渡所得税を求められます。
譲渡所得税の税率は物件の所有期間によって異なり、次のとおりです。
所有期間 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 税率合計 | |
短期譲渡所得 | 5年未満 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
譲渡所得の税率は、物件を売却した年の1月1日時点の所有期間に応じで「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分かれます。
例えば、2015年5月1日に購入した物件を2020年に8月1日に売却した場合は、2020年1月1日時点では5年経過していないので短期譲渡所得になります。
反対に、2021年8月1日に売却した場合は、5年を経過しているので長期譲渡所得になるのです。
また、前述した特別控除である所有期間10年を超えるマイホームの売却の場合の税率は、次のとおりです。
売却利益 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
6,000万円以下 | 10.21% | 4% | 14.21% | |
6,000万円超 | 6,000万円以下の部分 | 10.21% | 4% | 14.21% |
6,000万円超の部分 | 15.315% | 5% | 20.315% |
譲渡所得は給与所得などの他の区分の所得とは合算できない「分離課税」になります。
そのため、給与などの所得額に関わらず、売却に対しての利益のみで税額が決まってくるので、注意しましょう。
譲渡所得は、計算が複雑で特別控除の適用の可否も判断しなければなりません。
計算ミスは、申告漏れや納税の負担が増える可能性もあるので、税理士など専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。
マンション売却時の住民税課税タイミング
住民税の額が分かったら、気になるのは「いつ納税の必要があるのか?」でしょう。
住民税の納税のことを忘れて、売却利益をすべて使ってしまっては手持ち資金から納税しなければならなくなります。
高額になり手持ち資金で対応できない場合、税金の滞納はペナルティも発生してしまうものです。
納税タイミングを理解して、支出計画を立てておくことが重要となります。
サラリーマンの場合
会社から給与を支払われるサラリーマンの場合、基本的に住民税は給与から天引きされるものです。
マンション売却の翌年の確定申告で、住民税の額が決定したらその年の住民税に反映されます。
給与から天引きする「特別徴収」であれば、住民税額は会社に通知され会社から天引きされて納税できます。
そのため、確定申告後に改めて申告や納税手続きが必要になることはありません。
個人事業主等の場合
個人事業主や、サラリーマンであっても自分で納税する「普通徴収」を選択している場合は、自分で納付する必要があります。
マンション売却の翌年の確定申告後、5月~6月頃に1年分の住民税納付書が送付されるので、納付書で納税しましょう。
住民税を支払う方法
住民税の納付書が送られてきたら、納付書の期日までに納税が必要です。
納付書は、1年分まとめて支払うか4期に分けて納税する方法があるので、都合の良いほうで支払うようにしましょう。
支払い方法については納付書に記載されており、一般的には次のような場所で支払えます。
- コンビニ
- 納税課の窓口
- 口座振替
- クレジットカード
- ダイレクト納付(e-Tax/インタネットバンキング)
コンビニや納税課の窓口で支払う場合は、現金での支払いになります。
分割支払いを忘れてしまうという方は、口座振替を設定しておくことで支払い忘れがなくなるでしょう。
納付書に同封している振替申請書や納税課などの窓口で申請すると、それ以降は自動的に引き落としになるので便利です。
クレジットカードで支払う場合は、自治体のホームページから手続きます。
支払いに行く時間がない、普段からクレジットカードを利用しているという方は利用するとよいでしょう。
ただし、クレジットカードでの支払いは、決済手数料が自己負担となるので納税額にプラスされることに注意が必要です。
また、クレジットカードでの分割支払いの場合は、口座振替のように自動的に分割で支払われず、その都度支払い手続きが必要なので、支払い忘れに注意しましょう。
まとめ
マンション売却の住民税の計算方法や納税タイミングをお伝えしました。
マンション売却の利益には所得税だけでなく住民税も課せられます。
売却での利益が大きくなればなるほど、住民税の負担は大きくなるため、計算方法や特別控除などの知識があると節税に役立てられます。
また、住民税は、マンション売却の翌年に確定申告し納税しなければなりません。
売却した年の納税ではないので、後から思わぬ住民税の課税が掛かることに注意が必要でしょう。
この記事を参考に、住民税の節税方法や支払いタイミングなどを理解し、住民税の準備を怠らずにスムーズに納税できるようにしましょう。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
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逆瀬川勇造
30代男性