マンション売却

マンション売却時のエアコンの取り扱いはどうすべき?エアコンを残す売主側のメリット・デメリットなど解説

マンションを売却しようと思っているのですが、エアコンってどうすればいいのでしょうか?そのまま付けっぱなしでもいいのかどうか教えてください。

といった悩みにお答えします。

本記事の内容

  • マンション売却時に残す必要があるものと残さなくていいもの
  • エアコンを残す売主側のメリット・デメリット
  • エアコンを残す買主側のメリット・デメリット
  • エアコンを残す判断基準は?
  • エアコンを残す場合の手続き
  • マンション売却後のエアコンに関する3つの注意点

「マンション売却時にはエアコンは取り外したほうがいいのだろうか?」そんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。

売却時にエアコンを取り外すかどうかは決まりがなく、売主が自由に決めて問題ありません。

しかし、取り外した場合とつけたままではそれぞれメリット・デメリットがあるので、慎重に判断することが大切です。

また、エアコンのあるなしでトラブルに発展してしまう可能性もあるので注意しなければなりません。

ここでは、エアコンを取り外すかどうかの判断基準となるメリット・デメリットから注意点まで分かりやすく解説します。

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マンション売却時に残す必要があるものと残さなくていいもの

マンション売却時に残す必要があるものと残さなくていいもの

マンション売却という「不動産取引」では、不動産に含まれるのかどうかで残す必要性が変わってくるものです。

ここでは、まず残す必要があるものと残さなくてもいいものについて見ていきましょう。

残す必要があるもの

そもそも「不動産」とは、民法で次のように定義されています。

土地および土地に定着している物

土地に定着しているものとは、建物や構築物が該当します。

不動産という名の通り、基本的には動かさない財産が「不動産」になり、それ以外の車などと言った動かせる財産は「動産」となるのです。

ちなみに、屋根と柱と壁がある状態のものは登記法上「建物」になるため、不動産として認識されるのです。

そのため、一戸建てやマンション・倉庫・車庫と言った建物はすべて不動産となります。

また、樹木や庭石と言った簡単には動かせないものも土地に定着しているものと見なされるため、不動産となるのです。

そのため、「不動産取引」の場合、建物などの主要構築物と主要設備が基本的に取引の対象となります。

マンション売却の場合は、マンションの土地と専有部分・共有部分で共有持ち分を所有している場合は、その持ち分も売却対象となるのです。

他にも、主要設備としては次のようなものが該当します。

  • 給湯関係設備
  • 水回り設備
  • 空調関係
  • インターホン

これらの最初から備えられていた設備については売却時に残しておく必要があります。

残さなくていいもの

不動産取引には動産は含まれないため、「付帯設備」にあたるものは残す必要がないのです。

動産には、室内にある家具や家電など簡単に取り外して持ち運びできるものが該当します。

エアコンは一見動かせないようにも見えますが、一般的に後から取り外しや取り付けができる造作物であるため、売却対象にはならないのです。

残す必要のない付帯設備としては、次のようなものも該当します。

  • 照明器具
  • 食器棚
  • カーテン

基本的には、マンション購入時にもともと付いていたものでなければ、売主に残すかどうかの決定権があります。

エアコンも、途中で売主が買い足したものであれば、売主が自由に取り決めて問題ないのです。

エアコンを残すかどうかは買主と売主で話し合いする

エアコンを残すかどうかは、原則として売主が自由に決めて問題ありません。

しかし、買主からしてみればエアコンが付いているのか普通と考えている場合があります。

その場合、「エアコンが付いてくると思っていたのについていない」といってトラブルに発展する可能性があります。

そのようなトラブルを防ぐためにも、事前に売主と買主でエアコンの取り扱いについて話し合っておくことが重要なのです。

もし、買主がエアコンをつけたままを希望するのであれば、問題がない場合は買主の要望に沿ったほうが得策とも言えます。

どうしてもエアコンを取り外して次の新居に持っていきたい、エアコンに愛着があるという場合は、売主の意見を押し通すことも可能です。

しかし、買主と揉めてマンション自体の売却自体ができなくなるリスクを負ってまで、こだわりたいエアコンというのもなかなかなないでしょう。

エアコン代を惜しんでマンション売却自体を白紙にするかを、冷静に判断することが大切です。

エアコンを残す売主側のメリット・デメリット

エアコンを残す売主側のメリット・デメリット

エアコンを残すかどうかは、メリット・デメリットについて理解したうえで判断することも重要です。

まずは、売主側のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリット

エアコンを残した場合の売主側もメリットには、次のようなことがあります。

  • 取り外し費用や処分費用が不要になる
  • 引っ越し時の手間が少ない

エアコンは自分で取り外しが難しいので、業者に依頼して取り外す必要があります。

そのため、取り外しにも不要が掛かるものです。

また、処分するとしても自治体によっては処分費用が掛かります。

残しておくことで、それらの費用が掛からないというメリットがあるでしょう。

また、エアコンごと次の新居に引っ越すとなると手間も増えてしまうので、残しておくことで引っ越しの手間も少なくなります。

デメリット

残す場合のデメリットには、次のようなことがあります。

  • 新居にエアコンを持っていくことができない

残してしまうことで、次の新居にエアコンが備え付けられていなければ新しく買い直す必要があります。

その費用が掛かってしまうのはデメリットと言えるでしょう。

エアコンを残す買主側のメリット・デメリット

エアコンを残す買主側のメリット・デメリット

ここでは、エアコンを残した場合の買主側のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリット

買主側もメリットには次のようなことがあります。

  • 新しくエアコンを買う必要がない

エアコンがついた状態なら、買主は新しくエアコンを購入して設置する必要がありません。

特に、エアコン付きの賃貸などから引っ越してくる買主は、もともとエアコンを持っていないものです。

新しく購入する費用や手間が省けるのは、買主にとって大きなメリットになります。

デメリット

デメリットには、次のようなことがあります。

  • 好みのエアコンをつけたい場合は取り外し費用が掛かる

エアコンのメーカーや性能にこだわりが強く、すでに付いたエアコンではなく好みのエアコンにしたいという買主もいらっしゃいます。

その場合、好みのエアコンをつけるために、取り外して処分が必要になり余分な費用が掛かってしまうものです。

買主に余分な費用が掛かってしまうと売却に影響してしまうので、その場合は事前に確認しエアコンを取り外した状態で売却することをおすすめします。

エアコンを残す判断基準は?

エアコンを残す判断基準は?

エアコンを残すかどうかは売主の自由です。

とはいえ、残すべきか判断に悩むこともあるでしょう。

エアコンを残すかどうかの判断基準としては、次のようなことがあります。

  1. 比較的新しいエアコンだと買主に喜ばれやすい
  2. 購入年数ごとの目安

その①:比較的新しいエアコンだと買主に喜ばれやすい

比較的新しいエアコンは、売主としては次の新居に持っていきたいと考える方も多いものです。

しかし、可能であれば残すことで買主に喜ばれやすくなります。

エアコンは、取り外しや移設にも費用が掛かります。

その費用で新しいエアコンを購入し、今のエアコンは残して買主の印象を上げるほうが得策ともいえるでしょう。

その②:購入年数ごとの目安

古いエアコンは、新機種に比べると性能が衰えるだけでなく電気代がかかります。

また、すぐに故障してしまう可能性もあるものです。

古いエアコンは残してしまいたいものですが、残してしまうと買主に負担をかけてしまう場合があります。

エアコンの購入年数ごとの目安としては以下の通りです。

購入年数
5年以内故障の心配もなく、さらに長期間利用可能
5~8年以内今後長期間利用できるかは不明
8~10年以内いつ故障してもおかしくない状態

エアコンの寿命は、一般的に10年と言われています。

8年を超える場合は、故障のリスクが高くなるので取り外してしまうことをおすすめします。

ただし、買主によっては古くてもいいという場合もあるので、確認してみるとよいでしょう。

エアコンを残す場合の手続き

エアコンを残す場合の手続き

エアコンを残す場合、何も言わずに残してしまって問題ないように感じますが、告知なしで残すとトラブルになるケースがあります。

エアコンを残す場合でも、ある程度の手続きが必要になるのです。

残す場合の手続きには、次のようなものがあります。

  1. 買主と話し合いをして了承を得る
  2. 付帯設備表に記載する

その①:買主と話し合いをして了承を得る

エアコンを残す場合も、必ず買主と話し合いをして了承を得ることが必要です。

売主としては、残しておいたほうが買主もお得だろうと思っていても、買主にとっては不要だったという場合もあるでしょう。

了承なしに残しておくと後々トラブルに発展してしまう可能性もあります。

エアコンの状態を含めて買主に了承を得たうえで、残すようにしましょう。

その②:付帯設備表に記載する

マンション売却時では、エアコンだけでなく付帯設備を残す・残さないで問題になるケースが多いものです。

特に、口約束だけの場合は「言った」「言わない」になって問題も大きくなります。

そのため、残す付帯設備については、すべて付帯設備表としてリストアップしておくことが大切です。

付帯設備表とは、マンションにどのような設備があるのかを、設備の状態とともに記載した一覧表のことを言います。

  • 残すものと残さないもの
  • 残す設備の状況

内覧時や売買契約時には設置していて、引き渡し時に撤去する場合も「なし」として記載するようにしましょう。

また、記載前には設備の動作確認をして不具合を確認し、不具合がある場合はその旨も記載しておくことが必要です。

特に、エアコンは本体には問題がなくても、リモコンが故障しているというケースもあるので注意しましょう。

「あると思っていた設備がない」「動くと思っていたけど動かない」という場合は問題にトラブルの原因となりやすいものです。

口頭できちんと説明して理解してもらうだけでなく、書面として記載しておくことでトラブルを回避できるでしょう。

マンション売却後のエアコンに関する3つの注意点

マンション売却後のエアコンに関する3つの注意点

エアコンを残して売却する場合に、注意しておきたいこととして次の3つがあります。

  1. エアコンの有無は売却額と関係はない
  2. 残す場合は契約不適合責任に注意
  3. 外す場合でも売買契約まではつけておく

注意点①:エアコンの有無は売却額と関係はない

エアコンをつけたままのほうが、マンションが高く売れるのではと思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、エアコンの有無は売却額には影響しないのが一般的です。

たとえ、購入してすぐの最新型であっても、購入者の希望に沿うとは限りません。

そのため、売却額はエアコンがあるから上がる、ということはないので注意しましょう。

注意点②:残す場合は契約不適合責任に注意

契約不適合責任とは、契約内容と異なる状態で引き渡した場合に売主に問われる責任のことです。

雨漏りがある状態なのに、契約書に雨漏りありの記載がないといったケースが該当します。

この責任を問われると、売主は修理や損害賠償請求・契約の撤回などの大きな負担が掛かってしまうのです。

エアコンなどの付帯設備では、基本的に対象外となるこの責任は問われないのが一般的です。

しかし、引き渡し後に故障が判明するとトラブルに発展することもあります。

エアコンは、いつ故障してもおかしくない設備です。

古い機種の場合はもちろんですが、新しい機種であっても、昨日まで正常に機能していたのに、突然壊れたということもあるでしょう。

引き渡し後に壊れる可能性がゼロではないので、その旨をきちんと買主に伝え、設備表に記載しておくようにしましょう。

注意点③:外す場合でも売買契約まではつけておく

エアコンを取り外すという場合でも、すぐに取り外すのではなく売買契約時までは付けておくことをおすすめします。

内覧時にエアコンがないと、夏場や冬の内覧では、暑さや寒さでゆっくり内覧できないという場合があるのです。

内覧時にエアコンがある・なしは、内覧の快適さに大きく影響し内覧希望者の印象も異なってきます。

売却活動中はエアコンを残しておくと、最適な室温でゆっくり内覧でき印象も良くなるでしょう。

ただし、「内覧時はエアコンがあったのに」と揉めてしまう可能性もあるので、契約後には撤去することをしっかり了承を得ておく必要があります。

まとめ

マンション売却で、エアコンを残すメリット・デメリットや注意点についてお伝えしました。

エアコンを残すかどうかは売主が自由に決めて問題ありません。

しかし、残すことで売主・買主ともにメリットもあるので、慎重に判断することが大事です。

特に、エアコンは残す・残さないで買主とのトラブルに発展するケースもあるので、買主の了承をきちんと得ておくことも必要になります。

この記事を参考に、エアコンに関する買主とのトラブルを避け、スムーズにマンションを売却できるようにしましょう。

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この記事を書いた人

逆瀬川勇造

30代男性

資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)

地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。

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