マンションの共有持分は買取できる？メリット・注意点と持分買取以外の解決策をご紹介

マンションの共有持分って買取できるのでしょうか？メリットなどを教えてください。

といった悩みにお答えします。

マンションの共有持分を所有しており、買取できるのか気になっている人もいらっしゃるでしょう。

共有持分はなかなか売却できないため、買取りを検討なさっている人も多いです。

本記事では、買取のメリットや注意点、また買取以外の解決方法についても紹介します。

マンションの共有持分をお持ちの方はぜひ本記事を参考になさってみてください。

マンションの持分買取は可能？

結論からお伝えすると、「マンションの共有持分を買取してもらうことは可能」です。

専門業者に買取してもらうことは可能ですが、様々な注意点がありますので、その内容を充分に理解した上で、慎重に売却を進めることをおすすめします。

また買取以外の方法もありますので、そちらの方法も検討してみましょう。

そもそも共有持分とは？

マンションや一戸建ての不動産を所有する場合に、一人で持つ場合は単独所有、複数で持つ場合は共有持分となります。

つまり、共有持分とはひとつの不動産を複数の人で所有している状態です。

例えば遺産相続の際など、親が亡くなった際には遺産分けを行うため、実家は兄弟で半分ずつ持分を持っている、という場合も多々あります。

マンションの一部の所有権を持つこと

共有持分とはマンションの一部の所有権を持つことです。

つまり、不動産全体の所有権を持っているわけではありません。

それぞれの所有権割合のことを共有持分と呼び、「1/2」や「1/3」などの数字で表します。

持分の割合は不動産購入時の負担額の割合や、遺産相続時に決まるケースが多いでしょう。

共有者がそれぞれ所有権を持っているため、不動産の活用方法についても共有者個人で決めることができず、共有者の過半数もしくは全員の同意が必要です。

共有持分のみの単独売却は可能

不動産の共有持分だけを所有していても、不動産全体を売却することはできません。

しかし、自分が所有している共有持分のみを単独売却することは可能です。

自分の持分については所有権があるため、他の共有者の意思に関係なく、自分の意志で売却することが可能です。

そのため、他の共有者に知られずに自分の持分のみ売却することができます。

しかし、不動産全体を売却する際には、持分を持っている他の共有者全員の同意が必要だということに注意しましょう。

共有持分のみでは買い手がつかない

自分の共有持分を売却するためには、共有持分のみで売却をする必要があります。

しかし、共有持分のみを購入しても活用方法が難しく、メリットがあまりないため、共有持分だけではなかなか買い手が見つからないという状況が一般的です。

そのため、一般の第三者が共有持分を購入してくれることはほとんどなく、共有持分のみで売却することはかなり難しいでしょう。

共有持分の買取とは？

不動産の共有持分だけでも買取をしている不動産会社があります。

買取とは不動産会社が他に買主を探してくるわけではなく、直接自社にて買取を行うことです。

共有持分の買取業者は、物件を査定した上で、買取り金額を提示しますので、その金額に売主が納得すれば、契約を行い、代金の支払いと同時に契約名義を変更するというシンプルな流れで売却をすることができます。

買取業者であれば共有持分のみでも売却しやすい

共有持分のみで一般の第三者に売却することは難しいですが、買取業者であれば売却することが可能です。

買取業者は共有持分を買取り、他の共有者に売却することを目的にしているため、第三者では購入が難しい共有持分の買取りをしてくれる可能性が高いでしょう。

買取業者は全ての持分買取を目指すのが一般的

買取業者は共有持分を買い取った後に他の共有者に売却をすることを目的としています。

そのため、全ての共有持分を買い取ることを目指しています。

買取業者であっても、共有持分を一般の第三者に売却することは非常に難しいため、安い価格で買い取り、他の共有者に高い価格で売却して利益を得る仕組みになっており、もしすべての持分を安くで買い取ることができれば、不動産全体を売却し、売却額と買取額の差額分の利益を得ることが可能です。

買取業者にマンションの持分を売却するメリット

買取業者にマンションの持分を売却することのメリットについて説明します。

下記の3つのメリットについて詳しくみていきましょう。

メリット①：すぐに売却できる

買取業者にマンションの持分を売却することで、すぐに売却できるメリットがあります。

他の共有者から同意を得る必要がないため、簡単に売却することができ、他の共有者と仲が悪くても、やり取りをせずに売却することができます。

自分の持分を売却する際に、他の共有者の意思は関係ないため、仮に連絡が取れない共有者がいたとしても、すぐに売却が可能です。

メリット②：買い手のつかない持分でも買い取ってくれる

共有持分を売却する時には、買い手を探すのに苦労します。

メリットが小さい不動産の共有部分のみを買い取ってくれる人を探すのはとても難しい事です。

より買い手がつきにくい築古物件や事故物件であればなおさら難しいですが、買取業者は買い手がつかないような物件の共有持分でも査定した上で、買い取ってくれます。

買取業者は他の共有者への売却を進めていくからこそ、一般の第三者では購入しないような持分でも買い取ることが可能です。

メリット③：売却に手間がかからない

買取業者に売却をする際には査定後すぐに契約を締結し、決済までスムーズに行うことができ、他の共有者と煩わしいやり取りをする必要がありません。

一般的な第三者が買主であれば、金融機関を通じて資金を準備する期間が必要ですが、買取業者が買主であればすぐに売却をすることができます。

経験豊富な買取業者に売却することで手間をかけることなく、早いタイミングで売却を終え、現金化することが可能です。

買取業者にマンションの持分を売却する注意点

次にマンションの共有持分を買取業者に売却する際の注意点をお伝えします。

下記の3つの注意点について詳しくみていきましょう。

注意点①：相場より安い価格での買取となりやすい

買取業者に売却すると相場より安い価格での買取となりやすい点に注意しましょう。

買取業者は持分を安く買い取り、高く売ることで利益を上げることが可能です。

一般的な物件の買取価格は本来の価値の80％程度になりますが、共有部分の買取だと50％程度になるリスクがあります。

その理由として、「共有持分は活用が難しく、買い取った人にメリットが小さいこと」や、「買取業者は買い取った持分の売却に失敗するリスクが高いこと」、などが挙げられます。

そのため、買取業者は不当とも思えるほどの安値でしか買取りの提案を行わないのです。

買取業者へ極端な安値で売却すると、大きな損をする可能性がありますので、売却を決意する前によく検討した上で判断を行いましょう。

注意点②：他の共有者に迷惑をかけることがある

不動産の共有持分は家族や親族同士で所有していることが多いでしょう。

その場合に他の共有者に無断で共有持分を売却すると後でトラブルになったりすることもあるため、注意が必要です。

例えば、親族である共有者同士が不動産全体の売却を検討する際にも、買取業者が持分を持っている場合には、買取業者の同意がないと売却を行うことができず、買取業者が売却の妨害をするということも考えられます。

そのため不動産全体を売却するためには、親族同士で買取業者から持分を買い取ることが必要になり、当然ながら買取業者は高値で持分を売却しようとしますが、資産を守るためには高値で買い取るしかなくなります。

法律上は、他の共有者の同意は不要ですが、家族や親戚などが共有者の場合はこのような場合に迷惑をかける可能性があることを理解しておきましょう。

売却後も共有者との付き合いが継続するのであれば、相談しながら売却を進めることをおすすめします。

注意点③：共有物分割請求される可能性がある

持分を買い取った買取業者から共有物分割請求される可能性があります。

「共有物分割請求」とは共有状態を解消して単独所有物件とすることで、持分をもつ共有者はいつでも共有物分割をすることが認められている制度です。

具体的には「協議による分割」と「裁判所による分割」の2種類があり、協議（話し合い）による分割が合意できない場合には裁判所に分割請求を行うことが可能です。

裁判所による分割方式には下記の3つのパターンがあります。

つまり、共有持分を持つ買取業者が共有物分割請求を行うことで、最終的に物件が競売にかけられるなど、物件を失う可能性があります。

そのため、簡単に買取業者に持分を売却しないように注意しましょう。

持分買取以外の方法でマンションを売却する方法

次に業者による持分の買取り以外の方法でマンションを売却する方法について説明します。

下記の3つの方法について詳しくみていきましょう。

その①：相続時に単独所有する

不動産は分けにくいため、遺産相続時に家族や親族間で共有持分となるケースが多くみられます。

しかし、共有持分の場合にはマンションを売却時に共有者全員の同意が必要になるなど、手間が掛かります。

共有者の仲が悪いと、同意を得るのにも苦労しますし、共有者が亡くなり、さらに相続が発生するとさらに相続人が多くなり、全員の承諾を得ることがさらに大変になるでしょう。

そのため、遺産相続時に共有の持分にすることは避け、単独所有にしておくことで、売却の際に話を進めやすくなります。

その②：共有者のうちの1人が全ての持分を買い取る

共有者のうちの誰かが他の共有者の持分を全て買い取る方法があります。

そうすることで、買い取る人の単独所有となり、その人の意思でマンションを売却することが可能です。

しかし、買い取る人の経済的な負担が大きくなるため、注意が必要です。

持分を売る人も買う人も納得できる価格を調整して決めなければなりません。

妥当な価格を把握するためには不動産鑑定士に相談してみると良いでしょう。

不動産鑑定士は専門的な第三者の立場で適正な価格を算出しますので、売買価格を決める上で参考になります。

不動産取引では不動産会社が査定を行うことも多いですが、共有者間の持分の売買では、不動産会社を挟んだ仲介取引でないことが一般的ですので、不動産会社ではなく、不動産鑑定士に適正な価格を相談することをおすすめします。

その③：共有者の同意を得て共有物全体を買い取って貰う

持分を持つ全員の同意を得た上で、共有物全体を買い取って貰う方法です。

共有物全体を売却することで、共有者の一人に大きな負担がかかることなく売却することが可能になります。

共有物全体の売却は、第三者へ売却することもできますので、不動産会社の力を借りて広く購入検討者へアプローチすることができます。

ただし、共有物全体を売却するためには、共有者全員の同意を得る必要がありますので注意しましょう。

まとめ

本記事では、マンションの共有持分の買取ができるのか、といったことから買取のメリットや注意点、また買取以外の解決方法について紹介しました。

共有持分のみであれば、他の共有者の同意を得ることなく、単独で売却することができますので、買取業者に買取りしてもらうことで、楽に売却することが可能です。

しかし、他の共有者に迷惑がかかる場合やトラブルが発生する場合がありますので、共有者が家族や親族の場合は特に慎重に買取業者に持分を売却すべきなのか検討することをおすすめします。

買取以外にもマンションを売却する方法がありますので、共有持分を売却したい場合は他の共有者に不動産を売却する意思がないか相談した上で方針を決めた方が良いでしょう。

共有持分の買取りは、注意点についてよく理解し、判断しましょう。

持分をお持ちの方はぜひ本記事を参考になさってみてください。

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この記事を書いた人

逆瀬川勇造

30代男性

資格：宅建士、FP2級技能士（AFP）

地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。