といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- マンション売却時の仲介手数料とは
- マンション売却でかかる仲介手数料の相場
- 仲介手数料を支払うタイミングと支払い方法
- 仲介手数料を安くしてもらう方法はある?
- 無料や半額を実現できる理由
マンションの売却を不動産会社に依頼すると仲介手数料が発生します。
しかし、仲介手数料とは何のための費用なのか、どれくらい掛かるのか詳しく分からないという方も多いものです。
仲介手数料は高額になる場合もあり、きちんと把握していないと売却できても手元にのこるお金が少ないということにもなりかねません。
また、マンションでは、仲介手数料以外にも多くの費用が発生するので仲介手数料を少しでも抑えたいという方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、マンション売却での仲介手数料の基本や計算方法・安くする方法を分かりやすく解説します。
【5分でわかる】マンション売却の流れと費用
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マンション売却時の仲介手数料とは
そもそもマンション売却時に必要な仲介手数料とはどのような費用なのでしょうか。
仲介した不動産会社に支払う報酬
仲介手数料とは、マンション売却を依頼した不動産会社に支払う費用のことです。
仲介手数料には、売却活動に必要な広告費や不動産会社の人件費などの基本的な経費が含まれています。
マンションを売却するには、買い手を探すことが必要です。
また、売買手続きするとなると金融や不動産・法律など専門的な知識も必要になります。
それらは素人では売却が難しいため、一般的には仲介として不動産会社と媒介契約を結び売却するものです。
その契約を結んだ不動産会社に対し、仲介手数料を支払います。
売買契約成立時に支払う成功報酬
仲介手数料は不動産会社の成功報酬でもあります。
媒介契約を結んだだけでは仲介手数料が発生せず、マンションの売買契約が成立した時に発生するのです。
そのため、売買契約が成立しない場合は、仲介手数料を支払う必要はありません。
マンション売却でかかる仲介手数料の相場
ここでは、マンション売却での仲介手数料の計算方法や相場について見ていきましょう。
仲介手数料は、思っていたよりも高額になる可能性が高いので、計算方法をしっかりと把握し、事前に費用の目安を立てておく必要があります。
仲介手数料には法律で上限が定められている
仲介手数料の金額は、一律の決まりはありません。
しかし、その上限が法律によって定められています。
宅地建物取引業法
第四十六条
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
仲介手数料は、上限を超えなければ不動産会社が自由に設定できます。
そのため、不動産会社によって仲介手数料の額も異なるのです。
仲介手数料の計算式
仲介手数料の上限は、次の計算方法で求められます。
売却額 | 仲介手数料上限 |
200万円以下の部分 | 売却額の5%+消費税 |
200万円超400万円以下の部分 | 売却額の4%+消費税 |
400万円超えの部分 | 売却額の3%+消費税 |
売却額に応じて、それぞれの区分で計算し合計した金額が仲介手数料の上限となります。
例えば、1,000万円でマンションを売却した場合の仲介手数料は次のとおりです。
- 200万円×5%+消費税=11万円
- 200万円×4%+消費税=8.8万円
- 600万円×3%+消費税=19.8万円
仲介手数料上限=11万円+8.8万円+19.8万円=39.6万円
よって、この場合は、39.6万円が仲介手数料の上限となります。
しかし、上記の計算方法では計算が複雑で面倒です。
そのため、簡単に計算できる速算式を用いられるのが一般的です。
速算式(売却額400万円以上の場合)=売却価格×3%+6万円+消費税
1,000万円で売却した場合、速算式で求めると次のとおりです。
仲介手数料上限=1,000万円×3%+6万円+消費税=39.6万円
速算式は、売却額が400万円を超える場合のみ適用できるので注意しましょう。
仲介手数料の相場=仲介手数料の上限
仲介手数料の上限以内であれば、不動産会社はその額を自由に決められます。
しかし、基本的には上限額ぎりぎりで設定している不動産会社が一般です。
そのため、仲介手数料上限額が仲介手数料の相場と言えるでしょう。
仲介手数料上限額の早見表は次のようになるので、参考にしてみてください。
売却額 | 仲介手数料上限(税込) |
1,000万円 | 396,000円 |
1,500万円 | 561,000円 |
2,000万円 | 726,000円 |
2,500万円 | 891,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 |
3,500万円 | 1,221,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 |
4,500万円 | 1,551,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 |
仲介手数料は、広告費や人件費が含まれた費用のため、基本的には売主から特別に要求していない限り、追加で費用を請求されることはありません。
追加で費用が発生するケースには、次のようなことがあります。
- 売主の希望で遠方の購入希望者と物件の交渉をした際の出張旅費
- 売主依頼で新聞や雑誌に広告を掲載した場合
上記のような場合は、仲介手数料以外で費用が請求される可能性が高くなるでしょう。
その場合は、事前に売主に了承を得た場合のみで不動産会社は請求できます。
仲介手数料は通常業務で発生する費用は含まれています。
本来含まれるべき費用を不動産会社によって、仲介手数料とは別の名目で追加費用として請求してくるケースもあるのです。
了承した覚えのない費用などが追加されている場合などは、注意しましょう。
仲介手数料の額は、媒介契約を結ぶ際の契約書に記載されています。
媒介契約時には、仲介手数料の額だけでなく他の追加費用が発生しないのかも確認しておくとよいでしょう。
仲介手数料を支払うタイミングと支払い方法
仲介手数料は高額になる可能性があるので、支払時期にあわせ余裕を持って準備しておく必要があります。
ここでは、仲介手数料の支払うタイミングや支払い方法について見ていきましょう。
仲介手数料のタイミングは3パターン
仲介手数料は、売買契約が成立することで発生するため、基本的には売買契約以降での支払いになります。
不動産会社により支払うタイミングは異なりますが、一般的には次の3つのタイミングに分かれます。
- 売買契約時に一括
- 売買契約時に半分→決済時に残額
- 決済時に全額
事前に不動産会社にどのタイミングでの支払いなのかを確認し、用意するようにしましょう。
また、以下のようなケースでは仲介手数料が返金される可能位があります。
- 買主が住宅ローンに落ちた場合
- 自然災害などで物件が引き渡しできない状態になった
- 物件に生活に支障が出るような欠陥が見つかった
ただし、不動産会社の仲介に落ち度がない場合は仲介手数料が返金されない可能性もあります。
返金されるケースについては、媒介契約書に記載されているので契約前にしっかり確認しておくことが必要です。
仲介手数料の支払い方法
仲介手数料の支払い方法としては、現金での支払いが一般的です。
支払日には高額な現金を持ち歩くことになるので、取り扱いは十分に注意しなければなりません。
また、現金の持ち歩きが不安な場合、振り込みやクレジットカード払いに対応している不動産会社もあるので確認するとよいでしょう。
現金での支払いの場合、決済後であれば売却代金から支払うケースが多いものです。
しかし、売買契約時が支払いのタイミングの場合、高額な仲介手数料を用意できない場合もあるでしょう。
不動産会社によっては、そのような場合は分割払いに応じてくれるケースもあるので相談することをおすすめします。
仲介手数料を安くしてもらう方法はある?
高額になる仲介手数料は、少しでも安く抑えることで手元に残るお金を多くすることにもつながります。
値引きは難しいことが多い
売り手としては仲介手数料を値引いてもらいたいものですが、不動産会社にとっては大事な収入源です。
また、人件費や広告費を仲介手数料から賄っているため、値引き交渉を持ち掛けても応じてもらえない場合が多いでしょう。
無理に値引き交渉してしまうと、不動産会社との関係性が悪くなり売却に響いてしまう可能性もあります。
不動産会社にとって仲介手数料が低ければ、販売活動への意欲も減退するものです。
また、十分な広告費を確保できなければ、売却できなくなる可能性も高くなるでしょう。
仲介手数料が高い場合でも、売却活動としてマンションのクリーニングなどのサービスが充実している不動産会社もあります。
仲介手数料を無理に値引いて売れなくなるよりも、満額支払ってお互いに気持ちよく売却できるようにするほうが得策ともいえるでしょう。
とくに、手元に残るお金を増やしたいという理由で値引きを検討するのであれば、仲介手数料の値引きよりも、マンション自体を高く売ることを優先させることをおすすめします。
仲介手数料の金額だけでなく、成約チャンスやサービスなどを総合的に判断することが大切です。
それでも値引きしてもらいたいときの方法
どうしても仲介手数料を安く抑えたいという場合、値引き交渉よりも、もともと安く設定している不動産会社を検討することをおすすめします。
近年では、仲介手数料が無料や半額と謳っている不動産会社も増えてきています。
そのような不動産会社であれば、値引き向上せずとも仲介手数料を安く抑えられるものです。
とくに、都心の不動産会社は競合対策として仲介手数料を安く設定しているケースもあるので検討するとよいでしょう。
無料や半額を実現できる理由
仲介手数料は不動産会社にとって、重要な利益であるため値引いてしまうとその分収入が減少するものです。
ではなぜ、無料や半額にできるのでしょうか?
インターネット広告に力を入れているケース
仲介手数料とは、売却活動のための広告費や人件費のためのものです。
以前は、紙媒体でのチラシが多くその分広告の作成や印刷代に多くの費用が掛かっていました。
しかし、現代は紙媒体よりもインターネットの広告に力を入れている不動産会社も増えているのです。
とくに、不動産会社自体がホームページを持っている場合などでは、インターネット活用した広告は費用を安く抑えられる場合があります。
仲介手数料の上限自体は、広告が紙媒体であろうとインターネットであろうと変わりません。
広告費を安く抑えた分、仲介手数料を安くできるのです。
両手仲介のケース
仲介手数料は、買主・売主それぞれで発生します。
両方と契約している場合、不動産会社は買主・売主両方から仲介手数料を得られます。
これを両手仲介(両手取り)といい、もっとも利益を大きくできる方法なのです。
両手仲介できる場合、どちらかの仲介手数料を安くしても不動産会社にとっては採算を合わせやすくなります。
仲介手数料は、売買契約が成立しないと得られないので、なるべく早く契約を成立させるためにも仲介手数料を安くするケースがあるのです。
とくに、不動産会社は物件がなければ売却もできないため、売主の確保を重要視しているものです。
そのため、両手取りの場合売主側の仲介手数料を安くする可能性が高くなります。
ただし、両手取りを優先させ「囲い込み」をされるケースがあるので注意が必要です。
囲い込みとは、不動産会社が自分で買主を見つけるために、他の不動産会社からの問い合わせや購入希望者の紹介を勝手に断ってしまうことを言います。
囲い込みをされてしまうと、なかなか買主が見つからないため売却額を下げなければならない事態に陥る可能性もあるのです。
仲介手数料が半額や無料という不動産会社を選ぶ場合は、安くなる根拠を理解したうえで信頼できる不動産会社を選ぶ必要があります。
仲介手数料を安く抑えることを優先させてしまうと、最終的に安く売却するはめになり、結局損になってしまう場合があります。
反対に、仲介手数料を安くすることではなく、物件を高く売って利益を出すことを優先するほうがスムーズに売却でき、手元に残るお金も多くなる可能性があるものです。
仲介手数料の額だけではなく、トータルで判断できるようにしましょう。
まとめ
マンション売却の仲介手数料の相場や計算方法・安くする方法などをお伝えしました。
仲介手数料は、仲介する不動産会社に支払う成功報酬です。
上限額が法律によって定められているので、上限額を目安に仲介手数料を判断することが大切です。
仲介手数料は、不動産会社によっての大事な収入源であり広告費や人件費などの必要経費でもあります。
仲介手数料を無理に安くしても、売却に響いてしまい結局損してしまう可能性があることには注意が必要です。
この記事を参考に、仲介手数料について理解し、少しでも多く売却利益を出せるようにしましょう。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。
逆瀬川勇造
30代男性