といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- マンションの売却価格には3つある
- 査定価格の相場の調べ方
- 売り出し価格の相場の調べ方
- 成約価格の調べ方
「マンション売却したいけどいくらで売れるのだろうか?」「査定価格と売却額は違うの?」
マンションを売却するとなると気になるのは、いくらで売れるのかですね。
しかし、マンションの価格と言っても、「査定価格」「売り出し価格」「成約価格」の3つがあります。
それぞれの違いや相場を理解しておかないと、売却で損してしまう可能もあるのです。
この記事では、マンションの3つの価格の違いやそれぞれの相場の調べ方まで、分かりやすく解説します。
【5分でわかる】マンション売却の流れと費用
続きを見る
マンションの売却価格には3つある
マンションの売却に関わる価格には、大きく次の3つがあります。
- 査定価格
- 売り出し価格
- 成約価格
マンション売却を検討している場合は、まずはこの3つの価格の違いを理解しておくことが大切です。
その①:査定価格
売却を進めるうえで、一番初めに出てくる価格がこの「査定価格」です。
査定価格とは、不動産会社に算出してもらう売り出す前の価格のことをいいます。
査定とは、不動産会社にマンションがいくらで売れるのかを、不動産のプロの目線でアドバイスしてもらうことを言います。
マンションの状況や市場調査などを元に、不動産市場で概ね3ヵ月以内で売れる価格として提示されます。
ただし、査定価格はあくまで「売却できそうな価格」であり、不動産会社が「買い取ってくれる価格」ではありません。
中古品などの査定の場合、査定業者がそのまま査定価格で買い取ってくれます。
しかし、不動産の査定の場合は、査定した不動産会社がその価格で買い取るわけではないので注意しましょう。
査定方法や価格の算出方法は、不動産会社によって異なるので、査定額も不動産会社により異なります。
マンションを売却するうえでは、複数の会社に査定を依頼して査定価格を比較していくことが重要です。
また、査定価格がそのまま売る価格になるわけではありません。
査定後に契約した不動産会社と相談して売り出す価格を決めるため、売主の希望により価格が変わる可能性があるのです。
その②:売り出し価格
実際にマンションを売りに出しているときの価格が「売り出し価格」です。
不動産会社の広告やサイトなどで掲示されている価格は、この売り出し価格になります。
売り出し価格は不動産会社と相談して決めますが、基本的に売主が自由に決めていいものです。
そのため、売主の希望や状況によっても価格が異なってきます。
売り急いでいる場合は、早く売るために相場よりも低く価格付けするケースが多くなるでしょう。
反対に、売主によっては利益を得ようと相場よりも高く設定しているケースもあるのです。
ただし、売り出し価格で売却できるわけではありません。
なかなか買い手が現れない場合は値下げをする必要があるものです。
また、買主が値下げ交渉してくる可能性もあります。
一般的には、売り出し価格と実際に売れる価格が異なるケースが多くなるでしょう。
その③:成約価格
実際に成約した価格が「成約価格」です。
売主が手に入れられる金額は、この成約価格になります。
マンションの売却価格といって、多くの方がイメージするのがこの「売った金額」でしょう。
成約価格は売れた価格なので、売れるまで正確な価格は分かりません。
成約価格は、最終的には売主と買主の合意により決まります。
そのため、双方の事情やマンションの状況により価格が大きく異なるものです。
売主が売り急いでいる場合やリフォームが必要な場合など、買主から値下げ交渉を受け売り出し価格よりも低くなる可能性があります。
同じようなマンションの成約価格を参考にはできますが、似ている物件であってもその価格を同じ金額で売れるわけではないので注意しましょう。
マンション売却に関わる価格は、この3つがあります。
どの価格が正しいというわけではありませんが、相場を調べるうえでは、どの価格なのかを意識しておくことが大切です。
以下では、それぞれの価格の相場の調べ方について解説していきます。
査定価格の相場の調べ方
まずは、査定価格の相場の調べ方について見てきましょう。
査定価格は、不動産会社に査定してもらい価格を算出するものです。
しかし、不動産会社に査定してもらう前に自分でもある程度の相場を理解しておくことで、査定額の妥当性を判断できます。
査定額を知るためには、次の方法があります。
- 公的価格を調べる
- 不動産会社に査定依頼を出す
それぞれ見ていきましょう。
その①:公的価格を調べる
マンションの市場での価値を知るためには、公的価格を調べることで目安を把握できるでしょう。
公的価格の調べ方としては、次のようなものがあります。
- 公示価格や都道府県基準地価を調べる
- 路線価を調べる
- 固定資産税評価額を調べる
公示地価や都道府県基準地価を調べる
公示地価とは、国土交通省が発表する基準地1㎡あたりの金額のことを言います。
毎年1月1日時点の評価額を、3月下旬ごろに発表します。
公示地価は、土地取引の目安となる価格のことで、一般の売買だけでなく公共事業などでも参考となる価格です。
それに対し、都道府県が発表するのが基準地価です。
基準地価は、毎年7月1日時点の評価額を9月下旬ごろに発表します。
それぞれの違いは、次のとおりです。
公示地価 | 基準地価 | |
発表主体 | 国(国土交通省) | 都道府県 |
評価時期 | 毎年1月1日 | 毎年7月1日 |
発表時期 | 毎年3月下旬 | 毎年9月下旬 |
基準地点 | 全国約26,000地点 | 全国約22,000地点 |
調査対象 | 市街化区域内が中心 | 市街化区域内・外 |
半年ごとに発表されるので、土地価格動向の把握や公示地価の補完として基準地価が利用されます。
また、基準地価は市街化区域内だけでなく区域外も対象となるので、より特定の土地の価格を把握するのにも適しているのです。
それぞれの価格は、国土交通省のホームページの「地価公示・都道府県地価調査」や「全国地価マップ」で確認できます。
路線価を調べる
路線価とは、道路に面する土地1㎡あたりの評価額のことを言います。
道路ごとに評価額が決められており、相続税や贈与税の基準となる価格でもあります。
路線価は公示地価・基準地価を参考に国税庁が評価しており、公示地価の8割ほどの価格となるのが一般的です。
該当のエリアの路線価に、土地面積を掛けることで土地の価格を把握できます。
また、路線価は実際に市場で売買される価格よりも低く、8割ほどの水準となるので、実際の売買価格を算出するには、路線価を0.8で割り戻して目安とするとよいでしょう。
路線価は、国税庁のホームページや全国地価マップで確認できます。
固定資産税評価額を調べる
固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる価格です。
3年ごとに都道府県によって公表され、公示地価の70%ほどが目安となります。
固定資産税評価額は、マンションの取引価格の8割ほどとなるので、固定遺産税評価額を0.8で割り戻すことで相場の目安が分かるでしょう。
固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税通知書などで確認できます。
通知書がない場合は自治体の窓口でも確認できるので、確認するとよいでしょう。
その②:不動産会社に査定依頼を出す
査定価格を簡単に算出する方法が、不動産会社に査定を依頼する方法です。
不動産会社による査定の場合、基本的にはインターネットを利用した簡易査定後に、査定してもらう不動産会社を選んで訪問での査定を受けます。
インターネットの一括査定サイトなどを利用し、まずは簡易的な査定をします。
間取りや築年数など簡単な内容を入力すれば、即日から数日で査定価格が提示されるのが一般的です。
簡易査定で、気になった不動産会社があれば査定依頼し、実際に物件を見てもらって詳細な査定をしてもらいます。
査定依頼=契約ではないので、複数社に査定依頼しても問題ありません。
反対に、査定依頼は複数の査定会社に依頼することが大切です。
一社のみの査定の場合、値段の妥当性を判断するのが難しくなります。
また、不動産会社によっては不当に高い査定価格を付けることがあるのです。
売り物件を確保したい、実績がないといった会社が、売主と契約するために相場より高い査定価格を付けることがあります。
この場合、相場よりも高いのでなかなか買い手が現れず、値引きすることになり結局安い価格での売却となるケースがあるので注意が必要です。
査定依頼は、複数の会社の価格を比較検討することが大切です。
複数の会社を見比べると、おおよその相場が見えてくるでしょう。
また、査定価格だけでなく、対応やサービス・実績・評判などから創造的に不動産会社を選ぶことが大切です。
売り出し価格の相場の調べ方
次に、売り出し価格の相場の調べ方を見ていきましょう。
売り出し価格は、次のような方法で調べられます。
- 大手不動産情報サイトの価格を調べる
- チラシや情報誌を調べる
その①:大手不動産情報サイトの価格を調べる
売り出し価格は、実際に売りに出ている価格なので、情報サイトなどに掲示されている価格が売り出し価格です。
大手不動産情報サイトやポータルサイトなどで、簡単に調べられます。
近隣エリアで所有するマンションと類似の物件の価格を調べるとよいでしょう。
その②:チラシや情報誌を調べる
チラシや情報誌などでも売り出し価格の目安を把握できます。
ただし、不動産の高値売却を謳っている投函されるチラシには注意が必要です。
不動産会社によっては、売主との契約を狙って過度な表現や急かすような煽り文句を掲載している場合があります。
- 具体的な求める物件情報
- 高すぎる売却価格
- 購入者がいるかのような具体的な買主の情報
- 期間限定などの期日があるような表現
上記のようなチラシの場合、注意しましょう。
基本的には、不動産広告チラシは掲載内容のルールが厳しく決まっているため、悪質な業者は多くはないでしょう。
しかし、魅力的な謳い文句で契約を狙っているだけという場合もあるので、正しい広告の不動産会社を見極める必要があります。
売り出し価格として掲載されている価格は、あくまで「売りたい価格」であって「売れる価格」ではないという点を忘れずに、相場を調べるようにしましょう。
成約価格の調べ方
最後に成約価格の調べ方について、見ていきましょう。
成約価格の調べ方としては、次のような方法があります。
- 国土交通省の不動産取引価格情報検索を調べる
- レインズマーケットインフォメーションを調べる
その①:国土交通省の不動産取引価格情報検索を調べる
成約価格は、国土交通省のホームページにある「不動産取引価格情報検索」で調べられます。
地図上でのクリックや条件を指定して検索すれば、該当エリアでの取引価格情報が表示されます。
マンションの場合は、同じマンション内や近隣マンションの類似物件での過去5年以内の取引価格を参考にするとよいでしょう。
その②:レインズマーケットインフォメーションを調べる
レインズマーケットインドメーションとは、不動産流通機構が運営する不動産情報サイトのことを言います。
全国の不動産情報が集められたサイトには、レインズというものがあります。
これは、いま売りに出ている物件や過去の成約事例などを閲覧することのできるサイトです。
ただし、レインズの場合は不動産会社のみしか閲覧できず、一般の人は閲覧できません。
これに対し、レインズマーケットインフォメーションは、レインズを一般の人でも閲覧できるようにしたサイトと言えます。
このサイトを利用することで、一般の人でも物件の成約価格を調べて、相場を把握できるのです。
ただ、レインズマーケットインフォメーションはレインズとは閲覧できる情報が異なります。
広い範囲での住所しか検索できないため、特定の場所の相場を調べられないので注意しましょう。
成約価格は、不動産の条件だけでなく売主と買主の事情が反映されるものです。
そのため、全く同じ条件の不動産はなく、類似物件でも価格が大きく異なる可能性があります。
成約価格の相場は、あくまで目安としておき、査定時などの判断材料にするとよいでしょう。
まとめ
マンション売却に関わる価格の種類と、その相場の調べ方についてお伝えしました。
マンションの価格には、「査定価格」「売り出し価格」「成約価格」の3種類があります。
実際にマンションが売れた価格である「成約価格」は、売れる価格である「査定価格」や売りたい価格である「売り出し価格」とは異なるので注意が必要です。
それぞれの価格の違いや相場の調べ方を理解し、価格を適切に見極める必要があります。
また、査定価格だけで不動産会社を判断せずに、価格や対応・実績など総合的に判断し、信頼できる不動産会社を選ぶことが、高値での売却への近道となるでしょう。
この記事を参考に、価格の違いと相場を理解し、信頼できる不動産会社とマンション売却できるようにしましょう。
マンションの売却や買取なら不動産情報サイトMANSION COLLECTのTOPへ戻る
この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。
逆瀬川勇造
30代男性