マンション売却

マンション売却では水漏れを告知すべき?マンション売却時のポイントと併せて解説

マンションを売却しようと思っているのですが、水漏れが起きてしまったのですが、告知は必要でしょうか?ちゃんと売れるのかが心配です。

といった悩みにお答えします。

本記事の内容

  • マンション売却時に水漏れを告知する必要はある?
  • 契約不適合責任で買主が持つ5つの権利
  • マンションで水漏れが発生した場合の2つのポイント
  • 水漏れしたマンションを売却する際の3つのポイント

「マンションに水漏れがあるけど伝えたほうがいい?」「水漏れしたマンションは売れるのだろうか?」そのような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

マンション売却では、築年数が経過した場合などすべての機能が正常であるとは限りません。

中には、一部損傷しているという場合もあるでしょう。

特に多いケースが「水漏れ」です。

水漏れがあるからと言って、マンションに住めないわけではないので、そのまま売却しようと考える方もいらっしゃいます。

しかし、水漏れをそのままにして告知もせずに売却してはいけません。

マンション売却では、不具合を告知しないで売却することでトラブルに発展し、損害賠償請求を受ける可能性もあるのです。

この記事では、マンション売却での水漏れの対応や契約不適合責任について、分かりやすく解説します。

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マンション売却時に水漏れを告知する必要はある?

マンション売却時に水漏れを告知する必要はある?

マンションを売却しようとした際に、水漏れがあると売却していいのか?告知しなければならないのか?判断に迷うものでしょう。

水漏れしたままでも、マンションを売却すること自体は可能です。

しかし、そのまま売却すると損害賠償請求を受けたり、契約を解除されたりと大きなリスクを負ってしまいます。

マンション売却では、水漏れなどの不具合の対処を理解して慎重に売却を進める必要があるのです。

告知義務あり

マンションに水漏れがある場合、その事実を告知する義務があります。

原則として、不動産には告知義務があり、次のようなケースでは告知が必要です。

 告知が必要なケース

  • 不動産の損壊や欠陥で生活に支障である場合
  • 近隣にごみ処理場や鉄道の振動があるなど日常生活に影響する周辺環境の問題
  • 死亡事故がある事故物件や火葬場が近くにあるなど心理的に不快な思いをする場合
  • 建て替えできないなど建築基準法など法律的な制限

このような場合は、売主は買主に必ず告知が必要になります。

水漏れも、不動産の損壊や欠陥に該当するため告知義務が発生するのです。

告知は、基本的に売買契約締結時の重要事項説明書や契約書に記載して行うのが一般的でしょう。

ただし、契約直前にそのような不具合を聞いた買主は契約を躊躇してしまう可能性があります。

直前で契約に支障が出てしまうのを避けるためにも、不具合は早めに告知することが重要です。

契約不適合責任とは

水漏れなどの不具合を告知せずに売却した場合、「契約不適合責任」を問われる可能性があります。

契約不適合責任とは、契約内容と異なる状態の物件を引き渡した場合に、売主が負う責任のことを言います。

契約において引き渡す商品の種類や品質・数量が契約内容に適合していないと判断される場合に適用されるもので、売主は買主に対して責任を負わなければなりません。

不動産売買でも、この契約不適合責任は発生し、契約書に記載のない不具合がある場合などで問われるケースが多いのです。

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瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い

契約不適合責任は、2020年に従来の「瑕疵担保責任」を改訂して制定されました。

瑕疵担保責任の内容を見直し制定されたため、概念は瑕疵担保責任を引き継いでいますが、責任範囲などが大きく異なっているのです。

従来の「瑕疵担保責任」は「隠れた瑕疵」に対して責任を問われるものです。

瑕疵とは、不動産の場合建物の傷や欠陥といった不具合など「建物が本来備えている機能を満たしていない状態」のことを言います。

水漏れやシロアリなど、通常では見つからない欠陥があった場合に、売主が責任を負うものです。

瑕疵担保責任で責任が問われるのは「隠れた瑕疵」に対してです。

そのため、立証が難しく判断がしにくいという点がありました。

それに代わって制定された「契約不適合責任」では「契約書に記載されているかどうか」が判断基準となります。

例えば、水漏れがある場合契約書に「水漏れがある」と記載があれば、責任は問われません。

しかし、「水漏れがある」という記載がなければ、契約内容と異なると判断され、責任を負う必要が出るのです。

不具合の状態が「隠れているかいないか」ではなく「契約書に記載されているかいないか」で判断できるため、シンプルで分かりやすくなったともいえるでしょう。

しかし、売主にとっては、責任を負う範囲が広くなっているとも言えます。

契約書の内容で判断されるので、売却前にはすべての不具合を把握し、詳細に契約書に明記しなければならないのです。

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契約不適合責任で買主が持つ5つの権利

契約不適合責任で買主が持つ5つの権利

瑕疵担保責任から、契約不適合責任に変更されることで大きく変わったことには、買主が持つ権利もあります。

瑕疵担保責任で、買主が持つ権利は「損害賠償請求」か「契約解除」の2つのみです。

それに対し、契約不適合責任では、次の5つの権利が認められています。

  1. 追完請求
  2. 代金減額請求
  3. 催告解除
  4. 無催告解除
  5. 損害賠償

その①:追完請求

追完請求とは、契約内容と異なった場合、契約内容通りの完全なものを求める権利を言います。

不動産の場合は、数量などを追加できないため、基本的には欠陥部分の修理を請求する「修補請求」となります。

そのため、水漏れがある場合は水漏れを修繕することを請求できるのです。

その②:代金減額請求

代金減額請求とは、代金を減額してもらう権利のことを言います。

追完請求で修理を要求しても、修理してもらえない場合に請求できる権利となり、その場合は、代金の減額を請求できるのです。

これは、修繕してもらう請求を先にすることが前提です。

また、修繕できない不具合の場合は、追完請求なしで代金減額請求が可能になります。

基本的に、修繕できるものは修繕し、修繕できない・修繕してもらえない場合に減額を請求するという形です。

その③:催告解除

追完請求しても応じてもらえない場合に、買主が取れる対応として「催告解除」もあります。

催告解除とは、催告して契約を解除する権利です。

通常、売買契約後に契約を解除すると、違約金などが発生します。

しかし、催告解除であれば、契約自体がなかったことになるため、違約金は発生しません。

また、売主は買主に代金をすべて返還しなければなりません。

その④:無催告解除

催告なしで契約を解除できるのが「無催告解除」です。

無催告解除は「契約の目的が達成できない」場合に請求できるものです。

そのため、若干の不具合があっても契約の目的が達成できる場合は請求できません。

基本的に、水漏れ程度であれば無催告解除の適用はできないでしょう。

その⑤:損害賠償

損害賠償請求は、瑕疵担保責任では請求できる権利ですが、契約不適合責任では請求できる対象が異なります。

瑕疵担保責任で損害賠償請求できるのは、売主の無過失責任に対して請求できるものでした。

それに対し、契約不適合責任では、売主に帰責事由がない限りは請求できないことになったのです。

ただし、請求できる範囲が広くなった点には注意が必要です。

瑕疵担保責任では、契約締結の準備費用など、契約が有効であると信じて被った被害である信頼利益に対してのみの請求でした。

一方、契約不適合責任では、転売利益など契約を締結した場合に得られるはずだった利益も対象となるのです。

契約不適合責任では、売主の責任が従来の瑕疵担保責任よりも重くなっているので、問われる責任の内容などを把握しておくことが重要になります。

マンションで水漏れが発生した場合の2つのポイント

マンションで水漏れが発生した場合の2つのポイント

ここでは、マンションで水漏れが発生した場合のポイントを紹介します。

水漏れが発生した場合の対処には次のようなポイントがあります。

  • 原因を特定する
  • 発生個所を特定する

その①:原因を特定する

水漏れと言っても、さまざまな原因があります。

ホースが外れた、パイプが破損していた、詰まりがあるなどが一般的な原因でしょう。

また、その原因がすべて自分ではありません。

マンションは共同生活の場でもあり、他にも住人がいるものです。

水漏れの原因が必ずしも自分にあるわけではないでしょう。

もし、水漏れの原因が他人にある場合は、その人が責任を負う必要があります。

反対に、自分に責任があれば当然ながら自分が責任を負わなければなりません。

特に、マンションの場合、上の階の住人が原因になることや、共有設備の管理不足が原因となるケースもあるものです。

また、原因が特定できない場合もあるでしょう。

その場合は、基本的に管理組合が責任を負うのが一般的です。

水漏れがあった場合は、まずは原因を特定し、責任の所在をはっきりさせるようにしましょう。

その②:発生箇所を特定する

原因同様、水漏れの発生個所も責任の所在を決めるうえで重要になります。

共有部分などが古くなったために起こった水漏れであれば、管理組合の責任になるものです。

反対に、個人の専有部分で水漏れが起こった場合は、その所有者が責任を負うのが一般的になります。

ただし、どの原因や発生個所であっても水漏れが起こったら早急に対処する必要があります。

水漏れを放置していると、被害は拡大する一方です。

水漏れを見つけた時点で、管理組合に連絡を取って対処するようにしましょう。

水漏れしたマンションを売却する際の3つのポイント

水漏れしたマンションを売却する際の3つのポイント

水漏れしたマンションであっても売却は可能です。

しかし、売却するには押さえておきたいポイントもあります。

水漏れしたマンションを売却するポイントには、次のようなことがあります。

  • 事前にしっかり修理しておく
  • 必ず水漏れした旨を告知する
  • マンション売却に強い不動産会社に売却を依頼する

その①:事前にしっかり修理しておく

水漏れしたマンションを売却する場合に取れる対応は「修理する」か「値引きして売却する」のいずれかです。

修理せずに修理額相当分を値引きして売却することも可能ですが、あまりおすすめできません。

買い手側からすれば、多少値引きしてもらっても水漏れしたマンションを購入したいと思わないものです。

なかなか買い手が付かない場合は、値引きが必要になります。

修理費用相当分を値引きしたうえで、さらに値引きとなると売主にとっては大きな損失にもつながるでしょう。

水漏れしたマンションを売却する場合は、基本的に修理して売却することが重要です。

その②:必ず水漏れした旨を告知する

水漏れがある場合は、必ず告知しましょう。

告知せずに売却するのは、契約不適合責任を問われる可能性が高くなるため問題外でもあります。

また、修理して現在は問題ない場合でも、過去に水漏れがあった旨も告知しておくようにしましょう。

告知は、不動産会社に告知しておく必要があります。

万が一、不動産会社が買主に説明しない場合、売主が不動産会社に告知しているのであれば、不動産会社の責任になります。

しかし、不動産会社にも告知していなければ、売主がすべての責任を負わなければなりません。

事前に、すべての不具合を不動産会社に告知するようにしましょう。

その③:マンション売却に強い不動産会社に売却を依頼する

マンション売却では、マンション売却に強みのある不動産会社に依頼することが重要です。

不動産会社と言っても、何を得意とするのかは会社によって異なります。

マンションに不慣れな不動産会社では、水漏れ対応どころかスムーズに売却を進めることもできない可能性があるのです。

反対に、マンション売却が得意な会社であれば、水漏れへの対処などもアドバイスしてもらえるでしょう。

賃貸や戸建て・マンションなど、売却したい種類の取り扱い実績が豊富な不動産会社を依頼する必要があります。

一括査定など、複数の会社を慎重に比較し、信頼できる不動産会社を選べるようにしましょう。

まとめ

水漏れしたマンション売却の注意点や対処法・売却ポイントをお伝えしました。

水漏れを告知せずに売却してしまうと、「契約不適合責任」を問われ、損害賠償請求される場合や契約解除される可能性があります。

水漏れが発生した場合は、原因や発生個所を特定し責任の所在を明確にしたうえで、修理して売却することが重要です。

また、水漏れの事実は細かく契約書に記載することで、売却後のトラブルを避けられるでしょう。

この記事を参考に、水漏れの対処を理解して、スムーズに売却できるようにしましょう。

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この記事を書いた人

逆瀬川勇造

30代男性

資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)

地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。

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