といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- 老後の暮らしにマンションを購入するのがおすすめの4つの理由
- 老後に購入するなら「シニア向け分譲マンション」がおすすめ
- 老後にマンションを購入する4つの注意点
- 老後にマンションを購入する3つの方法
ご自身の終の棲家(ついのすみか)について考えたことはありますか?
一戸建てや、二世帯住宅、賃貸住宅…と、人によって答えはさまざまですが、まだ計画を立てていないという人は「分譲マンションを購入する」という選択肢はいかがでしょうか。
近年では、老後はバリアフリーや防犯面に優れている分譲マンションで生活したいという人は増えています。
また、流通性が高いマンションを所有することで、相続対策が立てやすくなるというメリットもあります。
この記事では、老後にマンションで生活することの魅力について詳しく紹介していきたいと思います。
後半では定年退職後にマンションを購入する方法についても紹介しますので、年齢的に住宅ローンを組むのが難しいという人も参考にしてください。
老後の暮らしにマンションを購入するのがおすすめの4つの理由
老後の暮らしにマンションを購入するのがおすすめの理由は、以下の通りです。
- バリアフリー面で優れている
- 防犯性が高い
- 建物のメンテナンスを自分で行わなくても良い
- 相続対策にもなる
1つずつ解説していきます。
理由①:バリアフリー面で優れている
分譲マンションは、バリアフリー面に優れています。
エントランスから自分の住戸に至るまでほとんど段差がないため、足腰の弱い年配の方でも無理なく生活することができます。
車椅子の人でも支障なく暮らせるように、エントランスアプローチなどにはスロープが施されていることも魅力の一つです。
また、マンションは住戸内においても全面フラットになっていることが多く、室内にも快適に暮らすことができる設計が施されています。
小さな専有面積を最大限活用するために機能性を意識した間取りとなっており、各居室間の行き来がスムーズに行えるというメリットもあります。
一戸建て住宅はプライベート性が高いという魅力はありますが、高齢者にとっては段差や階段が多いという大きなデメリットがあります。
特に二階建ての場合は階段の上り下りが年々困難になっていくので、いつの間にか上階の部屋を使用しなくなってしまうというケースが多いようです。
若く体力があるときはあまり気にならいため見落としがちですが、「自分が生涯暮らす家を選ぶ」というときは、小さな段差一つにも注意して物件を選定するようにしたいものです。
理由②:防犯性が高い
防犯性が高いというのもマンションの魅力です。
警視庁が発表している「令和元年の犯罪」統計によると、4階建て以上の共同住宅で発生した侵入窃盗(空き巣)犯罪は、全体の約4%となっています。
一方で、一戸建て住宅で発生した侵入窃盗犯罪は約43%となっており、統計上はマンションの方が圧倒的に空き巣に入られる可能性が低いということが分かります。
マンションのエントランスはオートロックとなっており、また各所に防犯カメラが設置されています。
日中は管理人が出勤していることが多いので、部外者が侵入する難易度が非常に高くなっています。
また、最近のマンションは合鍵を作製しにくい「ディンプルキー」を採用している物件が多く、住戸のセキュリティーにも優れています。
このように分譲マンションはあらゆる防犯対策がとられているので、老後も安心して生活することができます。
理由③:建物のメンテナンスを自分で行わなくても良い
一戸建てに居住する場合は建物に必要なメンテナンスをすべて自分で行う必要があります。
外壁ペンキの塗装や、瓦・サイディングなどの張り替え、雨水侵入防止のコーキングなど、劣化のタイミングを自分で見極めて的確にメンテナンスを行っていのは大変なことです。
また、敷地内の定期的な清掃や草刈りなどについても高齢になってくると体力的に難しくなってきます。
一方で分譲マンションは、建物のメンテナンスを管理会社に全て委託しています。
外壁や共用部分の定期的なメンテナンスをはじめ建物内清掃や植栽剪定なども業者が行ってくれるため、綺麗な建物で快適に生活することができるというメリットがあります。
理由④:相続対策にもなる
マンションを含む不動産は、相続税評価額よりも実勢価格が高くなる傾向があります。
たとえば相続評価額が3,000万円のマンションがあったとき、実際に市場で取引すれば4,000~5,000万円で売却できるというケースもあるので、現金を不動産に替えておくだけでも大きな節税効果があります。
資産を不動産として持つことで相続対策になるという点ではマンション・一戸建て住宅ともに同じメリットはありますが、マンションの方がより相続税評価額を減らせる傾向があります。
その理由は、マンションは一つの敷地を区分所有者全員で共有している形なので、一世帯当たりの土地の持ち分が小さくなるという点にあります。
一つの建物に対する土地の規模が小さいので、結果的に相続課税評価を減らすことができます。
また、2018年1月1日以降に発生した相続案件から、一定の要件を満たせば「地積規模の大きな宅地の評価」がマンションの敷地でも扱えるようになりました。
地積規模の大きな宅地の評価方法は小規模宅地の特例と併用することもできますので、適用されればさらに大きな節税効果が見込めます。
またマンションは流動性が高く、売却しやすいという特徴もあります。
相続発生後にマンションに住む人がいないという状況になれば、マンションを承継した相続人が現金化しやすいというメリットもあります。
老後に購入するなら「シニア向け分譲マンション」がおすすめ
近年では、シニア世代に特化した分譲マンションというものも登場しています。
一見すると普通の分譲マンションと変わりませんが、建物内を見ると一目瞭然です。
設備内容はマンションによって異なりますが、共用設備には銭湯、図書館、カラオケボックス、レストラン、茶道室、フィットネスジム、家庭菜園スペース、ゲストルームなどが設けられています。
また専有部分においても玄関から居室までオールフラットになっており、手摺りも標準仕様です。
将来、車椅子が必要になっても不自由なく暮らせるよう、室内ドアのサイズを広めにつくっていたり、キッチンのシンクの下にスペースが空いていたりと、至るところで高齢者の生活に配慮された企画が採用されています。
また、居住者間が楽しく暮らせるようにサークルやクラブ活動の運営があったり、エントランスには看護師が常勤していたり、無料送迎バスがついていたりと、サービス面もかなり充実しています。
共用設備やサービスが充実しているので、管理費は通常のマンションに比べるとかなり高めに設定されているというデメリットはありますが、老後も生き生きと生活できる「シニア専用マンション」はひそかなブームとなっているようです。
事例としてはまだ多くはないですが、高齢化社会が加速するわが国日本においては近い将来このような分譲マンションが一般的になる時代がくるかもしれませんね。
老後にマンションを購入する4つの注意点
続いては、老後にマンションを購入する注意点をご紹介します。
- 管理費・修繕積立金の支払いについて
- 建て替えや大規模修繕の時期について
- 「借地権付きマンション」について
- 近隣の生活騒音について
ここからは、注意点について説明していきたいと思います。
注意点①:管理費・修繕積立金の支払いについて
マンションを所有すると毎月の管理費・修繕積立金の負担があります。
ローンが完済したあとも継続的に経費の支払いをしていかなければならないので、年金などの収入から無理なく支出ができるように金額に気をつけなければなりません。
また、管理費や修繕積立金はマンションの築年数が古くなっていくと値上がりすることがあるということにも注意が必要です。
余裕を持った老後生活ができるよう、資金のシミュレーションを立てながら購入物件を検討するようにしましょう。
注意点②:建て替えや大規模修繕の時期について
マンションでは、管理組合で策定された「長期修繕計画」というスケジュールをもとに大規模修繕や建て替えを行っていきます。
外壁の補修においては足場を組むなど大掛かりな作業を要することが多く、多額な費用がかかってしまいます。
管理組合の収支状況が悪いと修繕に要する費用の不足分を新たに徴収する場合がありますので、注意が必要です。
また築40~50年経過している築古マンションは、建て替えや取り壊しなどの議案があがってくる時期でもあります。
原則として、建て替えなどは区分所有者全員の同意がなければ実行することはできません。
全員の同意が得られないことが仇となり、マンション内の空き家が増え、建物老朽化だけが進んでしまうというケースもあるようです。
マンションに居住するときは、積極的に総会に参加したり、定時資料を確認するなどして管理組合の現状を把握するように心がけましょう。
注意点③:「借地権付きマンション」について
分譲マンションの敷地の権利形態には所有権のほかに借地権というものがあります。
借地権付きマンションにおいては区分所有者全員が地主から土地を有償で借りているということになりますので、永続的に土地が利用できるわけではありません。
特に借地権の種別が「定期借地権」となっている場合は借地契約の終期が確定しており、期間満了時には必ず土地を更地にして地主に返還しなければなりません。
当然ですが借地契約満了後は住処がなくなりますので、新たに住宅を確保する必要があります。
借地権付きマンションは、土地を購入する必要がないため住宅購入資金を安く抑えることができるというメリットはあります。
しかしながら将来的には退去しなければならないというデメリットを理解し、借地期間満了後の住居をどうするかということまで考えて購入を決断する必要があります。
注意点④:近隣の生活騒音について
マンションは上下左右の住戸と壁一枚隔てて密接しているので、生活騒音が気になる場合があります。
定年前は昼間に仕事をしていたため全く気にならなかったけど、定年退職後に家にいる時間が長くなり騒音に気が付くようになったということもあります。
マンションの遮音性は壁や天井・床のコンクリートスラブの厚さや、仕上げ材の種類に影響されます。
そのため物件によって遮音性のレベルは大きく異なります。
建物建築時の施工図面やパンフレットなどで確認することができますので、可能であれば不動産会社に確認してみるといいでしょう。
なお、騒音対策が十分とられていないマンションであっても、防音工事によって遮音性を高めることができます。
気になる場合はリノベーションも含めて検討してみましょう。
老後にマンションを購入する3つの方法
最後に、老後にマンションを購入する3つの方法をご紹介します。
- 退職金を購入資金に充てる
- 住宅の買い替え
- リ・バース60(住宅金融支援機構)
1つずつ解説していきます。
その①:退職金を購入資金に充てる
老後にマンションを購入する手段として、まず定年退職金を購入資金に充てる方法があげられます。
日本における平均的な定年退職金の額は1,000~2,000万円と高額な場合が多く、まとまった資金が入るため、老後の住宅購入資金として使う人も多いようです。
ただし、老後に余裕を持った生活をするためにはある程度の現金の蓄えを残す必要があります。
退職金のすべてを住宅購入資金に充てるのではなく、買い替えや金融機関の融資制度などと組み合わせて資産全体のバランスを考えることが大切です。
その②:住宅の買い替え
在職中に購入した一戸建て住宅などを売却し、マンションに移り住むというケースも多いようです。
住宅を買い替えする場合は、既存住宅の売却と新居の購入の時期がなるべく開かないよう取引をスムーズに進行ことが大切です。
そのためには、住宅の買い替えに特化した信頼のおける不動産会社に一連の取引を任せるという手段が有効です。
買い替えを検討したいときは売却時の金額査定やスケジュール感などをあらかじめ把握しておくようにしましょう。
その③:リ・バース60(住宅金融支援機構)
フラット35を扱う住宅金融支援機構は、シニア世代の不動産購入のための融資制度として「リ・バース60」というローン商品を提供しています。
リ・バース60の大きな特徴は、元本の支払いが一切ないということです。
一般的な住宅ローンは元本と利息を合計した返済額を毎月支払っていきますが、リ・バース60は毎月金利のみの支払いになります。
そのため月々の支払いはかなり安くなり、大きな負担なくマンションを購入することができます。
ただし、将来相続が発生したときは相続人が元本の満額を承継しなければならないというリスクがあります。
リ・バース60で購入したマンションを相続するとき、元本を一括返済してマンションを引き取るか、もしくはマンションを売却して元本を返済するかを選ぶことになります。
マンションを売却して元本を返済するのであれば、売却代金が元本に満たない場合は原則として不足分を現金で支払わなければならないことに注意する必要があります。
なお、リ・バース60には「リコース型」と「ノンリコース型」の二種類の契約形態があり、ノンリコースを選べば元本割れの残債務分を負担する必要がなくなります。
ノンリコース型はリコース型より金利が高くなるデメリットはありますが、相続人に負債を残すことなくマンションを購入することができるので、一考の余地はあると思います。
まとめ
今回は、老後の暮らしはマンションでの生活がオススメ?将来を見据えてマンションを購入しよう!といった内容を解説しました。
もう一度おさらいをすると、老後の暮らしにマンションを購入するのがおすすめな理由は、以下の通りです。
老後の暮らしにマンションを購入するのがおすすめな理由
- バリアフリー面で優れている
- 防犯性が高い
- 建物のメンテナンスを自分で行わなくても良い
- 相続対策にもなる
また、老後にマンションを購入する注意点は以下の通りです。
老後にマンションを購入する注意点
- 管理費・修繕積立金の支払いについて
- 建て替えや大規模修繕の時期について
- 「借地権付きマンション」について
- 近隣の生活騒音について
上記の内容を踏まえて、老後にマンションを購入しようと思ったら以下の方法でマンションを購入することができます。
老後にマンションを購入する方法
- 退職金を購入資金に充てる
- 住宅の買い替え
- リ・バース60(住宅金融支援機構)
ライフプランに対する考え方は人それぞれなので普遍的な正解というものはないと思いますが、生涯の住宅について具体的に考えたことがないという人は一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
また、年齢的に新しくマンションを購入することを諦めているという人も少なくないと思いますが、紹介したように高齢者でも住宅を購入する方法はあります。
生き生きとした老後生活を過ごすためには「どこに住むか」ということを早めに決めておくことは大切です。
この記事が皆様の「終の棲家」について考えるきっかけになれば幸いです。
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この記事を書いた人
資格:宅地建物取引士・FP2級・行政書士試験合格
学生時代は不動産業界への強い関心があり、大学では取引関連法を学んでいました。
新卒後すぐに不動産業界に飛び込み、現在は土地売買や相続案件など幅広い実務を担当しています。得意分野は取引法務です。法律の知識をもっと深くしたいという想いから、仕事をしながら独学で行政書士の試験に合格しました。
資格取得によって身に着けた知識と実務で培った経験を活かして、不動産オーナー様のお役に立てるよう日々頑張っています。趣味は旅行。座右の銘は「我以外、皆我が師」
真地 リョウ太(ペンネーム)
30代男性