不動産投資

不動産ファンドの仕組みや種類と投資するメリット・デメリットなどご紹介

不動産投資でよく聞く。「不動産ファンド」ってなんですか?仕組みとか種類があったら教えてください。

といった悩みにお答えします。

本記事の内容

  • 不動産ファンドとは
  • 不動産ファンドの種類
  • 不動産ファンド投資と現物不動産投資との違い
  • 不動産ファンド投資のメリット
  • 不動産ファンド投資のデメリット

「不動産ファンドについて知りたい」
「不動産ファンド投資のメリット・デメリットを知りたい」
「不動産投資に関心はあるけど、少額からできる投資はないか知りたい」

上記のようにお考えの方も多いのではないでしょうか。

不動産投資は、長期的かつ安定的に賃貸収入が得られることから人気の投資といえます。

しかしながら「多額の自己資金を投資したり、高額なローンを組んだりしてまで不動産投資を始めるのは怖い」と考える方も多くいらっしゃいます。

そんな方におすすめできるのが、「不動産ファンド」です。

本記事では、不動産初心者におすすめできる不動産ファンドの仕組みや種類、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

是非、最後まで読んでご自身の資産形成に役立ててみてはいかがでしょうか。

これから不動産投資を始めるという方は、以下の記事をご覧ください。

【初心者向け】不動産投資の始め方!7つのステップで徹底解説!

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不動産ファンドとは

不動産ファンドとは

不動産ファンドとは一体どのような投資なのでしょうか。

ここでは、不動産ファンドの仕組みといった基礎的な知識について以下の通りご紹介しますので、それぞれ見ていきましょう。

  1. そもそもファンドとは
  2. 不動産ファンドの仕組み

そもそもファンドとは

そもそもファンドとはどういったものなのでしょうか。

ファンドとは、投資家から資金を集めて、その資金を基にプロが投資・運用を行い、そこで得られた利益を投資家の出資割合に応じて分配する仕組みのことを指しています。

ファンドは、不動産に限らず、株式や債券、船舶、航空機、発電設備といったお金を生み出すさまざまなものを投資対象としています。

つまり、不動産ファンドとは、「不動産」を投資対象にしているファンドのことなのです。

不動産ファンドの仕組み

不動産ファンドは、投資家から資金を集めて不動産を取得し、そこから得られた利益を投資家に分配する仕組みになっています。

ひとくちに不動産ファンドといっても、不動産にもいくつかの種類があります。

例えば、マンションなどの住宅から商業施設、物流施設、リゾードホテル、介護・医療施設などがあげられるでしょう。

そのため、不動産ファンドはそれぞれに異なるコンセプトを採用しており、ご自身が投資を検討するうえでも自分のコンセプトに合った商品を選ぶ必要があるといえます。

また、これらの不動産をいくつか組み合わせたファンドや投資対象を不動産だけに限定せず、株式投資を組み合わせた複合型のファンドも存在します。

不動産ファンドでも、家賃収入などの運用益(インカムゲイン)を重視するファンドや売却益(キャピタルゲイン)を重視するファンドなど、運用の仕方もさまざまです。

また、不動産ファンドでは、投資家から集めた資金と金融機関からの融資金を利用し、レバレッジ効果を活用して運用するケースが多いです。

レバレッジ効果とは、融資を利用して資金効率を向上させることであり、投資家としても出資金以上の不動産が取得でき、資金効率の高い運用が可能となります。

不動産ファンドの種類

不動産ファンドの種類

不動産ファンドの仕組みについてお伝えしました。

では、不動産ファンドにはどのいった種類のものがあるのでしょうか。

ここでは、不動産ファンドの種類について以下の通りご紹介します。

  1. 不動産投資信託
  2. 不動産特定共同事業

その①:不動産投資信託

不動産投資信託とは、通称REIT(リート)と呼ばれる金融商品の1つです。

アメリカで誕生した金融商品であり、日本で行われる不動産投資信託は、日本版との意味合いからJ-REIT(ジェイ・リート)と呼ばれています。

J-REIT市場は、2001年に市場が開設されて以降、拡大傾向にあり、時価総額も以来、J-REIT市場は拡大傾向にあります。

2021年9月には市場開設から20年が経過していますが、時価総額は17兆円を超えており、日本国内でも代表的な資産の1つといえるでしょう。

2020年代には時価総額は50兆円を超えるのではないかとも予想され、今後が期待される金融商品の1つとされています。

また、REITは、公募ファンドと私募ファンドの2種類に分類されています。

公募ファンドは広く一般的に投資家を募集するファンドであり、一般的なJ-REIT商品は公募ファンドであるケースが多いです。

一方、私募ファンドは2人以上50人未満の私的な募集を行うファンドであり、基本的に法人が対象となっています。

そのため、個人の投資家がREITへの投資を行う場合は、公募ファンドのみと覚えておくと分かりやすいでしょう。

不動産投資信託については、不動産投資信託(REIT)とは?実物不動産投資との違いやメリット・デメリットを解説で詳しく解説しています。

不動産投資信託(REIT)とは?実物不動産投資との違いやメリット・デメリットを解説

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その②:不動産特定共同事業

不動産特定共同事業とは、複数の投資家から集めて資金で現物不動産投資を行い、得られた収益を分配する仕組みの事業です。

複数の投資家で共同所有するため、自分だけでは買えないような高額な物件も購入できるメリットのある商品といえるでしょう。

商品によって異なりますが、数十万円~数百万円程度から購入可能です。

こうした不動産特定共同事業者が販売する商品は「不動産小口化商品」といわれ、大まかに以下の3タイプに分けられます。

  • 任意組合型
  • 匿名組合型
  • 賃貸型

尚、不動産特定共同事業を行う場合、投資家保護の観点から国土交通大臣(もしくは都道府県知事)による許可が必要です。

不動産投資信託(REIT)と不動産特定共同事業の違いについて下記の表にまとめています。

参考にしてみてはいかがでしょうか。

J-REIT不動産特定共同事業
投資先1つの投資口で複数不動産に分散投資できる1つの案件で1つの不動産へ投資
売買方法証券会社を通じて売買する購入:事業者から口数を設定して購入
売却:事業者による買取りもしくは第三者への譲渡
自由度公募ファンドは証券取引所に上場しているため、自由に売買可能・市場が限定されており買い手を見つけにくい
・途中解約が制限される商品もある
価格変動大きい小さい
流動性高い低い
投資額1万円~数十万円~数百万円程度
所有権なし有(匿名組合型は除く)

不動産ファンド投資と現物不動産投資との違い

不動産ファンド投資と現物不動産投資との違い

不動産ファンドの種類についてお伝えしました。

では、不動産ファンドと現物不動産投資とはどういった違いがあるのでしょうか。

不動産ファンド投資と現物不動産投資では以下のような違いが考えられるでしょう。

  • 初期費用の違い
  • 運用会社が運用を行う
  • 利回りは実物不動産投資の方が高い
  • 家賃収入ではなく配当収入である

両者の違いとして、まず考えられるのが初期費用の違いでしょう。

現物不動産投資を行う場合、その不動産を購入費用は全て1人で支払う形になります。

一方、不動産ファンドであれば、複数の投資家から資金を集めるため、1人あたりの初期費用が抑えられます。

また、運用を行うのが自分なのか運用会社なのかも大きな違いといえるでしょう。

不動産ファンド投資はプロの運用会社が行います。

一方、現物不動産投資は投資家自身が運用する、もしくはご自身で管理会社へ管理を依頼するケースがほとんどです。

次に不動産ファンド投資では、ファンドの組成費用や運用会社への報酬などの支払いが発生するため、現物不動産投資よりも利回りが低くなるケースがあげられるでしょう。

また、現物不動産投資は投資家には「家賃収入」が入ります。

一方、不動産ファンド投資の場合は、家賃収入ではなく「配当収入」となります。収入の計上方法が違う点には注意しておきましょう。

不動産ファンド投資のメリット

不動産ファンド投資のメリット

不動産ファンド投資と現物不動産投資の違いをお伝えしました。

では、不動産ファンド投資のメリットにはどういったものがあるでしょうか。

ここでは、不動産ファンド投資のメリットについて以下の通りご紹介します。

  1. 少額から始めることができる
  2. 分散投資できる
  3. 管理の手間が少ない

メリット①:少額から始めることができる

不動産ファンド投資のメリットとして、少額から始められる点があげられるでしょう。

現物不動産投資を行う場合、自分自身で不動産を購入しなくてはならないため、多額の資金が必要です。

良質な物件があったとしても、資金が足りずに断念するケースも考えられます。

また、融資を利用するにしても多額の借金を背負うことになるため、「運用がうまくいかなかったらどうしよう」といった不安を感じる方も多いでしょう。

一方、不動産ファンド投資は、REIT商品であれば1万円程度から、不動産小口化商品でも数十万円から数百万円程度で購入可能です。

ご自身では購入できないような億単位の部県や都心部の一等地の物件にも投資できます。

このように現物不動産投資と比べても少額から始められる点は大きなメリットといえるでしょう。

メリット②:分散投資できる

分散投資ができる点も不動産ファンド投資のメリットとしてあげられます。

現物不動産投資では1つの物件にしか資金を回せないケースも想定されます。しかし、不動産ファンド投資であれば、少額から始められるため、複数物件に分散して投資可能となるのです。

1つの物件にしか投資できなければ、投資物件の運用が上手く行かなかった場合の損失リスクも大きくなります。

リスクを抑えるには、複数の資産に分けて投資するのが鉄則といえるでしょう。

また、REIT商品であれば、1つの銘柄で複数の投資先に分散投資されています。

すでに複数の物件に分けて投資されているため、価格変動リスクなどを抑えた投資が可能となるのです。

このように分散投資ができる点は不動産ファンド投資のメリットといえるでしょう。

メリット③:管理の手間が少ない

不動産ファンド投資のメリットとして、管理の手間が少ない点もあげられます。

不動産ファンド投資は、投資家に代わって運用会社が経営や管理を行います。

現物不動産投資の場合、ご自身で賃貸経営を行う形になるため不動産の維持管理には手間がかかるでしょう。

賃貸経営の経験や知識の乏しい方が、いきなり賃貸経営をスタートしても適切な管理が行えない可能性も考えられます。

せっかく投資したのに運用がうまくいかずに借金だけが残ってしまったということになれば目も当てられません。

一方、不動産ファンド投資であれば、こうした管理の手間も少なくて済みます。

そのため、気軽に不動産投資を始めることができ、初心者にはおすすめできる投資といえるでしょう。

不動産ファンド投資のデメリット

不動産ファンド投資のデメリット

不動産フォンド投資のメリットをお伝えしました。

ここでは、不動産ファンド投資のデメリットについて以下の通りご紹介します。

  1. 利回りが低くなる
  2. レバレッジを効かせることができない
  3. 商品数が少ない

それぞれ見ていきましょう。

デメリット①:利回りが低くなる

不動産ファンド投資のデメリットとして、利回りが低くなる点があげられます。

不動産ファンド投資は小口化されているため、1人あたりの分配が少なくなりやすいです。

また、運用にあたってのさまざまなコストを差し引いたうえで収益が分配されます。

そのため、ご自身で賃貸物件を経営するよりも利回りが低くなる可能性が高いです。

このように利回りが低くなってしまう点は不動産ファンド投資のデメリットといえるでしょう。

不動産投資の利回りについては、不動産投資の利回りとは?利回りの種類とそれぞれの計算方法・相場など解説で詳しく解説しています。

不動産投資の利回りとは?利回りの種類とそれぞれの計算方法・相場など解説

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デメリット②:レバレッジを効かせることができない

レバレッジを効かせられない点は、不動産ファンド投資のデメリットといえます。

現物不動産投資のメリットとしては、「ローンを利用できる」点があげられるでしょう。

現物不動産投資の場合、購入不動産を担保として設定するため、高額の融資利用が可能となります。

そのため、自己資金以上の投資が可能となり、少ない投資で大きな収益が期待できるのです。

一方、不動産ファンド投資では、複数の投資家の資金を合わせて物件を所有する形になるため、融資を利用できません。

そのため、自己資金以上の投資ができず、レバレッジを効かせることができないのです。

この点は、不動産ファンド投資のデメリットといえるでしょう。

デメリット③:商品数が少ない

商品数が少ない点は不動産ファンド投資のデメリットといえます。

REIT商品であれば、国内外を問わず多くの商品が販売されていますが、不動産小口化商品は商品数が多くありません。

少額から始められ、管理の手間も少ないことから不動産小口化商品の人気は高まりつつありますが、募集があっても購入希望者が殺到するため、中々買いづらいのが現状です。

このように商品数が少ない点は不動産ファンド投資のデメリットといえるでしょう。

まとめ

本記事では、不動産ファンド投資について詳しくお伝えしてきました。

不動産投資は、長期的かつ安定的に賃貸収入が得られる投資として人気高い投資ですが、多額の資金が必要となるため、中々手を出しにくいという方も多いです。

しかし、不動産ファンド投資であれば、REIT商品や不動産小口化商品など少ない資金でも不動産投資を始められます。

小口化されることで現物不動産投資よりも利回りは低くなる可能性が高いものの、手間もかからずにできるため、初心者でも投資しやすい商品といえるでしょう。

また、商品によって相違点もあるため、ご自身の運用方針に合わせた商品選択が重要です。

本記事で紹介した内容を参考にして、ご自身の資産形成に役立ててみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

逆瀬川勇造

30代男性

資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)

地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。

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