といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- 不動産投資の初期費用はどのくらい?
- 不動産投資の初期費用にはどんなものがある?
- 初期費用を安くする3つのポイント
- 頭金を少なくするメリット・デメリット
不動産投資を検討しているものの初期費用がどれくらいかかるのかが分からず、躊躇している方もいるでしょう。
不動産投資にはさまざまな初期費用がかかるため、具体的な項目や金額を把握することが重要です。
この記事では、初期費用の目安や項目・初期費用を安く抑えるコツについて分かりやすく解説します。
併せて頭金についても触れるので、参考にしてみてください。
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不動産投資の初期費用はどのくらい?
不動産投資では、不動産購入時に物件価格以外にも、手続きに必要な費用や税金と言ったさまざまな費用が発生します。
それらの費用をまとめて諸費用と呼び、この諸費用が初期費用となるのです。
物件価格の1~2割程度が一般的
一般的に初期費用の目安は、物件価格の1割~2割と言われています。
例えば、5,000万円の物件を購入する場合、500万円~1,000万円が初期費用の目安です。
とはいえ、必要な初期費用は物件や個人の属性・資産状況によっても大きく異なります。
できるだけ多く自己資金を用意しておくと、安心して投資できるものです。
物件価格毎の初期費用目安
物件価格毎の初期費用の目安を一覧で確認してみましょう。
物件価格 | 初期費用目安 |
3,000万円 | 300万円~600万円 |
4,000万円 | 400万円~800万円 |
5,000万円 | 500万円~1,000万円 |
7,000万円 | 700万円~1,400万円 |
1億円 | 1,000万円~2,000万円 |
初期費用分も融資を受けることはできる?
不動産投資では、物件は金融機関から融資を受けて購入するのが一般的です。
この融資の額に初期費用を含めれば自己資金はほとんど必要ないのでは?と考える方もいるでしょう。
しかし、基本的に融資額に初期費用を含められないので注意しなければなりません。
融資の対象となるのは物件価格のみであり、諸費用は自己資金で準備しなければならないのです。
不動産投資で物件を購入する際に必要な金額の内訳は、次のとおりです。
購入費用=融資額+頭金+初期費用
このうち融資額と頭金で賄うのが物件の価格部分となります。
それ以外の諸費用を初期費用として用意する必要があり、この頭金と初期費用の部分が自己資金での準備となるのです。
ちなみに、頭金なしで融資を受けることをフルローンと言います。
都心のワンルームマンションなどの立地がよく投資額が少ない物件の場合、頭金なしで全額融資を受けることも可能です。
さらに初期費用まで含めて融資を受けることをオーバーローンと言いますが、近年ではオーバーローンで融資する金融機関はほぼありません。
ただし、土地をすでに所有しておりその土地の上に建物を建てるといったケースでは、オーバーローンを受けられる可能性があるでしょう。
フルローンやオーバーローンの場合、審査が厳しく通らない可能性が高いうえに、借入できても金利が高い傾向があるものです。
借入額も高額になるため毎月の返済の負担が大きくなり、不動産投資が失敗しやすくなるので、おすすめできません。
不動産投資の初期費用にはどんなものがある?
ここでは、初期費用の具体的な項目について見ていきましょう。
初期費用として必要な費用には、次のような項目があります。
- 頭金
- ローン関係費用
- 登記関係費用
- 仲介手数料
- 税金関係
- 各種保険費用
その①:頭金
厳密には諸費用とは異なりますが、初期に用意するお金として頭金も考慮しておく必要があります。
頭金とは、物件の購入価格のうち自己資金で用意する部分のことです。
頭金は必ずしも用意しなければならないわけではありませんが、多くの金融機関で融資を組む場合に頭金を要求します。
頭金の額は、購入価格の1割~3割ほどが目安となるでしょう。
不動産投資するうえでは、初期費用と頭金をどれくらい用意しておけばいいのかを早めに把握して用意しておくことが大切です。
不動産投資の頭金については、不動産投資ではどのくらい頭金を入れる必要がある?頭金の額別シミュレーションで詳しく解説しています。
不動産投資ではどのくらい頭金を入れる必要がある?頭金の額別シミュレーション
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その②:ローン関係費用
ローンを組む場合の手続きなどにも費用が発生します。
ローン関係費用としては、次のようなものがあります。
- 事務手数料
- 保証料
- 印紙代
事務手数料は、金融機関に支払う手数料であり、融資額の1%~3%程が目安となります。
また、ローンを組む場合借入額が高額になることから、保証会社による保証を付けることが一般的です。
そのための保証料として融資額の1%程が必要になるでしょう。
事務手数料と保証料合わせて、借入額の2%~4%ほどが必要になるため、仮に5,000万円の物件の場合は、10万円~20万円ほどが必要です。
ただし、設定額は金融機関によって異なるので、事前に確認して条件の良い金融機関を選ぶとよいでしょう。
また、ローンの契約書には印紙税が課せられます。
印紙税は契約書に記載されている金額に応じて課せられるものです。
金額に応じた印紙を購入し、契約書に貼付し消印することで納税します。
不動産投資での主な金額帯での印紙税は、以下の通りです。
記載の契約金額 | 印紙税額 |
1,000万円超 | 5,000万円以下2万円 |
5,000万円超 | 1億円以下6万円 |
1億円超 | 5億円以下10万円 |
印紙の添付がない場合、過怠税が徴収されてしまうので注意しましょう。
その③:登記関係費用
物件を購入した後は、次の登記が必要になります。
- 所有権の登記
- 抵当権設定(融資を受けた場合)
これらの登記に対し、登録免許税が必要になります。
登録免許税は、「標準課税(固定資産税評価額)×税率」で求められます。
固定資産税評価額は物件によって異なりますが、おおよそ物件価格の7割ほどです。
また、税率は次のとおりです。
- 土地(所有権移転登記):2.0%
- 新築物件の購入(所有権保存登記):0.4%
- 中古物件の購入(所有権移転登記):2.0%
- 抵当権設定登記:0.4%
また、登記手続きは書類の用意や申請手続きが煩雑になることもあるので、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士に依頼した場合は依頼料が発生し、10万円~15万円程が掛かるでしょう。
その④:仲介手数料
不動産会社に仲介してもらい物件を購入した場合、売買契約後に不動産会社への仲介手数料が発生します。
仲介手数料には上限が定められており、以下の計算で算出できます。
仲介手数料上限(物件価格が400万円以上の場合)=物件価格×3%+6万円+消費税
例えば、4,000万円の物件を購入した場合は、4,000万円×3%+6万円=126万円(税抜)が上限となるのです。
あくまで上限なので、この価格以下であれば不動産会社は自由に設定できます。
しかし、多くの不動産会社で上限ギリギリに設定しているのが一般的でしょう。
ただし、仲介手数料は不動産会社が直接売主になる場合は、仲介ではないので発生しません。
その⑤:税金関係
不動産を購入した場合に発生する税金としては、以下の2つがあります。
- 不動産取得税
- 固定資産税清算金
不動産を取得した際に課せられるのが、不動産取得税です。
不動産取得税は、「課税標準額(固定資産税評価額)×税率」で求められます。
税率は、土地および家屋については3%(令和6年3月31日まで)です。
固定資産税は、所有している不動産に課せられる税金であり、毎年1月1日時点の所有者に課せられます。
中古で物件を購入した場合、年の途中で購入すると固定資産税は売主に対して全額課税されるものです。
しかし、基本的には引き渡し日以降の固定資産税は買主が負担するため、引き渡し日以降の固定資産税相当額を売主に対して支払います。
固定資産税の負担割合などはトラブルに発展する可能性が高いので、契約時にしっかりと話し合っておくことが大切です。
その⑥:各種保険費用
物件購入時には、火災保険・地震保険に加入することが一般的です。
保険への加入は必須ではありませんが、ローンを組む金融機関によっては必須となる場合もあります。
保険料は、補償内容や物件の構造・地域・保険期間によって異なるので、契約内容をしっかり確認するようにしましょう。
初期費用を安くする3つのポイント
初期費用は、なるべく安く抑えたいものです。
ここでは、初期費用を安くするポイントとして、次の3つを紹介します。
- 仲介手数料を安くしてもらう
- 登記費用を安くしてもらう
- 頭金を減らす
それぞれ見ていきましょう。
その①:仲介手数料を安くしてもらう
仲介手数料は上限内であれば不動産会社が自由に設定できるため、交渉次第で安くしてもらうことも可能です。
ただし、仲介手数料は不動産会社にとって成功報酬でもあるため、過度な値下げ交渉は不動産会社のモチベーションの低下につながる恐れがあります。
値下げをしてもらっても、不動産会社との関係性が悪化してしまうと、物件の紹介やその後のサービスに影響が出てしまう可能性があるので注意しましょう。
仲介手数料を抑えたいのであれば、最初から手数料が低い不動産会社を利用するという方法もあります。
都心や競合が多いエリアでは、仲介手数料が通常の半額やゼロに近いという場合もあるので検討してみるとよいでしょう。
その②:登記費用を安くしてもらう
不動産登記での登録免許税は必ず必要ですが、司法書士費用は安く抑えることが可能です。
自分で登記できれば最も安く抑えられますが、手続きの手間や時間が掛かるためおすすめできません。
司法書士に依頼する場合は、依頼する事務所によって金額は異なり、交渉次第で安くしてもらえる可能性もあります。
司法書士に依頼する場合は、複数の事務所で相見積もりを取って費用を抑えるとよいでしょう。
ただし、費用が安くても手続きがずさんな司法書士もいるので、費用だけで判断しないように注意が必要です。
その③:頭金を減らす
頭金の額を減らすことで、初期費用を大きく抑えることも可能です。
ただし、頭金を減らしてしまうことにはデメリットもあるので注意しなければなりません。
頭金を少なくするメリット・デメリットについては、以下で詳しく見ていきましょう。
頭金を少なくするメリット・デメリット
頭金を少なくすれば初期費用を抑えられますが、デメリットもあるので安易に頭金を少なくするのはおすすめできません。
デメリットについて理解したうえで、適切な頭金の額を用意することが重要です。
メリット
頭金を少なくするメリットには、以下のようなことがあります。
- 早く不動産投資を始められる
- レバレッジを利かせられる
早く不動産投資を始められる
頭金を少なくすればそれだけ初期費用を抑えられ、蓄える時間を短縮できます。
頭金を蓄えるには時間が掛かるため、その期間はいい物件を見つけても購入できずに投資チャンスを逃すこともあるでしょう。
頭金を少なくすることで、早い段階から不動産投資をスタートでき機会損失を防げるのはメリットとなります。
レバレッジを利かせられる
レバレッジとは、少ない労力で大きな利益を得る「テコの原理」のことです。
不動産投資の場合は、自己資金+借入で自己資金以上の物件に投資し、より高い利益を得ることを言います。
仮に、1,000万円の自己資金がある場合を見てみましょう。
自己資金1,000万円で、1,000万円の物件を購入した場合、この物件の利回りが10%であれば、年間収入は100万円です。
対して、自己資金1,000万円に融資2,000万円をプラスして、3,000万円の物件を購入した場合、利回りが10%であれば年間収入が300万円になります。
借入することで、同じ利回りでも収入が大きくなり、レバレッジを利かせられたとなるのです。
不動産投資では、より多く借入して自己資金を抑えることでレバレッジを高くすることが可能です。
ただし、物件の利回りが金利よりも低くなるとレバレッジが逆に作用してしまうので、注意しましょう。
レバレッジを狙う場合、借入額と物件の利回りのバランスをしっかりと計算して借入額を検討することが大切です。
デメリット
頭金を少なくするデメリットについて見ていきましょう。
デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- ローン返済額が大きくなりキャッシュフローが悪化しやすい
- 融資に通らない可能性がある
ローン返済額が大きくなりキャッシュフローが悪化しやすい
頭金が少なければ、その分借入額が大きくなります。
借入額が大きいことで毎月の返済額も大きくなり、金利負担も増えるため最終的な返済総額も高額になる点には注意が必要です。
毎月返済額の負担が大きくギリギリの収支の場合、空室や突発的な修繕などで想定外の費用が発生するとすぐにキャッシュフローが悪化する可能性が高くなります。
初期費用を抑えられても、毎月の負担が大きく不動産経営を圧迫する可能性があるので注意しましょう。
融資に通らない可能性がある
借入額が多い場合、融資の審査が厳しく通らない可能性が高くなります。
特に、個人の属性が不利な人や不動産投資の経験のない人では、審査に通る可能性は低いでしょう。
また、物件の収益性も判断材料となるので、収益性が低い物件で頭金が少ない場合も審査に通るのが難しくなります。
融資に通ったとしても、希望額の融資が受けられない場合や金利が高い場合可能性もあるので注意しましょう。
頭金を少なくする場合は、デメリットも十分理解したうえで頭金をどれだけ用意するかを慎重に検討することが大切です。
まとめ
不動産投資の初期費用の内訳や抑えるコツをお伝えしました。
不動産投資では、物件価格の1割~2割ほどの初期費用が必要です。
初期費用といってもさまざまな項目があるので、どの項目にどれだけ費用が必要かを把握することが大切です。
初期費用を抑えることも可能ですが、抑えることだけを重視していると思わぬデメリットもあるものです。
初期費用の正しい抑え方を理解したうえで、できるだけ初期費用を抑えて不動産投資をスタートさせましょう。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。
逆瀬川勇造
30代男性