
といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- マンションの売却価格で土地と建物の区分はどうなっているの?
- マンション売却で土地と建物を分けて考える必要があるケース
- マンションの売却価格で土地と建物の価格を確認する方法
- 土地と建物の区分がない場合の計算方法
「マンションの売却額の内訳って?」「土地と建物ってどう分ければいいの?」そのような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
マンション売却額は販売価格のみが提示されていますが、その中には基本的に土地代と建物代と消費税が込められているものです。
とはいえ、販売価格のうちそれぞれがいくらなのかを確認する機会というのはあまりないものですね。
しかし、土地と建物がいくらかなのかは、売却時や納税の際に重要になるポイントでもあります。
それぞれの割合によっては納税額が高くなってしまう可能性もあるので、内訳を把握しておくことが重要です。
この記事では、マンション売却額の土地と建物の区分について、確認方法や計算方法などを分かりやすく解説します。

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マンションの売却価格で土地と建物の区分はどうなっているの?
マンションにもよりますが、基本的に売却価格は「販売価格〇〇万円」という、すべてを含んだ価格のみで提示されていることが多いものです。
しかし、マンションは一般的に、土地と建物がセットで販売されているため、その金額の中には「土地代」と「建物代」が含まれています。
また、税込み表示である場合はさらに「消費税」も含まれた価格なのです。
すべて含んだ価格なら、分かりやすいから問題ないように感じる方もいるでしょう。
マンション売却価格で、内訳が問題となるのは消費税や納税が関わってくるからなのです。
消費税は建物のみに課せられるもののため、土地代に消費税は課せられません。
売主としては、土地の割合を多くしたほうが納めるべき消費税を低くできるのです。
ただし、買主にとっては建物の割合を増やしたほうが、税金の控除を利用するうえで有利になります。
そのような都合から、土地と建物の区分が重要なポイントとなってくるのです。
マンション売却で土地と建物を分けて考える必要があるケース
マンション売却額で土地と建物を分けて考えるケースには、次の3つがあります。
- マンション売却時の確定申告
- 1,000万円特別控除を活用するケース
- 課税事業者が消費税を計算する必要があるケース
それぞれ見ていきましょう。
その①:マンション売却時の確定申告
マンションを売却した場合、確定申告が必要になります。
マンション売却では、売却の利益に対して譲渡所得税が課せられるのです。
この譲渡所得の計算で土地と建物の価格をそれぞれ必要になります。
まずは、譲渡所得税の求め方について見ていきましょう。
譲渡所得税は、次の計算で求められます。
- 譲渡所得(課税所得)= 売却額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除
- 譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
譲渡所得税は、課税対象となる譲渡所得に税率を乗じて求めます。
この譲渡所得とは、大まかには「マンション売却額から購入や売却に掛かった経費を引いた利益」のことです。
購入に掛かった費用である「取得費」では、物件の購入価格だけでなく不動産の仲介手数料や印紙税なども含まれます。
ただし、この物件の購入価格は購入したときの価格ではなく、現在の建物価値の価格です。
そのため、購入費用から減価償却費を差し引く必要があります。
建物は、築年数が増えるに従い経年劣化し価値が損なわれていきます。
減価償却とは、その損なわれる価値の分を経費として計上する、会計上の手法のことを言います。
しかし、土地は年数が経過しても劣化するものではありません。
そのため、減価償却は建物のみに適用され、土地は減価償却する必要がないのです。
よって、譲渡所得を求めるための取得費の求め方は次のようになります。
- 取得費 = 建物取得費(建物購入価格 - 減価償却)+ 土地取得費(土地購入価格)
- 減価償却 = 建物購入価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
償却率は建物の構造により異なりますが、一般的なマンションである鉄筋コンクリート造りの場合は「0.015」となります。
例えば、購入金額が1億円のマンションを6年で売却した場合では、取得費は次のようになります。
建物3,000万円/土地7,000万円の場合
建物減価償却 = 3,000万円 × 0.9 × 0.015 × 6年 = 243万円
建物取得費 = 3,000万円 - 243万円 = 2,757万円
取得費 = 2,757万円(建物)+ 7,000万円 = 9,757万円
建物7,000万円/土地3,000万円
建物減価償却 = 7,000万円 × 0.9 × 0.015 × 6年 = 567万円
建物取得費 = 7,000万円 - 567万円 = 6,433万円
取得費 = 6,433万円(建物)+ 3,000万円 = 9,433万円
このように、購入金額が1億円であっても、建物と土地の割合によって取得費は異なってくるため、区分が重要になるのです。
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その②:1,000万円特別控除を活用するケース
1,000万円特別控除とは、平成21年・22年に取得した土地を所有期間5年超えで売却した場合に、土地の譲渡所得から1,000万円を控除できる特例のことです。
この控除はマンションであっても適用できます。
しかし、土地価格の譲渡所得の部分のみに適用され、土地価格が1,000万円に満たない場合は、土地の譲渡所得全額のみの控除になります。
そのため、この特定を適用するには土地の価格が必要になるのです。
ただし、マンションがマイホーム用の物件であれば、より控除額の大きい「3,000万円特別控除」を適用できる場合があります。
3,000万円特別控除と1,000万円特別控除は併用できないので注意が必要です。
その③:課税事業者が消費税を計算する必要があるケース
課税事業者がマンションを売却する場合は、消費税が課せられます。
この消費税は建物のみに適用されるため、建物と土地の区分が必要になるのです。
土地は消費されるものではないため、消費税の課税対象ではありません。
一般的な、マンション売却価格表示は税込みの場合、次のように構成されています。
売却価格(税込み)= 建物代金 + 土地代金 + 建物に係る消費税
例えば、建物2,000万円 / 土地3,000万円の場合は次のとおりです。
売却価格(税込み)= 2,000万円 + 3,000万円 + 200万円 = 5,200万円
一方、建物3,000万円 / 土地2,000万円の場合は、次のようになります。
売却価格(税込み)= 3,000万円 + 2,000万円 + 300万円 = 5,300万円
このように、建物と土地の区分によっても消費税を込めた価格が大きく異なってくるのです。
ただし、個人や免税業者が売買する場合は消費税が課税されないので、あまり重要ではないでしょう。
マンションの売却価格で土地と建物の価格を確認する方法
ここでは、マンション売却価格で土地と建物の価格を確認する方法について見ていきましょう。
確認方法には、次のような方法があります。
- 売買契約書を確認する
- 住宅ローン控除の書類を確認する
その①:売買契約書を確認する
マンション購入時の売買契約書に、土地と建物の価格が記載されている場合はその価格が内訳となります。
新築マンションや課税事業者から購入した場合は、売買契約書に内訳まで記載されている場合が多いでしょう。
その②:住宅ローン控除の書類を確認する
売買契約書を紛失している場合であっても、住宅ローン控除を適用している人であれば確定申告時の申告書から内訳を確認できます。
住宅ローン控除を適用するには、1年目は確定申告が必要になります。
その申告書には、「家屋又は土地等の取得対価の額」の欄があるため、その欄で金額が確認できるのです。
確定申告書で確認する場合は、税務署に問い合わせて確認するとよいでしょう。
土地と建物の区分がない場合の計算方法
売買契約書や確定申告書で確認できれば問題ありませんが、その方法でも確認できない場合もあるでしょう。
また、そもそも内訳を決めていないというケースもあるものです。
ここでは、内訳を確認できない場合に計算でも求める方法について見ていきましょう。
計算方法としては、次のような方法があります。
- 消費税の額から建物の価格を求める
- 固定資産税評価額からそれぞれの価格を求める建物の
- 標準的な建築価格表から求める
それぞれ見ていきましょう。
消費税の額から建物の価格を求める
売買契約書はあるけど内訳が記載されていない場合は、消費税額から求められます。
基本的には、土地と建物の割合が記載されていない場合でも、消費税額が記載されているという場合が多いでしょう。
先述した通り、消費税は建物にのみ課税されます。
そのため、消費税から逆算して建物と土地の割合を求められるのです。
次の方法で算出できます。
- 建物価格=消費税÷消費税率
- 土地価格=税抜総額-建物価格
例えば、次のような場合で計算してみましょう。
- 購入時期:2000年(消費税率5%)
- 購入価格:5,000万円(税抜き)
- 消費税:180万円
建物価格=180万円÷5%=3,600万円
土地価格=5,000万円-3,600万円=1,400万円
よって、この場合は建物3,600万円・土地1,400万円となるのです。
この時、計算する税率は購入当時の税率で算出する点に注意しましょう。
消費税率は次のようになるので、参考にしてください。
税率 | 期間 |
3% | 1989年4月1日~1997年3月31日 |
5% | 1997年4月1日~2014年3月31日 |
8% | 2014年4月1日~2019年9月30日 |
10% | 2019年10月1日~ |
ただし、この方法で算出できるのは消費税が適用された1989年4月1日以降に購入した場合です。
また、適用された期間であっても、個人や免税業者など消費税が課税されていない場合には利用できないので注意しましょう。
固定資産税評価額からそれぞれの価格を求める
消費税額も分からず総額しか分からない場合に、求める方法として固定資産税評価額から算出する方法もあります。
この方法では、購入時での固定資産税評価額の割合から、それぞれ土地と建物の価格を算出します。
例えば、次の場合を見ていきましょう。
- 購入額(総額):1億円
- 購入時の土地固定資産税評価額:3,600万円
- 購入時の建物固定資産税評価額:2,800万円
土地の割合=土地固定資産税評価額 ÷(土地固定資産税評価額+建物固定資産税評価額)= 3,600万円 ÷(3,600万円 + 2,800万円)= 56.25%
建物の割合=建物固定資産税評価額 ÷ (土地固定資産税評価額+建物固定資産税評価額)= 2,800万円 ÷(3,600万円 + 2,800万円)= 43.75%
土地価格 = 総額 × 土地割合 = 1億円 × 56.25% = 5,625万円
建物価格 = 総額 × 建物割合 = 1億円 × 43.75% = 4,375万円
この方法であれば、総額が分かれば求められるので、比較的安易に求められるでしょう。
ただし、この方法では購入時の固定資産税評価額が必要になります。
固定資産税評価額は、管轄の都道府県税事務所で確認できるでしょう。
しかし、築年数が古いマンションの場合などは記録が残っていない場合もあるので注意が必要です。
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建物の標準的な建築価格表から求める
総額しか分からない場合で算出する方法としては、建物の標準的な建築価格表から求める方法もあります。
建築価格表から算出する手順は次のとおりです。
- 新築時の建物価格を求める
- 新築時から購入時まで減価償却し、購入時の建物価格を算出する
- 購入時の総額から建物価格を差し引いて土地価格を求める
この新築時の建物価格の算出に使うのが、国税庁の「建物の標準的な建築価額表」です。
この表では、築年数と構造による1㎡あたりの単価が定められています。
例えば、次の場合を算出してみましょう。
- 2010年新築マンション(鉄筋コンクリート造り)
- 建築単価:205,900円/㎡
- 建物面積:80㎡
- 購入年:2015年
- 購入価格:2,500万円(総額)
2010年新築マンションの場合、建築価額表での建築単価は205.9千円/㎡です。
よって、新築時の建物価格は次のとおりです。
新築時の建物価格=205.9千円×80㎡=16,472,000円
このマンションを2015年(築年数5年経過)に購入した場合、建物価格は次のようになります。
減価償却 = 1647.2万円 × 0.9 × 0.015 × 5年 = 1,111,860円
購入時の建物価格 = 新築時の建物価格 - 減価償却 = 16,472,000円 - 1,111,860円 = 15,360,140円
このマンションを2,500万円で購入したので、土地の価格は次のようになります。
土地の価格=25,000,000円- 15,360,140円=9,639,860円
よって、上記のマンションの建物と土地の価格は次のとおりです。
建物価格:15,360,140円
土地価格:9,639,860円
この方法は計算が複雑ですが、固定資産税評価額を入手しなくても算出できるので大きな手間はかからないでしょう。
また、固定遺産税評価額から算出する場合よりも、建物の価格が小さくなる場合が多いという特徴もあります。
建物価格が小さければ、それだけ減価償却も小さくなり取得費を大きく計上できるので節税につながる可能性があるのです。
まとめ
マンションの売却額の土地と建物の区分の必要性や計算方法についてお伝えしました。
土地と建物の区分は、消費税や納税・所得控除の計算の際に重要になります。
売却額が総額の場合は、土地と建物の割合を把握することが必要になるのです。
それぞれの割合は、売買契約書などで確認できます。
内訳が分からない場合でも、消費税額や固定資産税評価額などから求められるので、必要に応じて計算して求めるようにしましょう。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。
逆瀬川勇造
30代男性