マンション購入

マンション購入前に知っておきたい豆知識11選

マンションを購入しようと思っているのですが、知っておいた方が良いことってありますか?知識があまりないので教えてください。

といった悩みにお答えします。

本記事の内容

  • マンション購入前に知っておきたい豆知識11選

不動産取引のシーンで必要となる専門知識は幅広く、はじめてマンションを購入する人にとっては聞き慣れない言葉も多いと思います。

幅広く知識を持っていることで物件を選定するときの視野が広がりますし、また契約手続きの中でも役に立つことが多いです。

本記事では、「不動産広告の見方」「エリアの特性」「マンションの建物」の三部構成に分けて、マンションを購入するときに役立つ豆知識11選を紹介したいと思います。

マンションを購入する前の情報収集に参考にしていただければと思います。

マンション購入前に知っておきたい豆知識11選

マンション購入前に知っておきたい豆知識11選

まずは、マンションを購入する前に知っておいた方が良い知識を一覧で11つご紹介します。

マンション購入前に知っておきたい豆知識11選

  1. 「徒歩〇分」の根拠は?
  2. 図面と現況が異なる場合
  3. 「取引態様」とは?
  4. 不動産広告に使えないNGワードがある
  5. 用途地域とは?
  6. 「LDK」「DK」「SLDK」などの間取りの見方
  7. 新耐震基準とは?
  8. 内法面積と壁芯面積の違いとは?
  9. マンションの保証内容は?
  10. 遮音等級とは?
  11. 住宅性能評価とは?

上記の通りです。

どれもマンション購入で必要となる豆知識ですので、覚えておくといいですよ。

それでは1つずつ解説していきます。

①:「徒歩〇分」の根拠は?

①:「徒歩〇分」の根拠は?

マンションの広告を見ていると「駅から徒歩〇分!」などと書かれた記載をよく見かけますが、何を根拠にした時間なのか気になったことはありませんか?

徒歩による所要時間については、不動産公正取引協議会連合会による公正競争規約の中で「道路距離80メートルにつき1分間」と計算するものとして明確に定められています。

1分80mというスピードは、成人女性がハイヒールを履いて歩いたときの平均的な速度をもとに決められた数値と言われています。

しかし歩くスピードは人それぞれですので、記載より時間がかかるということもあるかもしれません。

購入を決めるときは自分の足で歩いてみて何分かかるのかということを実際に体感することをお勧めします。

②:「図面と現況が異なる場合は…」

②:「図面と現況が異なる場合は…」

不動産のチラシを見ると、「図面と現況が異なる場合は現況を優先します」と記載されていることがあります。

チラシ内の図面では70㎡と記載されていたのに実際は65㎡しかなかったということがあっても、「チラシの情報が間違っているので現況を優先しますね」と言われてしまうということです。

同じマンション内で複数の物件を売りに出すときや、建築面積と公簿面積に差異が生じているときなどのケースにおいてこのような状況が起こり得ます。

この文言が広告に記載されているときは「もしかしたら誤った情報が記載されているかもしれない」という前提でチラシを見るようにし、その時点では情報を過信しないようにしましょう。

気になる物件があれば、来店することで不動産会社から建築図面や登記情報などの正確な資料を受領することができます。

あわせて読みたい
マンション購入時の販売図面の見方と4つのチェックポイントを解説

続きを見る

③:「取引態様」とは?

③:「取引態様」とは?

不動産広告の中には、[取引態様]という項目があります。

取引態様を見れば、その物件広告を出している不動産業者がどのような立場で取引に介入しているのかを知ることができます。

取引態様には主に売主・代理・仲介などというものがあり、それぞれ以下のような意味があります。

売主

取引態様が「売主」となっているときは、広告を出している不動産会社がその物件を所有しており、直接売主として契約することを意味します。

窓口が所有者なので、現在の反響状況や値引きの可能性などの情報の聞き取りがしやすいという特徴があります。

また、直接売主となっている場合は、仲介手数料がかからないことが一般的です。(別の仲介業者が関わっている場合は手数料がかかることもあるので、売主業者に確認するようにしましょう。)

代理

取引態様が「代理」となっているときは、広告主が売主の代理人として販売活動を行っていることを意味します。

販売代理は、主に新築分譲マンションなどで見られることが多い形態です。

取引形態が代理の場合においても、買主側から仲介手数料を徴収しないことが一般的です。

仲介(一般媒介)

仲介は、不動産会社が売主と買主の間に介入して取引を進行するというものです。

その中でも、「(一般)仲介」「一般媒介」などと記載されている場合は、売主が複数の不動産会社に仲介を依頼できることを意味しています。

同じ売主からA社、B社、C社…と複数の業者に物件を依頼することになるので、依頼を受けている会社によって持っている情報や対応が異なることがあります。

また、物件情報が広い範囲に行き渡りやすいという特徴があります。

仲介(専任、専属専任など)

同じ仲介でも取引態様の項目に「専任」などと記載されている場合は、売主がその不動産業者にだけ仲介を依頼している状態を意味します。

一般媒介に比べると、専任の不動産会社がリアルタイムで売主側の状況を把握している可能性が高いという特徴があります。

契約条件や値引きの可能性など、タイムリーな情報を聞くことができます。

あわせて読みたい
マンション売却を仲介に依頼するときの3つの契約方法について解説

続きを見る

④:不動産広告に使えないNGワードがある

④:不動産広告に使えないNGワードがある

不動産広告を規制する公正競争規約では、広告内において根拠のない主観的な単語は使用できないように制限されています。

例えば以下のような単語です。

 不動産広告で使えないNGワード例

  • 最高ランク
  • 眺望抜群
  • 完璧物件
  • 破格特価 etc

上記の通りですが、言葉は人によって感じ方が異なり、広告に使用することで購入希望者にミスマッチを生じさせる可能性があります。

このような単語は、不動産の広告では原則として使うことができないとされています。

もしもNGワードが広告で使用されているときは広告内容を鵜呑みにせず、「本当にこの内容は正しいのか?」と疑問を持ち、自分自身の目で現地を確認することが大切です。

⑤:用途地域とは?

エリア特性について

「用途地域」は、都市計画法で定められた街づくりのための地域分けのルールです。

細かく区分けされた用途地域ごとで、建物の規模や種類の制限が決められています。

購入予定のマンションが建っているエリアの用途地域が分かれば、その周辺に将来的にどのような建物が造られるのか、どのような街づくりがされるのか、ということが予測できます。

用途地域には主に以下のものがあります。

  1. 第一種・第二種 低層住居専用地域
  2. 田園住居地域
  3. 第一種・第二種 中高層住居専用地域
  4. 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域
  5. 近隣商業地域・商業地域
  6. 準工業地域・工業地域・工業専用地域

1つずつ解説していきます。

第一種・第二種 低層住居専用地域

低層住居専用地域は、「閑静な住宅街」というイメージのエリアです。

原則として高さ10m以下の低層住宅しか建てることができませんが、一定の条件を満たせば小規模な店舗なども建設できます。

田園住居地域

市街地の中に農地が混在しているようなエリアです。

宅地と農地が調和された街並みを整備するために比較的最近定められた用途地域であり、該当地域はあまり多くはありません。

第一種・第二種 中高層住居専用地域

マンションなどの高層住宅が立ち並ぶようなエリアです。

中高層住居専用地域には教育機関や病院など生活に必要な大型施設も造ることができます。

また、一定の条件を満たせば店舗などの商業建物も建設可能です。

第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域

住居環境を守るエリアではありますが、住居専用地域に比べると建てられる建物の範囲が広がるため、やや雑多な街並みのイメージになります。

商業施設やオフィスビルだけではなく、場合によってはホテル、パチンコ店、お酒を提供する飲食店、カラオケボックスなどの施設も一定の規模内であれば認められることがあります。

近隣商業地域・商業地域

ショッピングモールやオフィスビルなどの大型商業系建物が建設できるエリアです。

マンションなどの居住用建物も造ることができますが、住居系エリアよりも地価が高いため物件価格が高額になる傾向があります。

建築できる建物の種類がもっとも幅広く、夜系のお店が立ち並ぶこともあります。

大型遊技場やキャバレーなどの建物が造れることがあるため、居住地として相応しいエリアかどうか現地で確認することをお勧めします。

準工業地域・工業地域・工業専用地域

工場や倉庫など、工業系の建物がメインとなるエリアです。

準工業地域、工業地域、工業専用地域の順に危険性の高い工場が建設できるようになります。

⑥:間取りの見方

⑥:間取りの見方

続いては、間取りの見方についてご紹介します。

  1. LDKとDKの違い
  2. 1Kとワンルームの違い
  3. SLDKとは
  4. 間取り一覧表

1つずつ解説していきます。

LDKとDKの違い

LDK(リビングダイニングキッチン)とDK(ダイニングキッチン)は、どちらもマンションのメインとなるキッチンとリビングが一緒になった部屋のことを意味しますが、部屋の畳数によって使い分けがされています。

居室が1部屋の間取り

4.5畳以上:DK
8.0畳以上:LDK

居室が2部屋以上の間取り

6.0畳以上:DK
10畳以上:LDK

1Kとワンルームの違い

LDKやDKよりもキッチンが小さい場合は、キッチンスペースを「K」と表し、1Kなどという表記をします。

1Kとワンルームは、居室とキッチンの仕切りの有無によって区分されます。

1Kとワンルームの違い

  • 1K:1つの居室とキッチンが仕切り壁によって別個になっている
  • ワンルーム:居室とキッチンが一緒になっており、それ以外の部屋がない

SLDKとは?

間取りの「S」はサービスルームを意味します。

建築上は納戸(収納スペース)としての扱いですが、部屋としても利用できるような空間がサービスルームと呼ばれています。

間取り一覧表

ワンルーム居室とキッチンが一緒になっており、それ以外の部屋はない
1Kキッチン(4.5畳未満)+居室
1DKダイニングキッチン(4.5畳以上)+居室
1LDKリビングダイニングキッチン(8畳以上)+居室
1SLDKリビングダイニングキッチン(8畳以上)+居室+納戸
2Kキッチン(4.5畳未満)+2居室
2DKダイニングキッチン(6畳以上)+2居室
2LDKリビングダイニングキッチン(10畳以上)+2居室
2SLDKリビングダイニングキッチン(10畳以上)+2居室+納戸

関連記事マンション購入前に知っておきたい間取りの知識!基本から注意点まで詳しく解説!

⑦:新耐震基準とは?

⑦:新耐震基準とは?

古い建物を購入するときに気を付けたいのが「耐震基準」です。

耐震基準は建物の耐震強度を保つために求められる技術的基準です。

1981年6月に耐震基準の大幅な改正があり、改正以前の耐震基準は「旧耐震基準」、改正以降は「新耐震基準」と呼ばれるようになりました。

旧耐震基準時代は現在ほど基準が厳しくなかったため、この時代に建てられた建物は地震に対する強度が弱い可能性があります。

築古マンションを購入するときは、その建物が新耐震基準によって造られたものなのか確認することをお勧めします。

旧耐震基準時代に造られた建物である場合は、耐震診断や改修工事の実施状況を確認するようにしましょう。

関連記事地震に強いマンションとは?マンションの購入前に確認するべきポイントと注意点について解説します

⑧:内法面積と壁芯面積の違いとは?

⑧:内法面積と壁芯面積の違いとは?

マンションの室内面積を示す数字には、「内法面積」と「壁芯面積」の二種類があります。

それぞれ測定方法が異なるので、同じ部屋でも内法面積と壁芯面積で差異が生じます。

一般的に内法面積は壁芯面積よりも3~5%ほど小さい数値となります。

内法面積

壁の内側の面を境界線として測定した面積で、内法面積=有効面積と考えることもできます。

登記簿に記載される面積は、原則として内法面積となっています。

壁芯面積

コンクリート壁内部の中心線が境界線であるという考え方で測られた面積です。

壁の厚みの一部も部屋の面積として算入されるので、有効面積よりも若干大きく見えてしまうのが特徴です。

設計士が図面を引くときや建築施工現場においては、壁芯面積で表記されることが一般的です。

⑨:マンションの保証内容は?

⑨:マンションの保証内容は?

マンションに対する保証には、「契約不適合責任」「品確法による保証」があります。

売主の契約不適合責任

マンションの引渡しを受けたあとに雨漏りや亀裂などの建物の瑕疵(潜在的な欠陥)が発覚した場合、原則として売主は責任を負わなければなりません。

この責任を「契約不適合責任」と言います。

引渡し後に契約不適合の箇所が発見された場合は、買主は売主に対して修補請求などを求めることができます。

売主は契約不適合責任を一定期間負わなければなりませんが、売買契約の中で契約不適合責任期間を短くしたり、一定の範囲内で免責することができます。

築年数が古いマンションを購入する場合においては引渡し後に瑕疵が発見されることは珍しくないので、契約締結の際に契約不適合責任の内容についてしっかり確認するようにしましょう。

関連記事民法改正により瑕疵担保責任が契約不適合責任に?違いや特徴を解説

マンションの重要な構造部分に対する保証

建物の主要耐力上で重要な構造部分(基礎、柱、梁、屋根、雨水侵入防止部など)に欠陥があると建物の寿命を縮める原因になります。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」において、建築業者や分譲開発業者は、建物の重要部分について新築から10年間保証しなければならないと定められています。

万が一重要な構造部分に欠陥がある場合は、買主はマンションの事業主等に対して修補や損害賠償を求めることができます。

⑩:遮音等級とは?

⑩:遮音等級とは?

マンションは上下左右の部屋と接した造りになっているので、防音性能が気になるところだと思います。

マンションの防音性を示す数値に、遮音等級というものがあります。

遮音等級は建築図書や分譲時のパンフレットなどで確認することができますので、資料が残っている場合は参考にしてみてください。

重量衝撃音に対する遮音等級

人が飛び跳ねたときなどの「ドスン」という騒音を重量衝撃音と言います。

重量衝撃音に対する遮音性は、コンクリートスラブの厚さによって決まります。

重量衝撃音に対する遮音等級はLHという単位で表され、数値が低いほど遮音性が高くなります。

一般的にはLH55以下の数値が望ましいと言われています。

軽量衝撃音に対する遮音等級

お箸を落としたときなどの「カラン」という騒音を軽量衝撃音と言います。

軽量衝撃音に対する遮音性は、仕上げ材量の性能や施工の良し悪しによって決まります。

軽量衝撃音に対する遮音等級はLLという単位で表され、LL45以下の数値が望ましいと言われています。

⑪:住宅性能評価とは?

⑪:住宅性能評価とは?

住宅性能評価は、簡単に言うと建物の通信簿のようなものです。

第三者評価機関がチェック項目に基づき、建物の性能を評価します。

購入予定のマンションが住宅性能評価実施物件だった場合は、評価報告書を受領するようにしましょう。

あくまで評価内容を把握することが目的なので、未実施だったからといって困ることはありません。

ただ、住宅性能評価を受けていることで銀行の金利優遇や火災保険の割引などのメリットがあることがあります。

まとめ:マンション購入前に必要な知識を知っておこう!

今回は、マンション購入前に知っておきたい豆知識11選といった内容を解説しました。

もう一度おさらいをすると、以下の豆知識を知っておくとマンションを購入するときに役立ちます。

マンション購入前に知っておきたい豆知識11選

  1. 「徒歩〇分」の根拠は?
  2. 図面と現況が異なる場合
  3. 「取引態様」とは?
  4. 不動産広告に使えないタブーワードがある
  5. 用途地域とは?
  6. 「LDK」「DK」「SLDK」などの間取りの見方
  7. 新耐震基準とは?
  8. 内法面積と壁芯面積の違いとは?
  9. マンションの保証内容は?
  10. 遮音等級とは?
  11. 住宅性能評価とは?

聞きなれない言葉もあるかと思いますが、本記事を参考にして覚えておきましょう。

マンションの売却や買取なら不動産情報サイトMANSION COLLECTのTOPへ戻る

この記事を書いた人

真地 リョウ太(ペンネーム)

30代男性

資格:宅地建物取引士・FP2級・行政書士試験合格

学生時代は不動産業界への強い関心があり、大学では取引関連法を学んでいました。

新卒後すぐに不動産業界に飛び込み、現在は土地売買や相続案件など幅広い実務を担当しています。得意分野は取引法務です。法律の知識をもっと深くしたいという想いから、仕事をしながら独学で行政書士の試験に合格しました。

資格取得によって身に着けた知識と実務で培った経験を活かして、不動産オーナー様のお役に立てるよう日々頑張っています。趣味は旅行。座右の銘は「我以外、皆我が師」

-マンション購入