マンション購入

分譲マンションを購入する前に確認しておきたいチェックポイント

分譲マンションを購入したいのですが、選び方が分かりません。失敗したくないので、マンション内覧時に確認すべきことを教えてください。

といった悩みにお答えします。

本記事の内容

  • 分譲マンションの魅力
  • 専有部分のチェックポイント7つ
  • 建物管理のチェックポイント
  • 環境のチェックポイント

マイホームは一生に一度と言われるほど大きな買い物です。

マンションを購入するときは、後悔することがないようにしっかり物件を見極めたいものですよね。

市場には魅力的なマンションがたくさん流通しているので、その中で自分に合ったマンションを選ぶためにはポイントを押さえて物件を比較検討していくということが重要になります。

この記事では、物件を内覧するときに具体的にどのようなところをチェックするべきかを紹介していきたいと思います。

これからマンションを購入する人は、ぜひ参考にしてください。

分譲マンションの魅力

分譲マンションの魅力

マンションを分譲する開発業者は過去の消費者の声を分析し、最新のニーズに適合するように企画を練って販売しています。

そのため分譲マンションは、立地環境がよく、間取りやプランが洗練されており、住宅設備も最新でハイグレードのものが導入されているなどの特徴的なセールスポイントがあり、初めて不動産を購入するという人でも失敗しにくい魅力的な物件が多いです。

魅力がたくさん詰まった分譲マンションですが、複数の物件を細かく見ていくとそれぞれ違いがあるということに気が付きます。

マンションを選ぶときはチェックポイントを押さえて、物件を比較していくことが大切です。

専有部分のチェックポイント

専有部分のチェックポイント

まずは、専有部分におけるチェックポイントをご紹介します。

  • 相場より価格が高い
  • 周辺に競合物件が多くある
  • 物件が汚い
  • 不動産会社の販売力がない
  • 広告に問題がある
  • 契約方法が物件に適していない
  • 不動産会社が囲い込みしている

1つずつ解説していきます。

①:角住戸と中住戸について

分譲マンションの住戸を大きく分類すると、建物の端に配置される角住戸(角部屋)と、両側から他の住戸に挟まれた中住戸(中部屋)の2種類があります。

角住戸は他の住戸と接する面が少ないため窓が多く設置され、またバルコニーの面積も広めに設計できるという利点があります。

その反面、サッシやバルコニーに建築コストがかかるため、中住戸よりも販売価格が大幅に高くなってしまうというデメリットがあります。

一方で中住戸は窓が少ないので採光・風通しともに角住戸に比べて劣っており、他住戸に挟まれていることで人によっては閉塞感を覚えることもあります。

しかし、角住戸に比べると販売価格が安いという利点があります。窓が少なくても気にならないという人にはお得に購入できる中住戸がオススメです。

マンションの角住戸と中住戸の二択で悩んでいるときは売買価格と住み心地の両面から考え、どちらが優先するべきポイントかを判断する必要があります。

②:騒音対策について

分譲マンションは上下左右の住戸と密接し合っていますので、騒音のトラブルに発展しやすいという問題があります。

住戸内の騒音には軽量衝撃音と重量衝撃音という2つの種類があり、それぞれの騒音に対する対策のレベルを示す数値として「遮音等級」というものがあります。

マンションの遮音性能は物件によって異なるので、構造を確認するようにしましょう。

 軽量衝撃音

お箸などを落としたときに鳴る「カラン」という音のような軽くて高い騒音を軽量衝撃音と言います。

軽量衝撃音の遮音性は、仕上げ材料の種類と施工の良し悪しによって左右されます。

軽量衝撃音はLLいう等級で示され、数値が低いほど騒音が気にならなくなります。

騒音を気にせず生活できる目安としては、LL45以下が望ましい数値だと言われています。

 重量衝撃音

人が飛び跳ねたときに鳴る「ドスン」という音のような低くて鈍い騒音を重量衝撃音と言います。

重量衝撃音の遮音性は、コンクリートスラブが厚いほど高くなります。
重量衝撃音はLHという等級で示され、LLと同じく数値が低いほど音は伝わりにくくなります。

目安として、LH55以下が望ましい数値と言われています。

遮音等級は、マンションが分譲されたときのパンフレットや設計図書で確認できますので、売主側に確認してみましょう。

③:間取り動線について

生活する上では間取りの使い勝手も大切なポイントですね。

実際に住んでいるシーンを想像しながら生活動線と家事動線を確認してみましょう。

生活動線・家事動線をシミュレーションするときは、間取りの図面に直接ボールペン等で人の動きを書き込んでみるとイメージしやすくなります。

玄関から入ってリビングまで行く動線、入浴して脱衣所から自分の部屋に向かう動線、居室から食卓に行く動線…といったように生活している人の動きを想像しながらペンで線を書き込んでいきます。

書き込んだ動線が図面上で複雑な動きになるほど生活するうえで不便と感じることが多くなりますので、注意しましょう。

④:住宅設備のグレードについて

室内の住宅設備の充実度はマンションによって異なります。

自分が欲しい設備や機能が備わっているか、また備わっていない場合は新しく導入するためにどれくらいの費用がかかるのかを確認するようにしましょう。

たとえばキッチンスペースであれば自動食器洗機の有無やコンロの種別、システムキッチンのグレード(天板の素材、吊戸棚やカウンターの有無など)、レンジフードの機能などを確認しておきたいところです。

またバスルーム付近で確認しておきたいのは、湯船の追い炊き機能やオートストップ機能、サーモスタットの有無、浴室乾燥機の有無、ガス乾燥機の有無などがあります。

他にも住戸内の照明調光機能やトイレの自動洗浄機能などもあれば便利ですね。

住む人によって設備の必要性は違うと思いますので、自分が希望する機能が備わっているかどうかという目線で確認しておきましょう。

⑤:将来のリフォーム工事の可否について

マンションに家族で住む人は、将来的に間取りのリフォームを想定している人も多いと思います。

子供が独り立ちして夫婦二人の生活になったときなど、持て余した部屋の壁を取り除いて部屋を合体することができるのもマンションの魅力の一つです。

しかし、建物の壁には取り除し可能な「内装壁」と、取り壊しができない「構造壁」があるということに注意しなければなりません。

購入時に想像していたリフォームが実は不可能だったということがないように、壁の構造についてあらかじめ確認しておく必要があります。

壁の取り除きの可否はマンションを分譲したときのパンフレットや設計図書の平面図があれば簡単に判断することができますので、売主側に確認してみましょう。

⑥:天井の高さについて

天井の高さも大切なポイントです。

お部屋の天井高は、5㎝変わるだけでその空間の印象が大きく変わると言われています。

リビングのような広い空間だと高さが2.5m以上あれば開放感があると言われており、それよりも低くなると圧迫感を覚えるかもしれません。

ただし高さの感じ方は人それぞれなので、マンション内覧の際はスケールで高さを測定しつつ自分が気にならない程度かを確認するようにしましょう。

 【補足】

15階建ての分譲マンションは、天井が低い物件が多いと言われています。

中層マンションは建築コストの兼ね合いで45mの高さに収まるように建築されることが多く、この高さで開放的な天井を確保するためには14階建てまでが理想的だと言われています。

しかし45mという高さは、天井高を切り詰めれば15階建てもぎりぎり建築できる規模です。

このような建築上の事情があり15階建てのマンションは天井が低くなってしまう傾向があるのです。

ちなみに16階建て以上になると45mの制限とは無縁になるので、天井高を切り詰める必要はなくなります。

ピンポイントで、「15階建て」の建物は天井が低い可能性があるということに注意しましょう。

⑦:柱・梁の構造について

鉄筋コンクリート造のマンションの躯体には、所々に建物を支えるための柱と梁があります。

この梁や柱がマンション室内にあると圧迫感を覚えることがあります。

この柱や梁が邪魔にならないよう、うまく間取りに取り込めているかどうかが建築士の腕の見せ所とも言われています。

柱や梁の違和感は図面だけだと気付きにくいので、実際に現地で出っ張り具合を確認するようにしましょう。

建物管理のチェックポイント

建物管理のチェックポイント

ここからはマンションの共用部分に着目し、建物管理面でのチェックポイントについて考えたいと思います。

①:防犯性について

分譲マンションの魅力の一つに防犯性の高さがありますが、エントランスのオートロックだけでは防犯対策として不十分な場合があります。

たとえば空き巣の侵入経路としてよくあるのが共用外階段です。よじ登れば人間が一人入り込めるような空間があれば、防犯対策としては十分とは言えないことがあります。

また、配管パイプをよじ昇って2階のバルコニーから侵入することも考えられます。

部外者がマンションに侵入してくる余地はないか、敷地外からチェックする必要があります。

②:建物清掃等について

マンションの管理形態には主に、日勤管理、巡回管理、無人管理などがあります。

管理形態が日勤管理になっている場合、平日フルタイムで管理人が常駐して建物を管理してくれます。

管理人の滞在時間が長いので清掃作業も行き届いていますし、建物内で何かトラブルが発生してもすぐに対応してもえるというメリットがあります。

一方で巡回管理は、常に管理人がいるわけではありません。清掃もあらかじめ決められた頻度でしか行わないので、日勤管理ほど行き届かない場合もあります。

マンションが巡回管理になっているときは、その巡回頻度を確認しておきたいところです。(一般的には週2~3回ほどです)

無人管理に至っては普段管理人がマンションに来ることはなく、現地対応は緊急時などに限られます。

清掃についても管理会社がパート社員を雇って行うことが多いです。

管理会社のサービスが手厚くなるほど管理費のコストは大きくなりますが、快適な生活を送るためには建物の管理状況も大切なポイントの一つです。

現在の管理形態について売主側に確認してみるようにしましょう。

③:ごみ出しについて

マンションのごみ回収には、行政回収と業者回収の2つの形態があります。

行政回収は一般的なアパートや一戸建てと同じく、行政がごみを回収してくれるものです。

ごみの種別を分別して、自治体によって決められた曜日や時間に出さなければなりません。

一方で業者回収の場合は基本的に曜日や時間帯の決まりがありませんので、いつでもごみを出すことができます。

ごみの種別によって袋を分ける必要はありますが、曜日による分別はないので、燃えるごみと燃えないごみを同日に出すことも可能です。

業者回収の費用は管理費に上乗せされるので居住者としてのランニングコストは高くなりますが、生活する上ではとても便利なサービスです。

どちらでも構わないという人もいると思いますが、気になる人は確認してみましょう。

④:毎月の固定費について

分譲マンションを購入する上ではランニングコスト面のチェックも重要です。

マンションの固定費は、主に次のものがあります。

  • 管理費用
  • 修繕積立金
  • 駐車場・駐輪場使用料
  • 解体積立金(借地権付マンションの場合)

管理費用には、前の項目で説明した管理人の人件費やごみ回収費用、またインターネット回線料金などが含まれています。

マンションの固定費については金額も重要ですが、単に安いというだけではなく管理サービスの内容にも注目しながら妥当性を確認するようにしましょう。

修繕積立金については、築年数が古くなっていくほど金額が高くなる傾向があります。

管理運営の収支上の問題で高くなることもあれば、最初から段階的に金額を上げていく計画になっている場合もあります。

将来的には値上がりする可能性があるということを想定し、支払いのシミュレーションを立てるようにしましょう。

⑤:ペット飼育について

ペット飼育が可能となっている分譲マンションは数多くありますが、管理規約において何かしら制限がかかっていることがほとんどです。

中でもよく見かけるのは、動物のサイズや頭数の制限です。例えば犬の飼育がOKとなっているマンションでも大型犬はNGというケースや、3匹までしか認めないというケースがありますので注意しましょう。

また、管理規約で禁止動物が指定されているケースもあります。

大型動物や爬虫類、鳥類、昆虫類など、他の居住者に迷惑をかけるおそれのある動物は飼えない規約になっているケースが多いようなので、この点にも注意しましょう。

管理規約に反してペットを飼育していることが発覚した場合は、居住者間でトラブルに発展する可能性があります。

現在飼っているペットがいる場合は、マンション購入前にペット飼育可能かということ必ず確認するようにしましょう。

環境のチェックポイント

環境のチェックポイント

周辺環境について確認しておきたいポイントとして立地環境・ロケーションの二点があります。

それぞれのチェックポイントについて紹介したいと思います。

①:立地について

マンションの周辺環境は、その場所で生活していく上でとても大切なポイントになります。

まず周辺環境の利便性のチェックとして、毎日利用する最寄り駅や、スーパー・コンビニなどの商業店舗、医療機関、子供がいる場合は学校までの距離を把握するようにしましょう。

また、周辺環境にマイナス面がないかという確認も重要です。

繁華街・歓楽街やパチンコ店などの遊技場が近隣にあると、時間帯によって治安が悪くなることがありますので注意が必要です。

また、沿線や大通りが近すぎると、車両通過による騒音が気になることもあります。

マンション購入する前に現地に足を運んでエリアの特徴を知るようにしましょう。

②:ロケーションについて

開放的な見晴らしを求めて分譲マンションを購入する人は多いと思います。

ロケーションを重視する上では、将来的にわたってその眺望が確保できる環境かどうかを確認しておきたいところです。

ロケーション目的でマンションを購入するときは、その方面の土地の利用状況を確認するようにしましょう。

用途地域が低層地域になっている場合や、公園や公共施設の駐車場になっているときは大きな建物が建つ可能性は低いと考えられます。

逆に、その方向の用途地域が商業地域・中高層地域などになっており、なおかつ大きな空き地がある場合は要注意です。

近い将来、高い建物が建ちロケーションが阻害される可能性があることを想定しなければなりません。

まとめ

まとめ:分譲マンション購入前のチェックポイントシート

マンションのチェックポイントについて紹介してきました。

複数のマンションから1つに絞り込むというのは時間も労力も消費することですが、ポイントを押さえて比較するとスムーズに検討することができます。

マンションを購入するときはぜひ参考にしてみてくださいね。

ここまで紹介してきたチェックポイントをシートにまとめると以下のようになります。

 マンション選びのチェックポイント

[住戸内について]

  • 角住戸か中住戸かを確認

角住戸:窓が多く、日当たり・風通しが良いマンションに住みたい人向け
中住戸:窓が少なくても気にならない、価格が安いマンションを購入したい人向け

  • 騒音対策のレベルを示す遮音等級を確認

LL45以下、LH55以下が望ましい

  • 間取りの使い勝手

生活動線、家事動線のシミュレーション

  • 住宅設備のグレード

自分が欲しい設備の有無

追加で設備を導入する場合の予算

  • リフォームの可否

マンション内居室の仕切り壁の取り壊しの可否を確認

  • 住戸内天井の高さ

高さ2.5m以上が理想(15階建ては要注意)

  • 天井や梁の位置を確認

[建物管理について]

  • 防犯性の確認

建物外部から部外者が侵入する余地がないか確認

  • マンションの管理形態について確認
  • ごみ回収の形態について確認
  • 管理費、修繕積立金、駐車場使用料の合計金額を確認
  • ペット飼育について

現在飼っているペットが管理規約で禁止されていないか確認

[周辺環境について]

  • 周辺施設等について

プラス面:駅、商業店舗、学校など利便性の確認
マイナス面:歓楽街、遊技場など治安に影響を及ぼす施設の有無を確認

  • ロケーションについて

将来、大きな建物が隣接する可能性を確認

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この記事を書いた人

真地 リョウ太(ペンネーム)

30代男性

資格:宅地建物取引士・FP2級・行政書士試験合格

学生時代は不動産業界への強い関心があり、大学では取引関連法を学んでいました。

新卒後すぐに不動産業界に飛び込み、現在は土地売買や相続案件など幅広い実務を担当しています。得意分野は取引法務です。法律の知識をもっと深くしたいという想いから、仕事をしながら独学で行政書士の試験に合格しました。

資格取得によって身に着けた知識と実務で培った経験を活かして、不動産オーナー様のお役に立てるよう日々頑張っています。趣味は旅行。座右の銘は「我以外、皆我が師」

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