不動産投資

不動産小口化商品とは?メリット・デメリットや向いている人を解説

不動産投資で聞く「不動産小口化商品」ってなんですか?メリット・デメリットを教えてください。

といった悩みにお答えします。

本記事の内容

  • 不動産小口化商品とは?
  • 不動産小口化商品のメリット
  • 不動産小口化商品のデメリット
  • 不動産小口化商品がおすすめな人

近年注目を集めている不動産投資の新しい形として「不動産小口化商品」があります。

不動産小口化商品なら、数万円と少額から不動産投資に挑戦できるので、不動産投資初心者にもおすすめです。

ただし、不動産小口化商品にもデメリットがあり、必ずしも利益が出るわけではないので注意しなければなりません。

この記事では、不動産小口化商品の基本からメリット・デメリットまで分かりやすく解説します。

これから不動産投資を始めるという方は、以下の記事をご覧ください。

【初心者向け】不動産投資の始め方!7つのステップで徹底解説!

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不動産小口化商品とは?

不動産小口化商品とは?

不動産小口化商品とは、複数の投資家から資金を募って不動産を購入し、運営による利益を投資額に応じて分配する投資商品で、「共同出資型不動産」とも呼ばれています。

不動産投資するとなると、ローンを組んで数千万や億単位での投資となるため、初心者や資金がない人にはハードルが高い投資といえます。

それに対して、不動産小口化商品では、不動産を小口に分けて投資家が購入するという仕組みです。

例えば、1億円の不動産を500口に分けて、1口200万円で投資するという形になります。

購入口数は投資家が決められるため、一口だけ購入して投資資金を抑えることも数口購入して高額な投資も可能です。

中には、一口1万円で投資できる商品もあり、不動産投資に気軽にチャレンジできると注目を集めています。

不動産特定共同事業による金融商品

不動産小口化商品は、不動産特定共同事業と呼ばれる事業であり、不動産特定共同事業法と言う法律に基づいて商品が販売されています。

不動産特定共同事業法は、出資する投資家の程と事業の発展を目的に施工された法律です。

この法律により、契約書や約款の交付、事業参加者名簿の作成・情報開示など、投資家が安心して投資できるような条件が細かく定められているのです。

また、同法により不動産特定共同事業は原則として国土交通大臣か都道府県知事の許可が必要です。

事業者には、「資本金1億円以上の宅地建物取引業者」と言った一定の要件を満たしていることも求められるので、その点も投資家にとっての安心材料となるでしょう。

不動産小口化商品の種類

不動産小口化商品には、次の3つの種類があります。

  1. 匿名組合型
  2. 任意組合型
  3. 賃貸型

①:匿名組合型

匿名組合型では、投資家が出資した資金をもとに運営会社が事業をし、その利益を分配する仕組みです。

この方法では、投資家が不動産を直接所有することはありません。

不動産購入に必要な税金などの初期費用や登記などが必要ないため、投資家同士がつながらず、匿名性が高いという特徴があるのです。

匿名組合型では、利益はあまり大きくはなりません。

しかし、少額から投資でき運用期間も比較的短期なので、初心者にもおすすめの投資と言えるでしょう。

②:任意組合型

不動産の所有権を持てる投資方法が、任意組合型です。

任意組合型では、投資家が運営事業者となり他の投資家と共同で任意組合を組成して事業をおこないます。

匿名組合型が、事業者の事業に出資するという形に対し、事業と投資家の共同事業となるのが、任意組合型と言えるでしょう。

不動産の所有権を保有できるので、相続時の相続税対策も可能です。

ただし、登記簿に名前が記載され、不動産所有のための初期費用も発生します。

また、一口100万円以上で運用期間も10年以上と長期に渡る商品が多く、問題が発生した場合は事業参加者として責任を負う必要があるので注意しましょう。

③:賃貸型

投資家の資金をまとめて物件を購入し、事業者に運営を委託する方法が賃貸型です。

投資家は事業者に委託した運営費を差し引いた額を、分配金として得られます。

運営がうまくいっていると安定した収入を得られ、不動産の所有権もあるので相続税の節税効果も期待できるでしょう。

一口100万円以上で長期間にわたって運営する商品が一般ですが、商品数が少ないというデメリットがあります。

また、運営事業者が倒産などで不在になると運営する人がいなくなる点は、注意しなければなりません。

不動産小口化商品のメリット

不動産小口化商品のメリット

ここでは、不動産小口化商品のメリットについて見てみましょう。

メリットとしては、次の3つが挙げられます。

  1. 相続対策に有効
  2. プロに運営してもらえる
  3. 管理の手間が少ない

メリット①:相続対策に有効

任意組合型と賃貸型であれば、不動産の所有権を保有するため相続税対策に有効です。

相続税は、相続財産の評価額に応じて課せられますが、不動産は現金の7~8割ほどの評価になるという特徴があります。

任意組合型・賃貸型ともに現物不動産と同様に扱われるため、現金で所有するよりも相続税を抑えられるでしょう。

また、不動産を小口で所有するため、相続人が複数いる場合でも分割しやすく相続トラブルを避けられるというメリットもあります。

メリット②:プロに運用してもらえる

不動産投資では、物件選びが重要なポイントとなります。

しかし、見極めは素人では難しいうえに条件の良い不動産は物件価格も高額になるものです。

その点、不動産小口化商品であればプロが厳選した物件に少額から投資できます。

個人では投資できないような、大規模の物件にも投資できるのは嬉しいポイントと言えるでしょう。

メリット③:管理の手間が少ない

不動産投資では、入居者の募集や管理・物件のメンテナンスなどの管理の手間や時間が多くかかります。

不動産小口化商品であれば、それら管理の手間は、事業者や管理会社が担うため投資家には負担がかかりません。

仕事に忙しく管理の時間が割けない、管理が面倒と言う人にもおすすめと言えるでしょう。

不動産小口化商品のデメリット

不動産小口化商品のデメリット

不動産小口化商品にはデメリットもあるので、メリット・デメリットを比較したうえで検討することが大切です。

デメリットとしては、次のようなことがあります。

  1. 利回りが低くなりやすい
  2. 融資を使えない
  3. 元本保証ではない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

デメリット①:利回りが低くなりやすい

不動産の運営は事業者が担うため、不動産運営の利益から販売や運営の費用が差し引かれた額が分配されます。

そのため、自分で不動産運営するよりも利回りや低くなりやすい点には注意しましょう。

少額から投資できる反面、投資額が少なければそれだけ収入も小さくなるものです。

また、分配金を得られる期間も年1回~2回となり、毎月家賃収入を得られる不動産投資に比べ頻度が少ない点も気を付けましょう。

不動産小口化商品は、比較的リスクを抑えてあり管理などの手間もかからないというメリットがある反面、そのためのコストが掛かっているものです。

利回りが低くなることを考慮して、自分の投資目的やスタイルに応じて投資を検討するとよいでしょう。

不動産投資の利回りについては、不動産投資の利回りとは?利回りの種類とそれぞれの計算方法・相場など解説で詳しく解説しています。

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デメリット②:融資を使えない

不動産投資を自分でする場合、金融機関から融資を得て不動産を購入します。

しかし、不動産小口化商品では物件を担保にできないため融資は利用できず、自己資金での投資となる点には注意しましょう。

投資金額が比較的少額とはいえ、一口100万円という投資商品も中にはあります。

また、投資期間中は基本的に途中解約や売却ができずに、換金性が低い商品もあるため注意が必要です。

投資金は余剰資金から捻出し、運用期間中に別に資金が必要になっても対応できるのかまで考慮したうえで投資を判断するようにしましょう。

ただ、不動産小口化商品は比較的新しい金融商品のため、種類が多く提供されていません。

選択できる幅が少ないうえに、提供させると注文が殺到して購入できない場合も多いというデメリットもあるのです。

不動産投資の融資については、不動産投資で融資を受ける際のメリットや注意点・始めるまでの流れなど解説で詳しく解説しています。

不動産投資で融資を受ける際のメリットや注意点・始めるまでの流れなど解説

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デメリット③:元本保証ではない

不動産小口化商品は、元本保証はありません。

プロが厳選した物件であっても、空室状況や市場の変化で収益が出ずに元本割れするリスクはゼロではないのです。

事業者によっては元本割れのリスクを下げるための対策を取っている場合もありますが、ある程度のリスクがあることは覚悟したうえで商品を選ぶ必要があります。

ただし、元本保証を謳っている商品は出資法に違反しており、詐欺の可能性があるので注意が必要です。

不動産小口化商品がおすすめな人

不動産小口化商品がおすすめな人

ここでは、不動産小口化商品がどのような人に向いている投資方法なのか見ていきましょう。

具体的には、次のような方に適しています。

  1. 相続対策したい方
  2. まとまった資産のある方
  3. 手軽に資産運用したい方

その①:相続対策したい方

現金で資産を保有していると相続税が高額になることから、不動産で資産を保有する節税対策を検討している方も多いでしょう。

しかし、不動産投資の場合、空室や金利上昇などさまざまなリスクを抱えています。

また、投資する不動産の見極めも重要になり、見誤ってしまうと相続税対策どころか負の資産になってしまう可能性もあるのです。

不動産小口化商品であれば、リスクが比較的抑えられているため安定して資産運用できます。

不動産の所有権も保有できるので相続税対策としても有効です。

また、先述したように不動産と小口で所有するので、分割しやすく遺産分割時のトラブルを避けられます。

不動産投資としてはREITと呼ばれる方法もありますが、REITは上場株式と同様の相続税評価となるため、相続税対策としては効果が見込めないでしょう。

不動産投資で相続対策を検討しているなら、REITではなく不動産小口化商品を検討することをおすすめします。

ただし、少額すぎる不動産小口化商品への投資では思うほどの相続税対策とならない可能性があります。

相続税対策として検討しているなら、相続税のシミュレーションしたうえで適切な金額を判断するようにしましょう。

その②:まとまった資金のある方

少額から不動産投資できると言っても一口100万円以上の商品が多いため、ある程度のまとまった資金は必要です。

とはいえ、不動産投資のようにローンを組んで高額な投資とはならないため、不動産投資に興味はあるけどそれほどの投資資金は難しいという人におすすめと言えるでしょう。

その③:手軽に資産運用したい方

不動産小口化商品であれば、不動産運営や管理の手間がかかりません。

出資後は分配金を待つだけと言う商品もあるものです。

不動産投資に興味があるけど、資金や時間を理由に投資できない人でも不動産投資にチャレンジしやすいでしょう。

まとめ

不動産小口化商品の基本やメリット・デメリットについてお伝えしました。

少額から不動産投資できる不動産小口化商品は、相続税対策や手軽に資産運用したい人におすすめの投資方法です。

しかし、元本割れなどのリスクもあるため、投資するうえでは商品の情報をしっかりと調べ慎重に投資判断することが大切です。

この記事を参考に、不動産小口化商品について理解し、不動産投資してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

逆瀬川勇造

30代男性

資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)

地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。

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