といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- 不動産投資の利回りにはいろいろある
- 表面利回りの概要と計算方法
- 実質利回りの概要と計算方法
- その他利回り
- 利回りに関する注意点
不動産投資を検討していると「利回り」という言葉を耳にする機会があるでしょう。
利回りとはどれだけ利益が出るのかを表したもので、不動産投資するうえで重要なポイントとなります。
しかし、なんとなくは分かるものの詳しく分からないという方も多いものです。
利回りと言ってもいくつか種類があるので、それぞれの内容を詳しく把握することで不動産投資計画がより明確になります。
この記事では、不動産の利回りについて、初心者でも分かりやすく解説します。
これから不動産投資を始めるという方は、以下の記事をご覧ください。
【初心者向け】不動産投資の始め方!7つのステップで徹底解説!
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不動産投資の利回りにはいろいろある
利回りとは、不動産投資で得られる収益の見込みのことを言います。
「〇〇%」と投資資金に対する%で表示され、数字が高ければそれだけ収益性が高い物件となるのです。
利回りの数字によって、その物件はどれくらいの収益が見込めるのか、何年で投資資金が回収できるのかを把握できます。
例えば、利回り10%の物件では、利回り8%の物件より収益性が高いことを意味します。
また、投資資金に対し10%の収益があることになり、単純に考えれば10年で投資資金を回収できるとなるのです。
しかし、利回りと言っても大きく分けて次の2つがあります。
- 表面利回り
- 実質利回り
利回りは、その種類によって収益性に違いが生じます。
そのため、利回りが高いからと言って簡単に投資してしまうのはおすすめできません。
それぞれの種類の意味を理解したうえで、目安として投資を検討する必要があるのです。
ここからは、それぞれの利回りについて解説していきます。
表面利回りの概要と計算方法
まずは「表面利回り」について見ていきましょう。
表面利回りとは
表面利回りとは、物件購入価格に対しての家賃収入の割合を示した指標になります。
グロス利回りや想定利回り・期待利回りなどと呼ばれる場合もあります。
表面利回りは、経費などを考慮せずに家賃収入と購入価格で算出するので、計算しやすく物件の収益性の大きな目安となる指標です。
不動産会社の広告で表示されているのは、基本的のこの表面利回りが一般です。
ただし、実際の利回りは空室や経費などを差し引かないといけないものです。
不動産投資では、所有している居室が空室という場合や修繕費が掛かってしまう場合もあります。
表面利回りでは、空室や経費を考慮していないため、もっとも収入が多い状態かつ、コストが掛からない状態での利回りとなります。
実際は、表面利回りよりも利回りが低くなることが多いので注意しましょう。
表面利回りの計算式
表面利回りの計算方法は次のとおりです。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
例えば、1,000万円の物件を購入し、年間家賃収入が300万円の場合は、次のようになります。
表面利回り=300万円÷1,000万円×100=30%
上記の場合、表面利回りは30%となるのです。
表面利回りの年間家賃収入は、「現状」と「満室想定」の2つのパターンがあります。
中古物件などはすでに入居者がいる場合があり、その実際に今得られる収入が、現状の家賃収入です。
それに対し、不動産が満室状態で1年間空室が出ないことを想定した場合が、満室想定の収入になり、その場合の利回りは「想定利回り」と呼ばれます。
仮に、上記の条件で満室の場合が収入300万円・実際の家賃収入が200万円の場合は次のようになります。
- 想定利回り=300万円÷1,000万円×100=30%
- 表面利回り(実際の収入)=200万円÷1,000万円×100=20%
不動産広告の場合、満室を想定した収入で計算されていることがほとんどです。
利回りの数字だけでみると好物件でも、実際は綱に満室というわけではないので注意しなければなりません。
とくに、需要の少ない物件だと空室も多くなり、思っていた利回り通りにいかないケースも多いので注意しましょう。
表面利回りの相場
表面利回りは、地域や物件によっても大きく異なります。
日本不動産研究所によると、2021年の主な政令指定都市の表面利回り平均 は次のとおりです。
地域 | 想定利回り/ワンルーム | 想定利回り/ファミリー向け |
東京(城南地区) | 4.0% | 4.2% |
東京(城東築) | 4.3% | 4.3% |
札幌 | 5.3% | 5.5% |
横浜 | 4.5% | 4.8% |
名古屋 | 4.8% | 5.0% |
京都 | 5.0% | 5.1% |
大阪 | 4.6% | 4.7% |
神戸 | 5.0% | 5.1% |
福岡 | 5.0% | 5.0% |
実質利回りの概要と計算方法
不動産投資の収益性を表す指標としては「実質利回り」もあります。
表面利回りよりもより具体的な収益性を把握できるのが、この実質利回りです。
実質利回りとは
実質利回りとは、経費なども考慮し実際に手元にどれだけのお金が残るのかを表す指標です。
ネット利回りやNOI利回りなどとも呼ばれます。
同じ物件で利回りを計算する場合、経費を考慮している分表面利回りよりも、実質利回りの数字が低くなります。
本来の収益性で物件を選ぶのであれば、表面利回りよりも実質利回りの数字を判断基準にすることが大切です。
実質利回りの計算式
実質利回りの計算方法は、次のとおりです。
実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間経費)÷物件購入価格×100
ただし、実質利回りは経費や不動産購入時のコストなどをどこまで考慮するのかによっても、大きく数字が変わってくるので注意が必要です。
例えば、次のような場合の実質利回りを見てみましょう。
物件購入額:2,000万円
家賃設定:10万円×3部屋(1室は空室)
管理費・修繕積立金・管理手数料などの経費が月3万円
上記の場合、実際の家賃収入は
10万円×2室×12ヵ月=240万円、経費は3万円×12ヵ月=36万円
となります。
そのため、実質利回りは次のとおりです。
実質利回り=(240万円-36万円)÷2,000万円×100=10.2%
差引く経費としては、固定資産税や都市計画税・火災保険料なども算入できます。
また、不動産会社に支払う仲介手数料や印紙税などの購入時のコストを物件購入額に加えて計算することで、より正確な利回りを算出できるのです。
ちなみに、上記の場合の満室を想定した表面利回りは次のようになります。
表面利回り=360万円÷2,000万円×100=18%
このように、実質利回りと表面利回りでは数字に大きな差が出てくるので注意しなければなりません。
実質利回りの相場
実質利回りは、実際に掛かった経費などを考慮するため自分で計算してみないと分からないものです。
また、経費だけでなく地域や建物の種類・間取りなどによっても大きく異なるので一概にどの数字が正解とは言えません。
一般的には、都心部よりも地方のほうが空室リスは低く、利回りも高くなる傾向があるのです。
実質利回りの一つの目安としては、次のような数字を参考にするとよいでしょう。
- 新築物件:2%~3%
- 中古物件:4%~5%
ただし、利回りは個人の資産状況によっても許容度も変わってきます。
自己資金が多い人や複数の不動産を所有している人であれば、多少利回りが低くでも問題ないでしょう。
反対に、自己資金が少ない場合などでは、利回りが低いと投資に失敗してしまう可能性が高くなるのです。
利回りの数字を一つの判断目安に、投資を検討することが大切です。
その他利回り
利回りには、表面利回り・実質利回り以外にも次のような利回りもあります。
- キャッシュフロー利回り
- 税引き後利回り
その①:キャッシュフロー利回り
キャッシュフロー利回りとは、物件価格に対する年間のキャッシュフローの割合を表した指標です。
不動産投資では、物件はローンを組んで購入するのが一般的なため、借入金の返済も発生します。
そのため、借入金の返済額の利回りに考慮することが重要になるのです。
キャッシュフロー利回りでは、借入金額の返済なども考慮しているので、より実質的な収益性を表します。
キャッシュフロー利回りの計算方法は、次のとおりです。
キャッシュフロー利回り(%)=年間キャッシュフロー÷物件価格×100
キャッシュフロー=実際の家賃収入(空室を除く)-(経費+借入返済額)
返済額も考慮するので、同じ物件であっても自己資金のみで購入する場合と、借入で購入する場合では数字が異なります。
その②:税引き後利回り
不動産投資では、所得税や住民税・法人税などの税金の支払いも発生します。
この税金の支払いまでを考慮した最終的な収益性が、税引き後利回りです。
キャッシュフロー利回りが税引き前の収益性に対し、そこからさらに税金を差し引いたものが税引き後利回りになります。
この税引き後利回りが、最終的に手元に残る金額を表す最も厳密な利回りともいえるのです。
利回りに関する注意点
ここでは、利回りに関する注意点について見てきましょう。
注意点としては、次のようなことがあります。
- 空室状況を確認しよう
- 必ずしも利回りが高いほうがいいわけではない
- 実質利回りを計算しよう
注意点①:空室状況を確認しよう
一般的な不動産広告で表示されているのは、満室状態を想定した表面利回りです。
しかし、不動産投資では必ずしも満室状況が続くとは限りません。
空室であればその分収入が減少するため、当然利回りも低くなります。
表面利回りの数字だけで判断して投資すると、投資が上手く立ちいかなくなるケースもあるので注意が必要です。
中古物件を購入する場合は、すでに入居者の有無が分かるため表面利回りが満室状態を想定しているのか、空室まで反映しているのか確認するようにしましょう。
また、新築物件の場合はこれから入居者を募集するので、実際の空室状況を把握できません。
近隣の物件などの空室率などを参考に、空室も考慮した利回りを考慮することが大切です。
実際に不動産投資するうえでは、表面利回りの数字だけで判断するのではなく、実際どのくらいの収入を見込めるかを考慮するようにしましょう。
注意点②:必ずしも利回りが高いほうがいいわけではない
利回りが高い物件であれば、好条件というわけではありません。
利回りが高い物件は、利回りが高いだけの理由=リスクが潜んでいる可能性があるのです。
- 需要が少ない
- 空室期間が長い
- 築年数が古い
- 管理状態が悪い
- 多額の修繕費用が掛かる
利回りが高い物件では、上記のようなリスクが潜んでいる場合があります。
高い利回りだからと購入しても、空室が続いてしまったり修繕費用が降格になってしまったりする可能性があるのです。
利回りの高さだけで判断するのではなく、物件の状況もしっかり見極めることが大切です。
- 設備は古くないのか
- 建物の状況は劣悪ではないか
- 告知事項はないか(事故物件ではないか)
- 再建築可能か
- 入居状況はどうか
高利回りの物件を見つけた場合は、上記のようなポイントを参考に、物件状況も含めて判断するとよいでしょう。
注意点③:実質利回りを計算しよう
実際に不動産投資する前には、表面利回りではなく実質利回りで計算し直す必要があります。
表面利回りの数字が高くでも、経費が多く掛かればそれだけ手元に残るお金は少なくなります。
場合によっては、赤字となり自己資金で補填しなければならないという場合もあるでしょう。
実質利回りで計算することで、より具体的な収益性を把握できるので、投資計画も立てやすくなります。
また、実際に投資するうえでは利回りだけでなく物件の状況やニーズ・キャッシュフローなど総合的に判断することも必要です。
まとめ
不動産投資するうえで重要な利回りについてお伝えしました。
利回りと言っても大きく「表面利回り」と「実質利回り」があります。
表面利回りと実質利回りは、数字が大きく異なることがあり、表面利回りの高さだけで判断すると、利益が思ったより出ない場合があるので注意しなければなりません。
一般的な不動産広告で目にするのは、経費を考慮しない表面利回りのため、実際に投資する前には経費まで考慮した実質利回りを求めることが大切です。
この記事を参考に、利回りの意味や計算方法を理解したうえで、不動産投資を検討するようにしましょう。
これから不動産投資を始めるという方は、以下の記事をご覧ください。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
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逆瀬川勇造
30代男性