といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- 不動産売却時の固定資産税は売主と買主どちらが負担する?
- 固定資産税の計算方法
- 固定資産税分担金の計算方法
- 固定資産税を清算する流れ
- 都市計画税について
「売却したら固定資産税はどうすればいい?」そのような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産に課せられる固定資産税は所有者が支払うのが基本です。
しかし、不動産を売却した場合、どちらが支払うのか分かりにくいこともあります。
高額になることもある固定資産税は、どちらが負担するのか明確になっていなければ損してしまうこともあるのです。
この記事では、不動産売却時の固定資産税の負担について計算方法や分担方法まで詳しく解説します。
【5分でわかる】マンション売却の流れと費用
不動産売却時の固定資産税は売主と買主どちらが負担する?
マンションなど不動産を所有するうえで、避けられないのが固定資産税の支払いです。
固定資産税とは、不動産などの固定資産に課せられる税金のことです。
マイホームやマンションを所有しているからには、おなじみの税金ともいえるでしょう。
固定資産税は、マイホームやマンションだけに課せられるものではありません。
倉庫や工場・山林・田畑といったおおよそすべての不動産に課せられ、毎年納税しなければならないのです。
不動産売却する場合は、この固定資産税の支払いに注意しなければなりません。
売主はどこまで固定資産税を負担するのかを明確にしておく必要があるのです。
納税義務者は1月1日時点の所有者
固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に全額納税義務が発生します。
1月1日時点の所有者に対して、4月~6月ごろに1年分の納税通知書が送られてくるので、それで納税する必要があるのです。
不動産の売却は通年行われるものでしょう。
しかし、年の途中で所有者が変更されたとしても、1月1日時点が判断基準となるため、納税義務者が変更されることはないのです。
たとえ、1月2日に売却したとしても、1月1日時点の所有者が売主なら納税通知書は売主のほうに送られ、納税義務も売主が負います。
売主と買主で分担するのが一般的
1月1日時点の所有者が納税義務を負うので、売主に対して不公平ともいえます。
そのため、年の途中で売却した場合は、売主と買主で所有期間に応じて固定資産税を分担して支払うのが一般的です。
しかし、この分担は法律で決まっているものではありません。
あくまで、売主と買主の合意によって分担割合などが決まります。
買主に支払い義務があるわけではないので、分担を明確にしておかなければ売主は損してしまう可能性があるでしょう。
売買契約時には、固定資産税の負担についても念のために確認しておく必要があるのです。
固定資産税の計算方法
固定資産税の分担について考えるまえに、固定資産税そのものの税額を知っておく必要があります。
基本的には、納税通知書に納税額は記載されているので、それを元に計算するのがよいです。
しかし、納税通知書が送付されるのが4月~6月頃のため、それより前に売却する場合は負担の割合なども変わってくる可能性があります。
固定資産税の大まかな額を把握することで、分担交渉などもスムーズに進められるでしょう。
固定資産税の計算式
固定資産税の計算式は次のとおりです。
評価額(課税標準額)×1.4%(課税額)
税率については、自治体により異なることがありますが、基本的には国が定めている標準課税1.4%が適用されます。
固定資産税の課税対象となる評価額とは、固定資産税評価額を元に算出します。
固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づいて自治体が調査し個別に決められた評価額のことです。
土地と建物の評価額を合算したものになり、公示価格の70%ほどが目安となります。
毎年送られてくる納税通知書に記載されているので、確認するとよいでしょう。
住宅用地の特例
固定資産税を算出するうえで、元となる評価額は固定資産税評価額とイコールではありません。
固定資産税評価額に、さまざまな軽減措置などを適用して算出した金額が課税標準額となるのです。
固定資産税の軽減措置として代表的なものの一つが「住宅用地の特例」です。
住宅用地の特例とは、土地の上に居住用の建物が建っている場合は、一定額の軽減を受けられる制度をいいます。
具体的な内容は次のとおりです。
面積区分 | 固定資産税 | |
小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額の6分の1 |
一般住宅用地 | 200㎡超の部分 | 評価額の3分の1 |
住宅用地の特例は、敷地面積に応じて分けて計算します。
例えば、住宅用地で敷地面積が500㎡の土地であれば200㎡の部分が6分の1となり、残り300㎡の部分が3分の1となるのです。
建物部分にも特例がある
軽減措置として建物に適用できる特例が「新築住宅に対する軽減措置」です。
この特例では、新築した住宅に対して建物部分の固定資産税が2分の1に軽減されます。
ただし、適用には次のような条件があります。
- 2022年3月31日までに新築された住宅である
- 住宅の居住部分の床面積が50㎡~280㎡
- 適用期間3年間(マンションの場合は5年)
また、「認定長期優良住宅」に認定されている新築住宅であれば、適用期間が5年(マンションは7年)になります。
上記のような特例を加味したうえで、課税標準額が決定されます。
特例の適用条件などが分からないという方は、不動産会社などに相談するとよいでしょう。
固定資産税分担金の計算方法
ここでは、マンションを売却した場合の固定資産税分担金の計算方法を見ていきます。
基本的には、固定資産税は所有期間に応じて日割りで計算して分担します。
例えば、4月1日に売却した場合は、固定資産税を日割りにし3月31日までの分を売主、4月1日以降を買主が負担するのです。
売主は、売買日の前日までの負担となるので一般的でしょう。
関東と関西で分担金の起算日が異なる
固定資産税の分担で重要となるのが「起算日」です。
この起算日には、「1月1日」と「4月1日」の2つのパターンがあります。
固定資産税は1月1日の所有者に対して課せられる税金です。
しかし、この固定資産税が課せられている期間は1月1日からではなく、その年の4月1日から翌年3月31日までになります。
そのため、1月1日と4月1日の2つの起算日が存在するのです。
例えば、6月1日に売却したとします。
1月1日が起算日の場合は、売主は1月1日から5月31日まで、買主が6月1日から12月31日までを負担します。
一方、4月1日が起算日の場合、売主は4月1日から5月31日まで、買主が6月1日から翌年3月31日までの負担となるのです。
起算日によって、固定資産税の負担額が大きく異なるので注意しましょう。
一般的に、関東では1月1日、関西では4月1日が起算日となることが多いものです。
売買契約時には、起算日を確認する必要があります。
固定資産税分担金の計算シミュレーション
具体的に固定資産税分担金をシミュレーションしていきます。
固定資産税が1,000万円で引き渡し日が8月1日の場合について計算すると以下の通りです。
起算日が1月1日の場合
- 売主の負担(1月1日~7月31日):1,000万円 ×(212日/365日)= 5,808,219
- 買主の負担(8月1日~12月31日):1,000万円 ×(153日/365日)= 4,191,781
起算日が4月1日の場合
- 売主の負担(4月1日~7月31日):1,000万円 ×(122日/365日)= 3,342,466
- 買主の負担(8月1日~3月31日):1,000万円 ×(223日/365日)= 6,657,534
起算日が1月1日の場合は、売却日が起算日から遠いほど売主の負担が大きいものです。
反対に、起算日が4月1日の場合、売却日が起算日から遠いほど売主の負担が小さくなります。
固定資産税を清算する流れ
固定資産税の分担が決まったら、固定資産税を清算します。
精算までの大まかな流れは、次のとおりです。
- 固定資産税分担金を計算する
- 買主に金額を通知しておく
- 決済日に買主から売主に固定資産税分担金が振り込まれる
その①:固定資産税分担金を計算する
先述したように、固定資産税の分担を計算します。
固定資産の分担は決済日を元に計算するものです。
決済日が決まったら計算しておくようにしましょう。
ただし、決済日当日の負担を買主か売主がするのかによっても計算が異なります。
一般的には、買主が負担するものですが、事前に確認することが大切です。
その②:買主に金額を通知しておく
分担金が決まったら買主に金額を通知します。
固定資産税の分担金は、決済日に現金か振り込みで一括払いが一般的です。
高額になる場合は、買主の負担も大きいので早めに通知しておくようにしましょう。
その③:決済日に買主から売主に固定資産税分担金が振り込まれる
決済日に買主から固定資産税の分担金が支払われます。
固定資産税は買主も分担しますが、納税するのはあくまで納税義務者である売主です。
買主から分担金を受け取ったら、納税の手続きを忘れずに。
うっかり納税を忘れてしまうと、延滞税などが掛かって思わぬ出費になることもあります。
分担金を受け取ったらすぐに納税しておくなど、支払い漏れがないように注意しなければなりません。
固定資産税がまだ決まっていないときはどうする?
固定資産税の通知書は4月~6月頃に送付されるものです。
そのため、送付前の売却では正確な固定資産税額が分かりません。
その場合の対応には次のようなものがあります。
- 昨年分の固定資産税で清算する - 以上で清算を終了する
- 昨年分の固定資産税で清算する - 5~6月に納付書が届いたら差額を支払う
- 5~6月に納付書が届いてから清算する
1. 昨年分の固定資産税で清算する - 以上で清算を終了する
昨年の固定資産税を元に分担金を計算し、その金額で清算し終了とする方法です。
後日正確な固定資産税が分かった場合も、差額を再清算しないため若干の金額差が生じる場合があります。
買主か売主のどちらかが損してしまう場合があるので、事前にしっかりと話し合っておく必要があるでしょう。
2. 昨年分の固定資産税で清算する - 5~6月に納付書が届いたら差額を支払う
上記同様に、昨年の固定資産税を元に分担金を計算し、一度その金額で清算します。
そして、後日正確な固定資産税額が判明したら、再度計算し直し差額分を支払う方法です。
この場合は、正確な金額で分担できるのでどちらかが損してしまうことはありません。
しかし、再度清算のために連絡を取るなどの対応を必要なので、手間がかかる点には注意が必要です。
3. 5~6月に納付書が届いてから清算する
通常は決済日に分担金を支払ってもらうものですが、決済日での支払いをせずに正確な金額を計算してから生産する方法もあります。
清算が二度手間にならないので、お金のやり取りが複雑にならないというメリットがあります。
この場合は、少なくとも6月ごろまでは売主だけで一旦負担しなければならないものです。
年明け後早い段階で売却した場合は、売主の負担が大きくなる点に注意しましょう。
都市計画税について
マンション売却で清算しなければならないのは、固定資産税だけではありません。
固定資産税同様に、不動産に課せられる税金として都市計画税があり、これも清算しなければならないのです。
都市計画税とは
都市計画税とは、市街化区域内の所有する不動産に課せられる税金のことです。
4月~6月頃に通知書が送付され固定資産税と一緒に納税します。
都心の計画的な発展のために定められた都市計画法では、発展計画に応じて区域を「市街化区域」や「市街化調整区域」に区分します。
このうち、市街化区域とはすでに市街地である区域や10年以内に優先的に市街化を計画している区域のことを言うのです。
自分の所有する物件の所在地が市街化区域に該当する場合は、都市計画税が課税されるのです。
区域の指定は自治体が行っており、窓口や不動産会社などで調べられるので事前に確認するとよいでしょう。
都市計画税の計算方法
都市計画税額は次の計算で求められます。
固定資産税評価額 × 0.3%(税率上限)
自治体により税率は異なりますが、上限が0.3%までとなっています。
詳しい税率は、自治体のホームページに記載されているので確認するとよいでしょう。
また、固定資産税同様、一定の条件を満たすことで税金の軽減措置の特例があります。
都市計画税の軽減措置では、居住用の物件の建っている土地について、次のような軽減措置が適用できます。
面積区分 | 固定資産税 | |
小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額の3分の1 |
一般住宅用地 | 200㎡超の部分 | 評価額の3分の2 |
分担金の計算も固定資産税と同じように行うのが一般的
都市計画税の場合も、固定遺産税と同様に分担金を計算して清算することが一般的です。
固定資産税や都市計画税の分担金計算は、法的な決まりがなく売主と買主の合意で最終的に決まります。
また、起算日などで計算が難しい場合があるので、不動産会社やプロに計算をお願いすることをおすすめします。
不動産会社に計算してもらうことで、計算ミスもなく売主・買主両方とも納得できる金額に設定しやすくなるはずです。
まとめ
マンション売却時の固定資産税の計算方法や分担についてお伝えしました。
マンションなどの不動産に課せられる固定資産税や、1月1日時点の所有者に納税義務が発生するものです。
年の途中で売却する場合は、所有期間に応じて買主と分担して納税する必要があります。
固定資産税の分担計算は起算日などの計算が複雑でもあるので、不安な場合は不動産会社などに相談するとよいでしょう。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。
逆瀬川勇造
30代男性