といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- 不動産投資におけるキャッシュフローとは
- キャッシュフローの計算式
- キャッシュフローを重視するメリット
- キャッシュフローをよくするためのポイント
不動産投資でキャッシュフローとは、手元に残るお金のことを意味します。
不動産投資するうえでは、このキャッシュフローが重要なポイントとなるのです。
この記事では、キャッシュフローの基本や重要視するメリットについて、分かりやすく解説します。
併せて、キャッシュフローをよくするポイントも紹介するので参考にしてください。
これから不動産投資を始めるという方は、以下の記事をご覧ください。
【初心者向け】不動産投資の始め方!7つのステップで徹底解説!
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不動産投資におけるキャッシュフローとは
不動産投資でのキャッシュフローとは、「手元に残るお金」のことを言います。
そもそもキャッシュフローとは、お金の流れのことを言い、具体的には実際に得た現金に対して現金支出を差し引いた手元に残るお金の一連の流れを指します。
キャッシュフローという言葉自体は、ビジネスでもよく使われるものです。
ビジネスの場合は、「資金の流れ」を指すことが一般的で、不動産投資のキャッシュフローとは若干異なるので、使い分けに気を付けましょう。
ビジネスにおいてキャッシュフロー(資金の流れ)を正確に把握することは経営しているうえで重要です。
例えば、企業の取引では商品の購入時に代金を支払わずに、後日の支払期日に支払いするのが一般的です。
商品を売る側の企業は期日まで現金を得られないため、キャッシュフローを把握していなければ、他の支払いができないという事態に陥ってしまうのです。
同じように不動産投資でも、キャッシュフロー(手元に残るお金)を正確に把握することは重要なポイントとなります。
不動産投資においてのキャッシュフローは、大まかに言う、収入から支払いを差し引いた現金(利益)です。
この利益がいくらあるのかを把握していなければ、毎月の支払いが上手くいかなくなるなどトラブルが発生します。
不動産投資では、ほとんどの場合が金融機関から融資を受けて不動産を購入し、収益を得ています。
仮に収入がゼロであろうと、毎月の融資返済は必要です。
その場合は、自己資金で返済しなければなりません。
しかし、手元にお金がなければ自己資金での返済もできないでしょう。
また、決まった支出だけでなく、急な修繕費が発生しても現金を蓄えておかなければ対応できない可能性もあります。
できるだけ多くの現金を手元に残しておくことが重要となり、そのためにはあらかじめキャッシュフローを正確に把握する必要があるのです。
とくに、不動産投資初心者は返済を確実にすることが重要になるため、キャッシュフローを正確にとらえることが重要になります。
キャッシュフローの計算式
ここでは、キャッシュフローの計算方法について見ていきましょう。
キャッシュフローを計算する期間などによっても若干異なりますが、今回は将来の年間キャッシュフローを計算することを想定した方法を紹介します。
キャッシュフローは、次の計算方法で求められます。
キャッシュフロー=(家賃収入 × 稼働率)- 経費 - 銀行返済額
計算のイメージは、収入から経費と返済を差し引くのでシンプルなものです。
また、駐車場などの別の収入がある場合は、収入に加算して計算するようにしましょう。
家賃収入
年間の家賃収入を算出します。
この際、家賃収入は満室時を想定した収入で計算するため、「家賃×室数×12ヵ月」で算出します。
家賃はレントロールと呼ばれる賃貸条件一覧表で確認するとよいでしょう。
例えば、家賃6万円で8室所有する場合は、6万円×8室×12ヵ月=576万円となります。
稼働率
賃貸物件では、空室が出てしまう可能性もあるものです。
常に100%で稼働しているわけではなく、空室が出ると非稼働となります。
また、入居者がいないだけでなくリフォームなどで稼働できないという場合もあるでしょう。
仮に、8室所有して1室が半年間空室の場合、稼働率は93.75%となります。
経費
経費には、管理会社への委託料や管理費・固定資産税・修繕費用などの費用が含まれます。
ただし、経費を正確に把握するのは難しいでしょう。
目安としては、満室時の家賃の15%~20%で計算していきます。
例えば、満室時の家賃収入が年間48万円の場合、9.6万円ほどとなるのです。
上記を踏まえ、キャッシュフローをシミュレーションしてみましょう。
以下の条件で算出します。
- 家賃8万円
- 室数4部屋
- 稼働率想定:85%
- 経費設定:20%
- 銀行への返済額:月9万円
キャッシュフロー=(8万円×4室×12ヵ月×85%)-(384万円×20%)-(9万円×12ヵ月)
=326.4万円-76.8万円-108万円
=141.6万円
上記の不動産投資の1年あたりのキャッシュフローは、141.6万円となるのです。
キャッシュフローを重視するメリット
ここでは、なぜキャッシュフローを重視するのかについて解説していきましょう。
不動産投資でキャッシュフローを重視するメリットには、次のようなことがあるのです。
- いざというときに対処しやすい
- 空室対策しやすい
- 拡大していきやすい
- 金利が上昇したときに繰り上げ返済するといった対処が可能になる
それぞれ見ていきましょう。
メリット①:いざというときに対処しやすい
不動産投資していると思わぬ出費がでる場合があります。
急な設備の故障や災害による建物の破損など、突発的な修繕が必要なケースは多いでしょう。
しかし、キャッシュを蓄えておかなければこれらの対処が難しく、自己資金で支払わなくてはならなくなるのです。
物件の管理に関わる支出は、物件の収益から賄うのが理想的と言えます。
キャッシュフローを把握し蓄えておくことで、いざという事態でも、手出しで対処せずに済むのです。
メリット②:空室対策しやすい
空室対策として、リフォームやリノベーションを検討している方も多いでしょう。
物件の資産価値を上げることで、入居者を見つけやすくなるだけでなく家賃設定を上げることもでき、収入アップを見込みやすくなります。
ただし、それらの対策には当然ながら元手が必要です。
キャッシュを手元に多く残すことで、空室対策などに活用を検討しやすくなるのは大きなメリットと言えます。
また、空室が出てしまうと収益が上がらないのに、ローンの支払いは必要になるものです。
とくに、空室期間が長ければ、支払いだけが嵩んでいきます。
このような事態でも、キャッシュを蓄えておくことで、安心して空室対策しやすくなるのです。
メリット③:拡大していきやすい
キャッシュが多く手元にあることで、既存の物件を運用しながら次の物件を検討しやすくなるというメリットもあります。
キャッシュが多ければ、次の物件として魅力的な物件を見つけた場合でも、すぐに購入することが可能です。
また、金融機関から新たに融資を得るときにも、キャッシュが多い=経営状況がよい、と判断され融資を得やすくなるでしょう。
メリット④:金利が上昇したときに繰り上げ返済するといった対処が可能になる
不動産投資では、ローンを借り入れる場合には金利リスク対策しておく必要もあります。
金利が上昇してしまうと、返済総額が増え毎月の負担が増加することで、予定していた返済計画や収支計画も崩れてしまうものです。
金利上昇に対応するには、繰り上げ返済や別の低金利ローンへの借り換えなどの方法があるでしょう。
しかし、どの方法にしても繰り上げ返済額や借り換え手数料などの、キャッシュが多く必要になります。
このような事態でも、キャッシュを多く蓄えることで対応できるのです。
キャッシュフローをよくするためのポイント
ここでは、キャッシュフローをよくするためのポイントとして、次の5つを紹介します。
- 借入時に頭金を多く入れる
- 金利の低いローンを選ぶ
- 価格の安い物件を選ぶ
- 繰り上げ返済や借り換えを行う
- 適切に管理して家賃を高く保つ
それぞれ見ていきましょう。
その①:借入時に頭金を多く入れる
金融機関の借入時に頭金を多く入れることで、借入額を減らせられます。
借入額が少なければ収益に対して毎月の返済額が少ないので、より多くのキャッシュを残せるのです。
不動産投資では、フルローンで借り入れることも可能です。
しかし、フルローンの場合毎月の支払額が高額になり、キャッシュを蓄えられなくなる可能性もあるでしょう。
キャッシュが少しでもあるなら、頭金をより多く入れることをおすすめします。
不動産投資の頭金については、不動産投資ではどのくらい頭金を入れる必要がある?頭金の額別シミュレーションで詳しく解説しています。
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その②:金利の低いローンを選ぶ
金利の低いローンなら、それだけ返済額を抑えることが可能です。
例えば、2,000万円借入(返済期間30年間)の場合を見てみましょう。
金利2%の場合、毎月の返済額は73,923円、返済総額26,612,480円です。
対して金利1.8%となら、毎月の返済額が71,939円、返済総額25,898,128円となるのです。
毎月の差は、たった2千円ほどですが、年間にすれば2.4万円、最終的には約70万もの差が出ます。
ローンを組む際は、融資の受けやすさなども重要なポイントです。
しかし、キャッシュフローを重視する場合、金利も重要な判断材料となるので、できるだけ低い金利でローンを組むようにしましょう。
不動産投資の金利については、不動産投資ローンの金利相場や低金利で融資を受けるポイントなど徹底解説で詳しく解説しています。
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その③:価格の安い物件を選ぶ
価格の安い物件を選ぶことで、金融機関からの借入をおさえ毎月の返済額を少なくできるでしょう。
新築物件よりは中古物件のほうが、購入価格が低い傾向にあります。
また、新築物件の場合購入価格の高さから、毎月のキャッシュフローに余裕が出ない可能性が高いものです。
しかし、中古物件は融資が100%でない可能性もあり、修繕費などの出費がかさむ場合も多いでしょう。
新築・中古はそれぞれメリット・デメリットがあるので、購入前にキャッシュフローをシミュレーションして慎重に判断することが大切です。
また、価格が安いからと言って購入しても、需要のない物件では意味がありません。
毎月の返済額を減らすことは重要ですが、あくまで収益を上げたうえでの返済です。
価格の安さだけで判断し、家賃収入を得られないのは本末転倒ともいえるでしょう。
価格が安くかつ需要がある物件を見極めることが大切です。
その④:繰り上げ返済や借り換えを行う
ローンの繰り上げ返済や金利の低いローンに借り換えすることで、毎月の返済額を減らせられるでしょう。
繰り上げ返済した場合、繰り上げた分だけ返済額が減ります。
また、金利の低いローンなら、下がった金利の分だけ返済額が減るのです。
ただし、借り換えの場合は新たに審査を受け直す必要があり、現在の不動産投資の状況が良くない場合などは借り換えられない可能性もあるので注意しましょう。
その⑤:適切に管理して家賃を高く保つ
キャッシュフローをよくするには、支出を減らす以外にも収益を上げる方法もあります。
収益を上げる方法として、家賃を高く保つことが一つの手段と言えるでしょう。
設備や物件の修繕などを適切に施すことで、家賃を下げずに入居者を確保できる可能性があります。
また、適切に維持管理された物件であれば、入居者に住み続けてもらえるでしょう。
基本的には、物件の管理を管理会社に委託している方が多いものです。
管理会社を選ぶ際には、実績や評判などもチェックし物件を適切に管理してもらえるのかを判断しましょう。
管理会社に任せっきりにするのではなく、自分でも小まめに物件に足を運んでチェックすることも大切です。
まとめ
不動産投資のキャッシュフローの基本や、キャッシュフローを重視するメリット・よくするポイントについてお伝えしました。
不動産投資では、手元に残るお金であるキャッシュフローが重要なポイントとなるものです。
キャッシュフローが多くあることで、急な修繕や空室対策・金利リスク対策なども取りやすくなります。
不動産投資するうえでは、キャッシュフローを計算したうえで物件を判断することが大切です。
この記事を参考に、キャッシュフローについて理解し、不動産投資の参考にしてください。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
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逆瀬川勇造
30代男性