
といった悩みにお答えします。
本記事の内容
- 投資前に知っておくべき代表的な3つの指標
- お金の流れを知るために知っておくべき3つの指標
- その他数字を把握しておきたい7つの指標
不動産投資では、投資判断で利用する指標がいくつもあります。
これから不動産投資を検討している方には、聞きなれない指標も多いでしょう。
しかし、それぞれの指標の意味を理解しておくのと理解しないのでは、不動産投資の結果を左右しかねないものです。
この記事では、それぞれの指標について分かりやすく解説していきます。
これから不動産投資を始めるという方は、以下の記事をご覧ください。
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【初心者向け】不動産投資の始め方!7つのステップで徹底解説!
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投資前に知っておくべき代表的な3つの指標
ここでは、投資前に知っておくべき代表的な指標について確認していきましょう。
それが、投資判断で重要となる指標である「利回り」です。
利回りとは、投資した金額に対して得られる収益の割合を示した指標のことを言います。
短銃に言うと、利回り10%で1,000万円の物件であれば、年間100万円の収入を見込めるという計算になるのです。
このように、利回りの数字を把握することで、どれくらいの収入をえられるのか、何年で投資資金を回収できるのかなどを理解できるようになります。
不動産投資の第一歩としては、利回りの数字を理解することが重要といえるでしょう。
ただし、利回りと言っても大きく次の種類があります。
- 表面利回り
- 実質利回り
それぞれ示す数字の意味が異なるものです。
その違いを理解しておかなければ、思ったほど利益が出ないというにもなりかねないので注意しましょう。
その①:表面利回り
表面利回りとは、年間収入と物件価格で算出できる収益性の目安となる指標です。
表面利回り(%)=年間収入÷物件価格×100
例えば、年間収入300万円・物件価格2,000万円であれば、表面利回りは300万円÷2,000万円×100=15%となるのです。
不動産会社の広告などに記載されている利回りは、一般的にこの表面利回りになります。
また、年間収入を満室時想定の収入で計算した「想定利回り」として記載されている場合もあります。
表面利回りは、収益性の大まかな目安にはなりますが、不動産運営で掛かる費用などは考慮されていない点に注意が必要です。
経費までを考慮した利回り、次に紹介する「実質利回り」になります。
その②:実質利回り
実質利回り(%)=(年間収入-年間経費)÷物件価格×100
このように、年間に必要な経費まで考慮しているので、手元に残るお金により近い数字を求めることが可能です。
年間経費としては、次のような項目が含まれます。
- 固定資産税や都市計画税
- 管理会社への委託料
- 修繕費
- 管理費や修繕積立金
- 保険料
- 減価償却費
- ローン返済額のうち利息部分
- その他必要経費(交通費や広告宣伝費など)
不動産投資するうえでは、表面利回りではなく実質利回りを把握する必要があります。
例えば、次の場合の表面利回りと実質利回りを見てみましょう。
- 物件価格:4,000万円
- 年間収入:500万円
- 年間経費:200万円
- 表面利回り=500万円÷4,000万円×100=12.5%
- 実質利回り=(500万円-200万円)÷4,000万円×100=7.5%
このように、同じ物件でも表面利回りと実質利回りには差が出てくるのです。
表面利回りの高さで購入しても、経費が嵩んで思うような収益を得られないケースも珍しくありません。
表面利回りの数字だけでなく、実質利回りについて計算したうえで投資判断するようにしましょう。
その③:NOI利回り
実質利回りとほぼ同じ意味で利用されるのが、NOI利回りです。
実質利回りの収入や支出の項目をより厳密に示したものがNOI利回りとなります。
多くの場合で、実質利回り=NOI利回りとして利用されていることが一般的でしょう。
NOIとは「ネット・オペレーティング・インカム」の頭文字で営業純利益と言う意味になります。
NOI利回りでは、表面利回りに計算に「空室率」「年間経費」「購入経費」を加味して算出します。
NOI利回り(%)=(年間収入-空室損失-年間経費)÷(物件価格+購入経費)×100
実質利回り同様計算は複雑になりますが、より実態に即した利回りを把握できるので、投資前には計算しておくことが重要です。
不動産投資の利回りについては、不動産投資の利回りとは?利回りの種類とそれぞれの計算方法・相場など解説で詳しく解説しています。
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不動産投資の利回りとは?利回りの種類とそれぞれの計算方法・相場など解説
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お金の流れを知るために知っておくべき3つの指標
不動産投資では、基本的に家賃収入からローン返済や修繕費などを支出します。
そのため、お金の流れを正確に把握しておくことが重要です。
お金の流れを把握できていないと、収入が足らずにローン返済できない、自己資金で賄わなければならないといった事態になりかねません。
お金の流れを把握するための指標として、次の3つがあります。
- キャッシュフロー
- 税引き後キャッシュフロー
- キャッシュフロー利回り
それぞれ詳しく見ていきましょう。
その①:キャッシュフロー
不動産投資でのキャッシュフローとは、手元に残るお金のことを意味します。
不動産投資では、手元にいくらお金があるのかを把握することが重要です。
万が一、空室などで収入を得られなくてもローン返済や管理費などの支出は必要になります。
また、急な設備の故障や災害などで修繕費が掛かる場合もあるでしょう。
このような支出が収入を上回ってしますと、自己資金から捻出しなければならないため、手元にいくらあるのかを理解しておくことが重要なのです。
キャッシュフロー計算方法は不動産会社によっても異なりますが、基本的な計算方法は「収入から支出を差し引いた額」です。
キャッシュフロー=収入+減価償却-(必要経費+ローン返済額元金)
減価償却とは、物件の購入価格を購入時に一括で計上するのではなく一定の期間で案分して計上する会計上の処理です。
建物の経年劣化により減少する価値を差し引くために計上します。
減価償却費は帳簿上、必要経費として差し引かれますが、実際には支出をしていない経費です。
そのため、実際のお金の動きを知るためには減価償却費を足し戻す必要があります。
また、必要経費ではローン返済額のうち利息部分は計上できますが、元金部分は計上できないので、元金部分を差し引いてキャッシュフローを求めます。
その②:税引き後キャッシュフロー
不動産投資では利益は不動産所得となり、所得税・住民税の課税対象です。
不動産を売却した場合は、その利益に対して譲渡所得税が課せられます。
それらの収入に対して課せられる税金を差し引いて、手元に残るお金が税引き後キャッシュフローです。
税引き後キャッシュフロー=キャッシュフロー(税引き前)-税金
所得税や住民税・譲渡所得税は所得額によって異なります。
税引き後キャッシュフローが、最終的に手元に残るお金になるので計算できるようになっておくとよいでしょう。
その③:キャッシュフロー利回り
キャッシュフロー利回りとは、年間キャッシュフローを物件価格(投資額)で割った指標です。
キャッシュフロー利回り=税引き後キャッシュフロー÷物件価格(投資額)
キャッシュフロー利回りは投資前判断としては利用できませんが、不動産投資の最終的な結果となる指標です。
不動産投資のキャッシュフローについては、不動産投資でキャッシュフローが重要な理由とは?重視するメリットなど解説で詳しく解説しています。
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不動産投資でキャッシュフローが重要な理由とは?重視するメリットなど解説
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その他数字を把握しておきたい7つの指標
不動産投資では、他にも多くの指標があります。
ここでは、不動産投資するうえで把握しておきたい代表的な指標として、次の7つを紹介します。
- 総潜在収入(GPI)
- 実効総収入(EGI)
- 営業純利益(NOI)
- 自己資本利益率(ROE)
- 借入金比率(LTV)
- 内部収益率(IRR)
- 損益分岐点
その①:総潜在収入(GPI)
GPIとは、空室や延滞が全くないと仮定した場合の1年間の家賃収入総額のことを言います。
投資物件から得られる最大収入がGPIです。
その②:実効総収入(EGI)
実際の賃貸運営では、空室や家賃滞納される可能性があり常にGPI通りの収入を得られるわけではありません。
また、家賃とは別に駐車場料金を設定している場合や敷地内に自動販売機や広告看板を設置することにより雑収入を得る場合もあります。
それらの損失額や雑収入を考慮した指標が、EGIです。
EGI=GPI-(空室損失+滞納損失)+雑収入
その③:営業純利益(NOI)
NOI利回りでも利用するのが、収入から実際に掛かった費用を差し引いた額であるNOIです。
NOIはEGIから不動産運営に掛かる費用を差し引くことで求められます。
NOI=EGI-不動産運用経費
ただし、支出を伴わない支出である減価償却費やローンの返済利息といった金融費用は考慮しないのが一般的です。
その④:自己資本利益率(ROE)
ROEとは、自己資金に対する収益性を示した指標です。
不動産投資の場合は、頭金に対する収益性になります。
ROE=当期純利益÷自己資金×100
ROEはレバレッジ効果を測るうえでも重要な指数です。
仮に、1億円の物件で年間収入が500万円の場合をみてみましょう。
すべて自己資金で物件を購入した場合のROEは次のとおりです。
ROE=500万円÷1億円×100=5%
対して、3,000万円の自己資金+7,000万円の借入の場合のROEは次のようになります。
ROE=500万円÷3,000万円×100=約16.7%
このように、投資効率を示した指標がROEとなるのです。
その⑤:借入金比率(LTV)
不動産の購入価格に対する借入の割合を示した指標がLTVです。
LTV=借入額÷不動産価格×100
ちなみに、LTV=100%の場合が、すべて借り入れで賄うフルローンの状態です。
一般的に、LTVが小さいほど安全度が高いとされています。
ただし、LTVが低い=自己資金が多いとROEが反対に低くなり、投資効率が下がってしまう点には注意しましょう。
その⑥:内部収益率(IRR)
IRRとは、投資に必要な支出額の現在価値と投資で得られるキャッシュフローの現在価値の総和が等しくなる割引率のことを言います。
投資に必要な支出額とは、不動産投資の場合は不動産購入費用のことです。
また、現在価値とは、ある時点のお金の価値を現在に置き換えた価値のことです。
この現在の価値にするために用いる比率が割引率となります。
仮に、100万円を年利3%で運用したとします。
この場合、100万円は1年後に103万円になっており、この103万円が「将来価値」となるのです。
反対に、1年後の103万円を3%で割り引いて現在価値に戻すと100万円になります。
つまり、年利3%で運用した場合、現在の100万円と1年後の103万円は同じ価値となるのです。
IRRでは、キャッシュフローの時間的価値が考慮されるため、投資期間全体の収益性の判断ができるというメリットがあります。
一般的には、IRRが高いほど利益率が高いと判断できるでしょう。
ただし、IRRの数値は投資規模が反映されていないため、数値が高いからと言って必ずしも収益性の高い物件とはならないので注意が必要です。
IRRの計算は複雑ですが、エクセルやシミュレーションサイトを利用すれば簡単に算出できるので、一度確認してみるとよいでしょう。
その⑦:損益分岐点
損益分岐点は、必要経費とローン返済額の合計額に対するGPI(総潜在収入)にする比率のことを言います。
キャッシュフローの黒字と赤字の境目であり、GPIをカバーするためには、損失がいくらまでなら大丈夫かと言う分岐点を把握できます。
損益分岐点=(必要経費+ローン返済額)÷GPI×100
仮に、運用経費300万円・ローン返済額年間400万円で、GPIが800万円の物件の場合は、次のようになります。
損益分岐点=(300万円+400万円)÷800万円×100=87.5%
この場合、物件の部屋数が10戸であれば、1室空室でも90%となるため黒字です。
しかし、2戸以上空室が出てしまうと87.5%を下回るので赤字になります。
まとめ
不動産投資するうえで理解しておきたい指標についてお伝えしました。
不動産投資に必要な指標は多く、計算も複雑なものもあるため、理解しにくいと感じる方もいるでしょう。
しかし、それぞれの指標は投資判断するうえで重要な数字となり、使いこなせることで不動産投資に役立てられるものです。
数字の意味を理解せずに不動産投資をスタートすると、思うように利益が出ないなどで不動産投資が失敗する可能性も高くなります。
この記事を参考に、指標の意味や計算方法を理解し、不動産投資の判断材料としてください。
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この記事を書いた人
資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)
地方銀行、不動産会社を経て金融や不動産関連の情報をお伝えするフリーライターとして活動しています。
実務で得た知見を活かして、記事を読まれる方の困りごと解決に役立てられたらと考えています。
逆瀬川勇造
30代男性